開催まであと1年を切った2020年の夏季東京五輪。さまざまな競技で競い合う五輪ですが、2020年の東京五輪では、野球・ソフトボール、スポーツクライミング、サーフィン、スケートボードが追加種目に決定するなか、空手も競技として採用されました。野球・ソフトボールは「復活」採用ですが、他の4競技は初めての採用となります。

空手の歴史と基本ルール

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(画像=Nomad_Soul/Shutterstock.com)

まず、日本発祥の格闘技ともいえる空手に注目してみましょう。空手は琉球王朝時代の沖縄を発祥とする格闘技。1920年代に沖縄から日本をはじめ、全世界に広まっていったとされます。「昭和世代」なら空手家の大山倍達氏を描いたマンガ『空手バカ一代』が思い浮かぶかもしれません。五輪に採用された空手は、1対1で対戦してこぶしで突いたり足で蹴ったりして勝敗を決める「組手」と、攻防の技を流麗に見せる「形」の2つがあります。

格闘技としての側面が強い組手は、8メートル四方の競技場で2人の選手が1対1で対戦し勝敗を決定します。攻撃で使用できる技は「突き」「蹴り」「打ち」の3種類。決められた部位に対して良い姿勢で適切にコントロールされた技を用い攻撃することでポイントが加わります。中段や上段の突きや蹴りなどによる「有効」は1ポイント、中段への蹴りなどでの「技あり」で2ポイント、倒した相手への突きや蹴りなどが決まったときには「1本」として、3ポイントです。

「上段」は頭部や顔を、「中段」は腹や胸、わき腹などを指します。空手の組手の場合、柔道などとは違って「1本」が入っても試合は終了しません。競技時間内に8ポイントの差がついた場合、もしくは男女とも3分の競技時間が終了した時点でポイントが多い選手が勝者となります。このほか、棄権や反則、失格があった場合も勝敗が決まります。

組手は体重別に階級が分かれており男女各3階級の計6階級です。男子は67キロ級、75キロ級、75キロ級超。女子は55キロ級、61キロ級、61キロ級超となっています。一方、形というのは対戦相手の動きを念頭に置いて攻撃の技と防御の技を一連の流れとして組み合わせた演舞を指し、7人の審判による採点で勝敗を決める仕組みです。予選は1人ずつ演舞を行い、上位の成績を収めた選手が決勝へと進みます。

決勝は同じく採点方式ながら1対1の対戦形式で行われます。演舞する形は世界空手連盟(WKF)が認定している102種類の形から選択して行うことになりますが、一度行った形については同じ試合では2度と行ってはいけない決まりです。そのため自分の得手不得手の形をどのタイミングで行うかが駆け引きとなります。

注目の選手は、組手なら2016年の世界選手権の男子84キロ級で金メダルを獲得した経験を持つ荒賀龍太郎選手や女子68キロ超級の植草歩選手。形なら、男子の喜友名諒選手や、女子なら清水希容選手などです。

柔道に続け お家芸としての空手へ

五輪に採用された格闘技の種目といえば、やはり柔道が思い浮かぶでしょう。柔道は1964年の東京五輪から五輪競技に採用されました。1968年のメキシコ五輪では正式種目とはならなかったものの、1972年のミュンヘン五輪から再び正式種目に採用。女子柔道が正式種目となるのは1988年のソウル五輪からとなります。

日本は五輪でこれまで84個のメダルを獲得しており、日本の競技別の獲得金メダル数では柔道が最多です。また朝鮮半島に伝わる武道のテッキョンと日本の松濤館空手を母体に創設された格闘技、テコンドーは1988年のソウル大会と1992年のバルセロナ大会では公開競技として行われ、2000年のシドニー大会から正式種目として行われています。

8メートルの八角形の競技場で2分間のラウンドを3ラウンド行い、ノックアウト(KO)やポイントで試合の勝敗を決定。韓国の国技といわれるだけあって、やはり韓国では伝統的に強い競技です。柔道やテコンドーは、競技人口が多いとはいえ、やはり夏季五輪が行われる際には各国の「お家芸」としてメダルの獲得が期待されます。

格闘技で「日本のお家芸」といえば柔道でしたが、2020年の東京五輪では、新たに空手が日本のお家芸としてメダルの獲得に貢献するかもしれません。(提供:JPRIME


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