マイホームの売却価格を匿名で査定してほしいと思ったことはないだろうか。不動産会社の営業の電話がわずらわしい時や、離婚のようにネガティブな理由がある場合は、売却の意思は秘密にしたいものである。こちらの記事では匿名で不動産価格を査定できる方法と注意点を説明する。

匿名で不動産価格の査定を行う方法は?

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(画像=PIXTA)

匿名で不動産価格の査定を行う方法は、不動産会社のポータルサイトを確認する方法と、匿名の査定サイトで確認する方法の2つがある。ここではそれぞれの特徴、メリット・デメリットを説明していこう。

1.ポータルサイト

検索すると出てくるなじみのサイトといえば、リクルートが運営する「SUUMO」、LIFULLが運営する「LIFULL HOME'S」、アットホームが運営する「at home」などがある。

こういったサイトには、『売却査定』というページがあり、そこから査定が可能となっている。例えばSUUMOでは次のような簡易な質問に答えることで、相場を確認することができる。

・物件の最寄り沿線
・物件の最寄り駅
・駅からの徒歩分
・建築した年
・専用面積

エリアごとの売却実績も確認でき、売却希望エリアで同じようなタイプの物件価格を見つけることができれば、大まかな相場を把握するのにかなり参考になるはずだ。何の手続きもなく気軽に相場を確認できるが、一戸建てのように建材や間取りが多種多様の場合は価格にバラつきが出やすいため、不向きかもしれない。反対にマンションや土地など画一的な物件の場合は参考にしやすい方法だ。

2.匿名の査定サイト

匿名でより詳細に査定できるサイトには、「HowMa(ハウマ)」、「LIFULL HOME' Sプライスマップ」、「IESHiL(イエシル)」といったサイトがある。

こうしたサイトではAI、ビッグデータなど最新の技術を駆使して、リアルタイムの市場価値を確認することができる。戸建ての査定にも対応しているサイトがあるので、ポータルサイトでは参考になる売却事例や相場が見つけられなかった方におすすめだ。またマンションにしても、物件情報をマンション名から部屋番号まで入力して査定してくれるので、より精度の高い査定結果を得ることができるはずだ。

売る側だけでなく買う側も使えるので、買い主と売り主の相場感覚に乖離が出にくい状況になっているともいえよう。

ポータルサイトのメリットとデメリット

ポータルサイトを利用するメリットとデメリットについて確認しよう。

メリット デメリット
・近隣物件の売却実績を確認できる
・近隣物件の売り出し価格が確認できる
・購入希望者情報を確認できる
・売り出し価格の根拠はわからない
・戸建ては査定がしにくい

比較対象となる物件がいくらで売られているかがわかる

不動産ポータルサイトを使った査定のメリットは、近隣の物件、つまり競合物件がどのくらいの価格で売り出されているのか、どんな売却実績があるのかを確認できることだ。そのため相場感や実績額をつかむことができ、自分の不動産の売却価格の予想がつくようになるだろう。

また、購入希望者情報も確認できるため、売り手と買い手の両方の感覚をつかむことが可能だ。不動産売却は買い手のほうが真剣に探すことが多いといわれており、物件やエリアについての情報もよく調べている。住宅購入は、数千万円のローンを組んで、家計相談も一緒に行うくらい重大な買い物だからだ。そんな買い手との情報差を少しでも埋めない限りは、買い手が希望する条件がつかみづらく、交渉はうまくいかないだろう。

売り出し価格しかわからず、戸建ての査定は難しい

対してデメリットは、売り出し価格しかわからないために、その価格根拠を確認できないということ。

また、戸建ての査定は参考にするのが難しい。マンションであれば同じ住所に多数の部屋があり、建材に違いが出ることもなく間取りも似たようなケースが多いため、一部屋でも売却実績があれば、それを元に参考値を予測しやすい。しかし戸建ての場合は、建材(木材や鉄筋など)も土地も間取りも多種多様になってしまうので、近隣の売却実績や売り出し価格と実際の売却価格に差が出やすい。

匿名の査定サイトのメリットとデメリット

メリット デメリット
・ポータルサイトより精度の高い査定が可能
・AI搭載サイトなら査定申し込みから10秒前後で結果通知がくる
・正確性が担保できない

ポータルサイトよりも精度の高い査定ができる

匿名で査定できるサイトのメリットは、物件を特定して査定するのでポータルサイトを利用するより精度の高い査定が可能だ。例えばHowMa(ハウマ)の場合、次の情報を入力して物件を特定し、最後にメールアドレスを登録するとAI査定結果がメールにて送られてくるようになっている。

戸建て マンション
郵便番号 マンション名
住所 郵便番号
築年数 住所
延床面積 築年数
土地面積 部屋番号
居住の状態(居住中/賃貸中/空室)  専有面積
  所在階/総階数
  居住の状態(居住中/賃貸中/空室)

