帝国データバンク
(画像=PIXTA)

正社員が「不足」、四半期ぶりに50%を突破
~1年前からは4.4ポイント減、「製造」は15ポイント以上減~

はじめに

ほとんどの企業が重要な課題と位置づけているのが人材育成。省力化・自動化投資を行う企業も増えているが、厳しい競争に打ち克ち、取引先から選ばれるために最大のポイントとなるのは「人」だとして、技術やノウハウの取得だけでなく、マナー、意識、さらにコミュニケーション能力を向上させるため様々な取り組みを行っている。

一方、近年は人材育成以前に人材採用で苦労する企業が増加。恒常的に人手不足状態を強いられている企業、必要な人手を確保できず事業計画の遂行や事業の継続に支障を来す企業も散見されている。今年4月には働き方改革関連法が施行。働き方改革の時代に見合った職場環境の実現が待ったなしとなっており、各社は長時間労働の是正や生産性の向上などに取り組んでいるが、対応格差の広がりが人材確保に影響を及ぼしているとの見方も生じている。

帝国データバンクでは、人手不足に対する企業の見解について四半期ごとに調査しているが、今回2019年7月時点の調査結果をとりまとめた。当調査は、TDB景気動向調査2019年7月調査とともに実施。調査期間は7月18日~31日。調査対象は全国2万3650社、長野県536社。有効回答企業数は全国1万91社(回答率42.7%)、長野県248社(同46.3%)。

調査結果

1 正社員が「不足」は50.6%、1年前からは4.4ポイント減少 7月時点で正社員が「不足」していると回答した県内企業の構成比は50.6%だった。1年前(2018年7月、56.0%)からは4.4ポイント減。前回(2019年4月、46.8%)は8四半期ぶりに50%未満にとどまったが、今回再び50%を超えた。

2 非正社員が「不足」は25.3%、1年前から10.2ポイント減少 7月時点で非正社員が「不足」していると回答した企業の構成比は25.3%。1年前(2018年7月、35.5%)からは10.2ポイント減と大幅に減少している。減少は4四半期連続。

3 正社員の「不足」、「大企業」と「中小企業」の差は21.0ポイント 正社員が「不足」と回答した企業を規模別にみると、「大企業」が68.6%、「中小企業」は47.6%。両者の差は21.0ポイントと、1年前の8.7ポイントから急拡大した。

4 正社員の「不足」、主要業界別で最も高かったのは「サービス」 主要6業界別で、正社員の「不足」が1年前から増加したのが3業界、減少が3業界。「不足」が最も高かったのは「サービス」(70.4%)、最も低かったのは「製造」(41.0%)。