給与だけで年収をアップしていくのが難しい昨今、サラリーマンが「会社員」という属性を最大限生かして資産形成につなげられることなどから不動産投資が注目されている。一方、不動産投資は購入前の物件検討に始まり、購入後の物件管理やリフォーム、大規模修繕、物件売却など、いくつものステップがあり、初心者がいきなりスタートさせるのはハードルが高い。

八木チエさんは不動産投資情報サイトの立ち上げを経て2018年に株式会社エワルエージェントを設立。現在は不動産投資のエージェントと投資家のマッチングサービス「Estate Luv(エステートラブ)」を運営している。これまで大勢の不動産投資家や不動産業者と接してきた八木さんは「不動産投資の成否は担当者で決まる」と断言する。

本インタビューでは不動産の専門家である八木さんに不動産投資成功のカギを聞いた。初心者でもいい不動産投資の営業マンを見極めるための「キラークエスチョン」とは?(取材・池田園子/写真・森口新太郎)

八木チエ(やぎ・ちえ)さん
大学卒業後7年間IT会社の営業を経験後、弁護士事務所に転職。弁護士事務所にて海外の投資家への日本の投資用不動産販売の新規ビジネスの立ち上げを経験。不動産投資の情報を正しく伝えたい、もっと多くの人に不動産投資の魅力を知ってもらいたいと思い、2014年に業界初の不動産投資に特化したオウンドメディアを立上げ。4年間代表を務めた後、2018年に不動産投資に関わるすべての悩みをいつでもどこでも簡単に相談できる、投資家とエージェントを繋ぐマッチングサービス「Estate Luv」を運営する株式会社エワルエージェントを設立。

不動産投資は「誰から買うか」が重要

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(画像=森口新太郎、ZUU online編集部)

──八木さんの会社では、不動産投資家とエージェントをつなぐマッチングサービス「Estate Luv」を運営されています。不動産投資を検討するにあたって、エージェントの存在を思い浮かべたことがありませんでしたが、日本ではまだエージェントがそれほど浸透していないのでしょうか。

アメリカでは投資用物件を買う場合、必ずといっていいほど、エージェントとのやりとりからスタートしますが、日本国内では、エージェントを通じて物件を探しているケースは1割に満たないのではないでしょうか。統計をとったわけではありませんが、不動産業者の営業マンに相談をし、そこから物件を購入するケースがほとんどだと感じています。

もちろん、すべての不動産業者が悪いわけでもありません。ただ、いい不動産業者でも、担当者のレベルは人それぞれです。レベルの高い担当者が付くとは限りません。

不動産投資はいい物件を買えばゴールではなく、買ってからがスタートで、投資は長期に及ぶものになります。人によって投資目的もいろいろで、投資できる金額もバラバラなので、その人の目的や状況に合った提案を行える担当者が、信頼できるパートナーになるでしょう。

――どこの会社経由で買うかではなく、誰経由で買うかを重要視しているんですね。

私はこれまで不動産投資情報サイトを運営するなど、長く不動産業界に携わってきました。その経験から、不動産投資の成功のカギは「担当者」だと気が付きました。

ちなみに、営業成績ナンバーワンの人が「いい担当者」だとは限りません。ナンバーワン営業マンが退職した後、顧客を引き継いだ後任の担当者宛に少なくない数のクレームが来たという話もときどき耳にします。なぜこのようなことが起こるかというと、営業成績は物件の成約数によって決まりますが、成績のいい営業マンでも、投資家に対する本質的なフォローが足りていないことがあるためです。

例えば、自分の売り上げを作りたいからと、投資家の資産状況を無視して「区分所有より一棟買いにしたほうが、大きな利益を得られますよ」と一棟を買わせると、無理をさせてしまい、借金だけが残る……といった事態にもなりかねません。

――投資家にとって「いい担当者」とはどのような人のことだと思いますか?

いい担当者は投資家の人生をより良く変える、意味のある投資プランを作ってくれます。私の知っているエージェントは、食事会やゴルフなど、投資家との交流の機会を定期的に設け、市場の動向や売却、買い替えの提案を伝えています。長きにわたって購入後のフォローをしてくれるのも、いいエージェントの特徴です。

信頼できる不動産エージェントを見極めるキラークエスチョン

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(写真=森口新太郎)

――初心者でも、いいエージェント、信頼できるパートナーになってくれそうなエージェントを見極める方法を知りたいです。