余った土地をそのまま放置して、税金だけ納付している方は多い。もし、あなたがそうであるなら駐車場経営を検討してみてはいかがだろうか?駐車場経営は、土地を所有している方にとって、一番人気のある土地活用方法だ。

今回は「余っている土地を活用する方法」としての駐車場経営や駐車場として活用する際に気をつける注意点や手順を紹介する。「過去に土地を購入したにもかかわらず今後どうしようか考えている方」や「持ち家を引き払って空き地になり結果として放置している方」にはオススメの情報なので要確認だ。

土地を駐車場として活用する意味とは

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(画像=PIXTA)

土地は、固定資産という分類になることをご存じだろうか?固定資産とは、建物や車両、土地などに分けられ、一般的に高額な金額で購入されることが多い。一般的な家庭であれば、持ち家が建物で、自家用車が車両という扱いになる。

固定資産に対して、毎年一定の金額を請求されるのが固定資産税だ。固定資産は、その名の通り固定資産にかかる税金のことで、所持している限りは評価額に応じて税金が請求される。建物の評価額は、年を追うごとに老朽化等で下がっていくことが一般的だが土地に関しては老朽化の概念がない。

つまり地価の増減がない限りは土地の評価が変わることがないため地価が高騰すれば、税金が高くなるなるのだ。土地を所有していることで、毎年下がることのない税金を払い続けないといけないのは資産運用の面でもデメリットであるし、何より懐が痛い。

従って考えるべきは「土地を使って収入を得ることができないか?」ということだ。何もない土地に対して税金だけ払っている状態が何よりも無駄なことであることを再認識しよう。

土地を駐車場として活用する

土地の活用として、良く選ばれる方法が「駐車場経営」だ。都心部へ行くと「タイムズ」や「三井のリパーク」などをよく見かけることが多い。

空き地の少ない繁華街へ行けば所狭しと料金の高い駐車場が常に満車になっている光景をよく目にするだろう。こうした駐車場経営が、土地所有者に多く選ばれているのをご存じだろうか?ここでは、駐車場経営が選ばれる理由について紹介する。

なぜ駐車場経営が選ばれるのか?

土地の活用には、いくつかの方法があるが、中でも一番低コストなのが駐車場としての活用することだ。建物を建てる必要もなく、ちょっとした整備をして精算機を設置すれば駐車場として運営が可能になる。

特に交通量が多く駐車スペースの少ない地域では顧客が絶えることがないのがメリットだ。そこまでの駐車が期待できない場合でも、月極駐車場にし安定した収入を確保することで、リスクを低く抑えることも可能だ。

また駐車場経営は、設備や規模を選べる自由度があり売却や転用もしやすいことから、土地活用にはローリスクな方法として知られている。例えば土地が余っているからといって土地売買や土地を使った他の運用を行うのはハイリスクだ。従ってハイリスクな土地活用を行うのではなくローリスクな駐車場経営から始めていくのがおすすめだ。

周辺ニーズや自己資金から駐車場のタイプを選ぶ

土地を活用した駐車場の経営は、リスクが低く自由度も高いことがお分かりいただけたと思う。土地活用を行うためには「スケール」や「設備投資」、「経費」といった面を考えて運営を行って経営を考えていかなければならない。

駐車場経営の手法として代表的なものは以下の3つだ。

・月極駐車場
・コインパーキング
・タワーパーキング

それでは各々の駐車場経営のビジネスモデルや収益形態、利点欠点をみていこう。

月極駐車場

月極駐車場の代表的な運用方法は以下の3つである。

・自分自身で行う方法
・管理委託方式
・一括借上方式

最初に紹介する駐車場経営方法は一番資金のかからない「自分自身で行う方法」となり、借り入れや賃料回収といった駐車場経営業務を自身で行う方法だ。

駐車場を経営するには借りてくれる人を募集し、借りてくれた人から賃料を回収する必要がある。契約がない中での募集はとても大変で、最初から借りてくれる人がいれば問題ないが、何もツテがない状態でやるにはリスクが高い方法だ。

