帝国データバンク
(画像=Preechar Bowonkitwanchai/Shutterstock.com)

九州企業の35.8%がM&Aに関わる可能性を示唆
~買い手は「金額の折り合い」、売り手は「従業員の処遇」を最も重視~

はじめに

日本経済の持続的な成長には、企業が培ってきた技術やノウハウ、貴重な人材や設備などを次世代に引き継ぐことが不可欠と言われている。こうしたなか、政府や行政などの支援も後押しとなり、中小企業における事業承継などの課題解決の手段の一つとして、M&Aが注目されている。

帝国データバンク福岡支店では、九州・沖縄地区(以下、九州)に本社を置く企業に対し、M&Aに対する見解について調査を実施した。

本調査は、「TDB景気動向調査」(2019年6月調査)とともに行ったもので、調査期間は2019年6月17日~30日、調査対象は1,873社で、有効回答企業数は718社(回答率38.3%)。全国調査分から九州の企業を抽出・分析した。なお、M&Aに関する調査は今回が初めて。

■M&A(Mergers and Acquisitions)とは、企業の買収や合併、一部株式を売買して資本提携することなどの企業戦略全般を指す。また、人材難などにより後継者がいない場合の事業承継の手段や事業の一部を譲渡することなども含められる。なお、資本の移動を伴わない業務提携(共同研究、開発など)は含まない。

調査結果

1 5年以内に『M&Aに関わる可能性がある』企業の割合は35.8%にのぼった。業界別では『不動産』(57.1%)、県別では「大分」(45.9%)が最高

2 M&Aを進める上で重要視することは、「買い手となる可能性がある」企業では「金額の折り合い」(79.9%、複数回答、以下同)が最高。「売り手となる可能性がある」企業では「従業員の処遇」(79.8%)が最高

3 今後のM&Aの必要性が「高くなる」と回答した企業の割合は48.9%と、約半数にのぼった