普及が遅れていた日本でのキャッシュレス決済がようやく動き出しました。きっかけになったのは、2018年10月にサービスを開始したスマホ決済サービスの「PayPay」です。サービス開始後の2018年12月から実施した支払額の一部または全額を還元する「100億円あげちゃうキャンペーン」は大きな話題となり、QRコード決済の存在を広く知らしめました。

日本で利用できるキャッシュレス決済は以前から存在します。代表格はクレジットカードですが、交通ICカードや電子マネー、デビットカードなど種類は豊富です。しかし各国のキャッシュレス決済比率と比べると日本の決済比率は約2割(2016年)に満たないという数字も出ており、残念ながら日本は後進国のイメージもあります。

キャッシュレス決済が進んでいる中国や韓国に大きく水を開けられている状況です。要因はいろいろあげられていますが、一つは現金での決済に不便を感じないこと。街中に銀行やATMが整備されていて、どこでも現金を入手しやすい環境にあります。もう一つは、店頭におけるキャッシュレスの仕組みが整っていないことです。

専用端末が必要となるクレジットカードや電子マネーは、手数料とともに店舗側の負担になっていました。しかし2020年の東京五輪、パラリンピックを控え、外国人観光客の増加が見込まれます。利便性の面からもキャッシュレス決済の普及は重要な「おもてなし」の一つです。中長期的な視点で見ても少子高齢化による労働力不足から支払い作業の負担を軽くする方法の一つとして注目されています。

こうした背景を受け登場したQRコード決済は、利便性の高さから普及が期待されています。PayPay以外にもLINEによる「LINE Pay」や楽天の「楽天ペイ」、最近では、ファミリーマートが「FamiPay」をリリースし、サービス自体も充実してきました。

わずか1ヵ月でサービス停止を決定「7pay」に足りなかったもの

日本,キャッシュレス化
(画像=zhu difeng/Shutterstock.com)

順調に普及が進むかと思われた矢先、安全性をゆるがす問題が起こりました。それがセブン&アイ・ホールディングスによるバーコード決済サービス「7pay(セブンペイ)」の不正アクセスです。セブン&アイでは、7月1日にサービスを開始。翌日となる2日にユーザーからの問い合わせで、不正アクセスが発覚しました。同月4日には、チャージ利用と新規会員登録を停止。被害額は3,800万円を超えています。

セブン&アイは、原因として「複数端末からのログインに対する対策」や「2要素認証等の追加認証の検討」が十分でなかったことをあげました。すでに2019年9月30日でサービスを廃止することを発表しています。QRコード決済の安全性を不安視する声もありましたが、同時期にスタートしたFamiPayは順調にアプリのダウンロード数を伸ばしていますし、先行するPayPayも対応店舗を拡大中です。

一方で家電量販店やアパレルショップなど、新たなQRコード決済を開始するのではないかといううわさもあり、QRコード決済の注目度は依然として高いことも事実です。「WeChatPay」などによる決済サービスが広く普及する中国では、街中の店舗はもちろん、小規模な店舗や市場のような場所でも、その決済方法が普及しており、現金は持ち歩かず「スマホ1つで外出する」ことが日常化しているという話も聞きます。

ポイント還元率が高く利用者にメリットが大きいことも人気の理由になっているQRコード決済。「全額還元キャンペーン」を展開するサービスもあり、現金の支払いでは得られなかったお得感もあります。セキュリティ面の安全性の確保は喫緊の課題ですが、QRコード決済が日本のキャッシュレス決済比率をあげる一翼を担っていくことは間違いないでしょう。(提供:JPRIME


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