査定結果メールには査定額と想定賃料が記載されていて、さらに物件の詳細情報を入力するとより精度の高い査定が期待できる。そのメールからプロへの査定依頼や、売却した場合の手取りシミュレーションも可能だ。

破損などの減額要素が加味されておらず正確性に欠ける

対してデメリットは、査定結果に正確性が担保されていないことである。建物の売却時は内覧などをして不具合や破損等の減額要素を確認するが、それがないために正確性に欠けてしまうのだ。査定結果はあくまで建物が“標準”の状態であると仮定した価格でしかない。

査定結果に正確性が担保されていないということは、査定金額と実際の売却価格に差が出てしまうということになる。

このポータルサイトと匿名査定サイト、どちらがいいということはなく、手間も時間もかからないので両方利用することをおすすめする。

おすすめは、不動産一括査定サービス

ポータルサイトと匿名の査定サイト両方で査定をして売却価格の感覚をつかんだら、次に不動産一括査定サービスを利用することをおすすめする。一括査定とは、売却したい不動産情報をより詳しく入力することで、複数の不動産会社に査定を出してもらうことができるサービスのことだ。一つひとつの会社に依頼するのには手間も時間もかかってしまうが、一括で依頼ができるのでとても便利だ。

査定結果が届いたら、各社の査定価格や売却条件などを比較し、ポータルサイトや匿名査定サイトでつかんだ売却価格の感覚も参考に、条件の合致した不動産会社へ売却手続き依頼をする流れが理想的である。この一括査定サービスは無料であることが一般的なので、積極的に利用するべきだ。

ここからはおすすめの一括査定サイトを紹介する。おすすめ選定ポイントは、運営会社の母体がしっかりしていること、提携する不動産会社をしっかり審査しているかどうか、サービス利用者が多いか、この3つである。

すまいValue

複数の大手が運営しているので安心できるサイト。
すまいValueは誰もが知っている大手不動産会社6社(小田急不動産、住友不動産販売、東急リバブル、野村不動産アーバンネット、三井不動産リアルティ、三菱地所ハウスネット)が運営する不動産売却ポータルサイトである。安心ポイントは、一度の査定申し込みで最大6社から査定額や回答を受け取れるので、しっかりと比較できるところ。どんな物件でもまずは大手を抑えておきたいのでおすすめだ。
※一部地域では対応していない可能性があるため、その際は次に紹介する「イエウール」をおすすめする。

イエウール

不動産一括査定サイトにおいて、様々な点でNo.1を誇る。

・提携不動産会社数No.1の1600社以上
・月間利用者数No.1の1万人突破
・査定対応エリア数No.1の47都道府県対応

大手だけでなく中堅など地域密着の不動産会社に出会える。利用者多数の安心実績で、入力方法もチャット形式でわかりやすく、約5分で完了。対応可能な不動産会社を自動で抽出し、複数社の見積もりを同時比較してくれる。全国どこでも対応可能だ。

HOME4U

日本初の不動産一括査定サービスとして、確かな実績を持つ。特筆すべき点も多数ある。

・プライバシーマーク取得企業
・NTTデータグループが運営
・厳選された提携不動産会社
・累計35万人が利用

プライバシーマークを取得しているNTTデータグループ運営で安心。2001年に日本で初めて不動産一括査定を始めた実績のあるサイトだ。NTT系は提携会社の審査が厳しいことで有名なのでさらに安心できる。

信頼できる不動産会社に査定を依頼しよう

不動産売却で失敗しないための4つの方法
・最高価格を見つける→査定は複数企業に依頼!
・早く売る→相場を知ることが大切!
・手続きをスムーズにする→良いパートナーとなる不動産会社を見つける!
・時間短縮→複数企業の査定価格の取り寄せは、カンタン、楽に一括査定!

不動産売却で大事なことは、「信頼できる不動産会社を見つけることができるか」ということに尽きる。ここを見誤ると、売却価格に数百万円~数千万円の差が出ることもある。しかし不動産会社は全国に千を超えるくらい数が多い。それだけの数があると分野や地域によって得意・不得意もある。一つひとつの会社に聞き回っていたら迷ってしまい、時間ばかり過ぎていくことになりがちだ。そこで不動産一括査定サイトを利用すれば、非常に効率的に進められる。

不動産を売りたいと思ったらまずポータルサイト・匿名査定サイトで相場を確認して、次に不動産一括査定サイトに査定を依頼しよう。全ての査定結果が出そろったら、自分の条件に合致した不動産会社に依頼するという流れだ。

この手順で不動産の価格を確認していくことにより、個人情報は「この会社に決めた」となった時にだけ開示する。匿名性を保ちながら不動産会社を探すにはこれが最適な方法といえるだろう。