2つ目の駐車場経営方法が「管理委託方式」で、募集や賃料の回収を外部委託で行う方法となり、トラブル対応時にも業者が対応してくれる便利な方法である。その分手数料はかかってしまうが、自分で全てを管理しなければいけないわずらわしさを回避できるのであれば得策といえるだろう。

しかし自分の駐車場の月極契約が少なくなってしまうと、手数料が毎月の負担となってくることに目を向ける必要がある。また管理委託方式では、外部の業者との契約になるので、契約内容をきっちり把握しておく必要がある。

最後に紹介する「一括借上方式」は自分で行わなければいけないわずらわしい業務は全て委託してしまうという「不労所得」を形成するにはもってこいの方法だ。その代わり管理委託よりも高い手数料を払うことになるので満車になっている状態だと「損をした」と感じてしまうかもしれない。

しかし「一括借上方式」はリスクが一番低く収入も安定しているので、土地の税金負担をなくしたいことを目的とするならば、一番良い方法であるといえるだろう。月極駐車場はコインパーキングとは違って精算機やロック板などの設備が必要ない。

従って初期費用が安く済ませることができるメリットがあり、月極駐車場は長期で借りてくれる人が多いため、一度満車になれば安定した収入が得られるのもメリットの1つだ。逆に交通量が多く駐車スペースの少ない地域においては、コインパーキングに比べて収入が少なくなる傾向にある。

上記の場合で月極駐車場経営をおこなう場合、時間に対しての賃料が安くなってしまうのがデメリットといえよう。

コインパーキング

コインパーキングは駐車場を利用した土地活用例の1つだが、賃貸料の回収がその都度になることから月極駐車場よりも収益が不安定になってしまうのが特徴だ。上記の特徴から「コインパーキングにはあまり魅力がないのでは…」と感じる方もいるかもしれない。しかしやり方によっては月極駐車場を用いるよりも高い収益を出すことができる。

コインパーキングの経営に向いている地域は、交通量の多い都心部や繁華街となる。都心部や繁華街では空き地が少なく、常に誰かが駐車スペースを求めている傾向が強い。従って常に誰かが駐車スペースを求めている需要がある状態なら「コインパーキング」が、需要がない状態なら「月極駐車場」が利益が高いといえるのだ。

それではコインパーキングの経営の方法をいくつか見ていこう。1つは「自己経営方式」と呼ばれる方法となるのだが、名前の通り「自己」で全て経営するのではない。ここで言う「自己経営方式」とは初期投資を自前でするのか否かということである。

コインパーキングの場合、借り手の募集や駐車賃料回収の管理は業者へ委託するのがセオリーとなる。つまりコインパーキングの場合には駐車場の機器設置について、自己資金でやるかどうかの判断が経営方法の分かれ道になってくるのだ。

もう1つの方法が「土地賃貸方式」だ。この方式は、月極駐車場でいうところの「一括借上方式」に似ており、土地を業者へ貸してその賃料をもらう駐車場経営方法となる。

もちろん初期投資を負担する必要がなく全ての費用は業者が負担する。その代わり、駐車場が満車になったとしても、臨時収入があるわけでもなく、一定の収入にしかならないので、自己経営に比べてリターンが少ないのも特徴だ。

コインパーキングのメリットとして、賃料の未払いになりにくい点が挙げられる。極端な話、月極駐車場だと料金未払いでもそのまま駐車できてしまうが、コインパーキングの場合であれば料金を払わないと物理的に駐車することができない。また月極に比べて気軽に駐車することができるので、顧客が集まりやすい傾向もある。逆にデメリットとしては機器設置の初期費用がかかってくる点が挙げられるだろう。

タワーパーキング

タワーパーキングは立体駐車場の中でも建物がタワー式になっていて、機械式になっている駐車場を指す。運転手がタワーの入り口に駐車し、そこから機械を使ってタワーの中に車を運んで格納するのがタワーパーキングの格納の仕方だ。

