不動産投資のリスクを、実際に現場で起きている問題から学ぶ!

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(画像=igorstevanovic/Shutterstock)

不動産投資のトラブルは、ミクロで見るとさまざまな事情や状況で多岐にわたりますが、法的な結論はシンプルで、いくつかのポイントを抑えておけば、トラブル回避は充分に可能です。そこで、私たち弁護士が実際に相談を受けた案件から、よくあるトラブルをご紹介。なぜ問題が生じたのか、そしてどのように解決したのかをわかりやすく解説します。

借地上の建物を建て替えるのに高額な承諾料が…

ヴェリタス・インベストメント
(画像=ヴェリタス・インベストメント)

滋賀県在住 市島さん(73歳、男性)からのご相談

以前、土地付きの建売住宅を買うよりも安かったので、投資目的で借地権付きの家を買いました。ただ最近、建物が古くなってきて、家を貸し出す際の家賃も下がってきましたし、修繕費もばかにならないので、そろそろ建て替えをしようと考えています。

そこで、地主に建て替えをしたいので承諾をしてほしいと申し伝えたところ、地主から、更地価格の10%という高額な承諾料を要求されました。

建て替えにかかる費用もありますし、地主に高額の承諾料を支払ったら、そもそも建替え自体ができなくなってしまうかもしれません。

ただ、借地権ですから、地主の承諾もなく建て替えたら契約解除になってしまうので困っています。

そこでご相談ですが、地主から高額な承諾料を言われるがまま支払わなければならないのでしょうか。

よくあるトラブル(15)「借地権と建替え承諾」

これで解決!

借地権については、地主との間で締結した土地賃貸借契約書に、建て替えの際には地主の承諾がいると明記されていることがほとんどです。

そのため、地主の承諾なく借りている土地上の建物を建て替えると契約違反になり、場合によっては契約が解除され、土地の上に建っている建物を取り壊して、立ち退かなければならなくなります。

また、建替えの承諾はするにしても、ほとんどの場合、タダで建て替えてもよいということにはならず、承諾料をもらうことを条件に地主が承諾することになります。

また、非堅固建物(木造等) から堅固建物(鉄筋コンクリート等) への建て替えの場合、所有目的が異なるとみなされ、単なる増改築の承諾料ではなく 借地条件変更承諾料を支払う必要があります 。(地借家法17条1項 )。

この点、相談者さんのケースのように、承諾料の金額でもめることがよくあります。 そこで、まず承諾料の相場について考えてみると、よく言われている算出方法としては、借地権の底地を更地にしたときの価格の2~5%というものです。

実際に底地を売るわけではないので、更地価格といっても客観的に決まるのではなく、立場によっても幅があることが多いですが、簡単に計算するのであれば、【路線価÷0.8×借りている面積(㎡)】が更地価格の目安と考えてもらってよいと思います。

程度にもよりますが、相談者さんのケースでは、地主が更地価格の10%を承諾料として要求しているのは、やはり高額だと言えますので、まずは地主に相場を理解してもらい、説得するのがいいと思います。

ただ、地主が納得しなかった場合にも、裁判所の借地非訟という手続を利用することにより、地主の承諾に代わり、裁判所に建替えや譲渡、相続などの承諾の許可を出してもらい、契約違反とはならずに建て替えをすることができます。

そして、借地非訟では、もちろん承諾料も決めますが、その金額は原則として更地価格の3%であり、更地価格の算定も不動産鑑定士に裁判所から依頼してすることになります。(この場合の不動産鑑定は当事者の負担なしで行われます。)  また、承諾料は、更新料を支払っている、地代が高いなどの個々の状況に応じて増減することもあります。

 このように、借地権上の建物の建替えは、よく仕組みや相場を理解し、慎重に進めていくことにより実現可能です。ただ、その過程では、悩んだり判断に迷ったりすることもあるかと思いますので、弁護士などの専門家のアドバイスを踏まえて、交渉などにあたることが大切です。