結果の概要:着工件数、許可件数ともに予想を大幅に上回る結果
9月18日、米国センサス局は8月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は136.4万件(前月改定値:121.5万件)と119.1万件から上方修正された前月値を上回ったほか、市場予想の125.0万件(Bloomberg集計の中央値)を大幅に上回った(図表1、図表3)。
住宅着工許可件数(季節調整済、年率)は141.9万件(前月改定値:131.7万件)と、こちらは133.6万件から下方修正された前月値、市場予想の130.0万件を大幅に上回った(図表2、図表5)。
結果の評価:これまでの住宅ローン金利の低下が追い風も、足元の金利上昇が懸念材料
住宅着工件数の伸びは、前月比+12.3%(前月:▲1.5%)と4ヵ月連続ぶりにプラスに転じたほか、19年1月(同+13.0%)以来の2桁の増加となった(図表3)。戸建てが+4.4%(前月:+1.9%)となったほか、集合住宅が+32.8%(前月:▲9.2%)と16年12月(同+43.1%)以来の高い伸びとなったことが大きい(図表4)。
前年同月比では+6.6%(前月:+2.6%)と3ヵ月連続のプラスとなった。戸建てが+3.4%(前月:+2.3%)と3ヵ月連続のプラスとなったほか、集合住宅も+14.1%(前月:+3.4%)とこちらは5ヵ月連続のプラスとなった。
地域別寄与度(前月比)は、西部が横這い(前月:+0.9%ポイント)となったものの、中西部が+2.3%ポイント(前月:横這い)と前月から伸びが加速したほか、北東部が+2.4%ポイント(前月:▲1.3%ポイント)、南部も+7.6%ポイント(前月:▲1.1%ポイント)と前月からプラスに転じた。
先行指標である住宅着工許可件数は、前月比+7.7%(前月:+6.9%)と2ヵ月連続のプラスとなった(図表5)。戸建てが+4.5%(前月:+0.7%)と4ヵ月連続でプラスを維持したほか、集合住宅も+13.3%(前月:+19.3%)と2ヵ月連続のプラスとなった(図表6)。
前年同月比は+12.0%(前月:+0.1%)と前月から大幅に伸びが加速した。戸建てが+4.5%(前月:▲4.8%)と11ヵ月ぶりにプラスに転じたほか、集合住宅が+26.3%(前月:+9.7%)と前月から伸びが加速したことが大きい。
一方、全米建設業協会(NAHB)による戸建て新築住宅販売のセンチメントを示す住宅市場指数は、9月が68(前月:67)と前月から+1ポイント上昇した(図表7)。これで同指数は年末の急落から+12ポイントの上昇となった。これまでの住宅ローン金利の低下が追い風になっているとみられる。
もっとも、指数の中身をみると、販売現況が75(前月:73)と+2ポイント上昇する一方、客足状況は50(前月:50)で横這い、販売見込みは70(前月:71)と▲1ポイント低下するなど、まちまちの結果となった。足元で住宅ローン金利は上昇に転じており、今後の住宅市場への影響が注目される。
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窪谷浩(くぼたに ひろし)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 主任研究員
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