タワーの中に車を格納するので、雨風を気にせず駐車できる点がタワーパーキングの一番のメリットといえるだろう。タワーパーキングの経営は駐車場を経営する中でも、最も設備投資がかかってくる方法だ。

また車を誘導する人の人件費が必要となってくるため、ここでも費用がかさんでしまう。多くの場合は管理を委託することになるとなるが、そんなタワーパーキングにはいくつかのメリットがある。まずは狭い土地でも有効活用できるという点だ。

立体駐車場であるタワーパーキングは平面駐車場と違って、土地の広さ以上に駐車スペースを確保することが可能だ。経営面においても平面駐車場に比べて大幅に収入を得ることができる。また立体駐車場は構造物という固定資産になる。固定資産であるということは毎年減価償却費として費用計上もできるので、毎年の節税対策にもなる。

一方タワーパーキングの欠点としていえるのが設備投資額で設備投資額が大きいと後々厳しいこととなる。機械や構築物を建設する費用がかかってくるので、自己資金でまかなう場合はかなりの負担になってくる。また月々のランニングコストもばかにならず、平面駐車場と比較してその差は大きい。

ランニングコストの中には構築物に対する固定資産税も当然入ってくる。土地だけではなく駐車場に対する税金が新たに乗っかるので、それ以上の売り上げ見込みがないとタワーパーキング経営の成功にはつながらない。

土地を駐車場として活用する際の注意点

土地を駐車場として活用することは条件さえ合えば有意義な使い方であることが分かったと思う。しかし単純に駐車場経営すれば、必ず儲かるというものでもない。ここでは土地を駐車場として活用する場合の注意点について紹介する。

ニーズに応えられるか調査する

駐車場経営には、周りの環境を考慮して方針を考える必要がある。車を乗る人にとって、「どのような駐車スペースを求めているか?」「そもそも駐車場を必要としているのか?」などのニーズを把握することが大切だ。

例えば、所有の土地近郊にガレージスペースのない持ち家が多く、コインパーキングがあるとしよう。このような場合コインパーキングを月極契約している可能性が非常に高いことが分かる。こういった環境の場合には月極駐車場を始めることで、一気に駐車スペースを埋めることが期待できる。

一方で駐車スペースの少ない都心部や繁華街では、言うまでもなくコインパーキングのほうが有利であるといえるだろう。都心部や繁華街の場合には交通量に比べて極端に道が狭く、一時的な路上駐車も物理的に無理だ。

従って時間単価の高いコインパーキングを経営することが、収入アップのカギになる。また交通量が少ない地域でも、周りに学校や駐車場のない施設がある場合には、コインパーキングが意外と利用されるケースが多い。

このように、駐車場経営をするには、周りの土地勘や環境を把握することが重要だ。また地元や実家付近であれば、なお有利であるといえるだろう。

収益が少なくなる可能性を考慮する

駐車場を自己経営した場合や思った以上に借り手がいなかったときには当然収入が減る。前述したようにニーズを十分に把握できていなかったことによる収入減や、土地の広さを十分に生かせないことで、想定した収入に届かないことも考えられる。

例えば土地の広さから考えて、5台以上は駐車スペースがあると考えていたのが、実際に経営してみると、3台分しか駐車スペースが確保できなかったというようなケースは珍しくない。これは単純に土地の広さだけで、駐車スペースを考えていたからである。

こうした手違いをなくすためには「車がどのように移動して駐車場へ入り、車庫入れするのか?」をシミュレーションしておく必要がある。入り口をどこにするのかでより多くの駐車スペースの確保につながるといえるだろう。自己経営する場合でも駐車場の設計に関してはノウハウを持っているプロに依頼することをおすすめする。

節税効果が低いことを考慮する

駐車場経営の他に土地の活用法といえば、マンション経営やビル経営などが多い。土地に建物を建てて各テナントや部屋を貸すことで、賃料を収入源にすることが可能だ。このように土地に建物を建てた場合には、税法上で「住宅用地」として認められ、固定資産税や都市計画税の優遇対象になる。

