日本航空(JAL)が、客室乗務員などの制服を2020年4月から一新すると発表しました。新デザインが導入されるのは2013年依頼となる7年ぶりです。1951年にJALに初めて制服が誕生してから11代目となります。過去の制服デザインの多くは、稲葉賀恵氏、丸山敬太氏など、名だたるデザイナーが手がけてきました。

JAL,制服,パンツスタイル
(画像=Krasula/Shutterstock.com)

なかでも印象深いのは、1967~1988年の20年以上にわたり4~6代目までの制服を担当した世界的デザイナー・森英恵氏です。5代目の制服では、当時大流行していたミニスカートを取り入れ、大きな話題を呼びました。

刷新した新デザイン
刷新した新デザイン(JALホームページから)

また、1983年から放映された大ヒットドラマ『スチュワーデス物語』で使われたのは、実際に着用されていた6代目とほぼ同じデザインの制服です。輝く金ボタンやスカーフにあしらわれた鮮やかなボーダー柄をご記憶の方も多いのではないでしょうか。2020年から制服を手がけたのは、まだ30代と若手ながらクエイリティブディレクターとして活躍し、自身のブランド「EZUMi」を展開する江角泰俊氏です。

“Hybrid Modern Beauty”をテーマに、異なる素材を組み合わせた「ハイブリッド」という最新のデザイン手法を用いてオリジナリティがあり洗練されつつも高い動作性を実現した制服となりました。最も注目されているのは、JALとして初めて女性客室乗務員の制服でパンツスタイルを採用した点です。新制服は実際に制服を着用しているJALグループスタッフで構成されるプロジェクトチームを中心に検討されました。

さらに利用客らにアンケートを行った際、「女性用にパンツスタイルを導入すべきではないか」といった意見があったことを踏まえ、総合的に判断・選定がなされています。よく「ファッションは時代を映す鏡」などといわれます。もちろんJALでも、その時代ごとのエッセンスを取り入れてはいますが、5代目のミニスカートこそセンセーショナルだったものの、大半は清楚なスカート丈のスーツやワンピースでした。

そしてその多くにスリットやプリーツが施されています。これは言うまでもなく着用時の動きやすさを考慮してのことでしょう。看護師の制服では、すでにパンツスタイルが主流になっていることにお気づきでしょうか。2000年以降パンツ派が急増し、今やスカート(ワンピース)スタイルの看護師は絶滅寸前とまでいわれています。

立ち仕事が多く走り回ったり、しゃがんだりと看護師の動きは客室乗務員と共通する部分が多いものです。また客室乗務員は、いざというときにお客様を誘導するための緊急補助員でもありますから、動きやすさは必須。それを考えるとパンツスタイルの導入は画期的ではありますが、むしろ遅すぎるといえるかもしれません。

近年「働き方改革」が声高に叫ばれ、多様な働き方が求められる中、ワンピースとパンツから客室乗務員自身が自由に選べるようになっている点も見逃せないポイントです。現場でさまざまなシチュエーションで体を動かしてみながら、自分に最適なスタイルを選択していくようになることでしょう。実際に着用を開始するのは、2020年の4月からです。

東京オリンピック・パラリンピックを目前に控え、イメージ刷新も視野に入れての今回の制服。「利便性優先でパンツが主流となるか」「スカートの伝統が根強く残るのか」「他の航空会社がこれにどう追随していくのか」など、客室乗務員の制服は、今まさに過渡期を迎えようとしているのかもしれません。今後の動向が気になるところです。(提供:JPRIME


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