しかし駐車場経営の場合にはこの措置が全く受けられず、土地の固定資産税を満額納付する義務が発生する。優遇措置が受けられない分、不動産経営と比べれば利益が少なくなることを考慮する必要があるのだ。

また前述で触れた立体駐車場の構築物だが、平面駐車場においても構築物が存在する場合がある。平面駐車場では外灯やアスファルト舗装、白線ラインなどが構築物に該当する。コインパーキングであれば精算機自体が構築物に該当するので、必ず土地以外の固定資産が増える認識を持ってもらいたい。

固定資産が増えるということはそれに対する固定資産税がかかってくることを意味するため、必ずしも節税対策になるとはいえない。しかし月極の平面駐車場であればアスファルト舗装の構築物をなしにして、砂利地面のまま経営することも可能だ。

平面駐車場で舗装していない駐車場をよく目にするのは、こうした節税対策の工夫であることが伺える。こうした一連の知識がないまま、何となく駐車場経営を始めることで、土地の節税対策どころの話ではなくなってくる可能性もある。逆に家計が圧迫されるといった思いがけない事態にもなりかねない。駐車場を経営する際には必ず固定資産税のことまで考慮して土地活用することが重要だ。

土地の価値によっては駐車場意外の活用方法も検討してみよう

土地の価値によっては、駐車場経営以外の活用方法が見出せる。地価が高騰している場合であればそれだけ立地が良くなっている証拠であり、人が集まってくる可能性が高い。このことから不動産経営をしてみるのも1つの選択肢だということができる。

不動産経営も駐車場経営同様に管理を委託することができる。設備投資こそかかってくるもののうまくいけば税金対策にとどまらず、大きな収入源として経営を回せる可能性があるのだ。

近年では来日する外国人が増えて、地域によってはマンションを購入することも多くなってきている。このことを考えれば余らせている土地の価値によっては、駐車場経営より利回りが良くなることも考えられるだろう。もちろん不動産経営である以上は建物に対する固定資産税はかかってくる。

しかし減価償却をすることで毎年の節税対策にもつながる。特にマンションのような鉄筋住宅の場合税法上では47年の耐用年数が用いられるため、長期間にわたって節税できる利点があるのだ。土地にかかる税金に関しても、不動産経営においては住宅用地として認定されるため、駐車場経営に比べて税金の優遇措置を受けることになる。

このことから土地の価値があり地域的にも好条件が揃っている場合には、不動産経営に参入しても良いかもしれない。それ以外にも賃貸で土地を貸し出す方法も節税対策につながる。賃貸で貸す場合には一定の金額が入ってくることに加えて他の固定資産税がかかってこない。

その土地を使ってコンビニ経営をしたり駐車場経営をしたりして、売り上げに関係なく収入を得ることができるので、あらかじめ予算も立てやすいといえる。予算組みの時点で土地の固定資産税を相殺するほどの金額が確保できていれば、それだけでも安心感があるだろう。

それでもいつ借主がいなくなるのか不安で仕方がない場合には、思い切って売却することも視野に入れるべきだ。その際には取得したときの価格だけでなく、過去から払い続けた固定資産税についても考慮するべきである。

また売却した年度の固定資産税についても遅れて請求されることになるので、売却金額についてはしばらく留保しておいたほうが良いだろう。このように土地活用には大きく分けて、「駐車場経営」と「不動産経営」、「貸し出し」の3つの方法があることが分かった。

今回紹介した「駐車場経営」は「不動産経営」に比べてリスクの低い経営であることも分かったが成功率が高いかというとそうでもない。地域の条件によっては駐車場経営が不利になる場合も出てくる。

特に近年では車離れが後を絶たないことから、車に関するビジネスが大きく変わろうとしている背景がある。一方で外国人からの不動産購入が増えていることもよくニュースなどで目にするだろう。

このことから「駐車場経営が今後どこまで伸びていくのか?」不明確ではあるものの、実情はまだまだ車が多く駐車スペースの確保に困っている人は多い。駐車場経営は設備が少ない分、切り上げも容易なビジネスなので、土地活用について選択肢を多く持っておくことが一番大切だ。