2019年4~6月期の決算発表で「CASE」というワードを使って今後の事業展開の方向性を示す自動車関連企業は少なくありませんでした。このCASEという単語はモビリティ業界の将来を表すキーワードとして、最近注目を集めています。
CASEの意味は?
CASE(ケース)は「コネクテッド(Connected)」「自動運転(Autonomous)」「シェアリング(Sharing)」「電動化(Electric)」の頭文字を取った造語です。それぞれについて詳しく説明します。
コネクテッド(Connected)
「C」のコネクテッドは、自動車に通信機能を持たせるということを意味します。自動車に通信機能が備われば、事故が起きたときにシステムが自動的に警察に緊急通報したり、位置データが共有されることで盗難時に車両を追跡できたりと、さまざまな機能を備えることが可能です。そのほか通信機能が備わることで車内におけるインフォテインメント機能などが充実します。
位置情報に応じた情報を自動車に乗っている人に発信するなどの仕組みも本格的に導入されるようになるのです。コネクテッド化された車両は「コネクテッドカー(つながるクルマ)」と呼ばれ、徐々に日本や海外の自動車メーカー各社がコネクテッド機能を備えた車両の販売を開始しつつあります。
自動運転(Autonomous)
「A」の自動運転は、読んで字のごとく自動車を自動運転化させることを指します。自動車が完全に自動運転化され、そのシステムも洗練させていけば人間の不注意による事故や飲酒運転などがなくなるでしょう。そのため交通事故の死傷者数減少につながると期待されています。自動運転技術は、バスやタクシーにも活用可能です。日本は高齢化や少子化に伴い、地方では交通機関の脆弱化が懸念されています。
運転手として働く人が確保できないことや採算が合わないことなどが理由です。そんななか自動運転技術を導入した無人バスや無人タクシーは人件費がかからないため、持続可能な住民の足になることが期待されています。日本では条件付きの自動運転を解禁する改正道路交通法も2019年6月に成立しました。2020年には自動運転車が部分的に解禁されることになります。
シェアリング(Sharing)
「S」のシェアリングは、「保有」から「共有」に概念が変わりつつあることを指します。従来、自動車は購入するのが当たり前でしたが、最近ではカーシェアやライドシェアなどのサービスが一般的になり、自動車を保有しない人も増加傾向です。シェアリングの広まりとともに「サブスクリプション型」のサービスも増え始めています。月額定額で自動車に乗ることができ、乗る車も変えやすいのが特徴です。ちなみにCASEにおける「S」は「サービス」を示すこともあります。
電動化(Electric)
「E」は自動車を電動化させることを指しています。電気自動車(EV)はすでに多くのメーカーが複数のラインナップがあり、環境への負荷を軽減させることが大きな注目ポイントかつメリットです。しかしその他にもメリットがあります。例えばエンジンを搭載する必要がなくなるため、車内のスペースが広く使えます。
ガソリン車よりも車両の制御を高精度化できることも特徴です。ガソリンスタンドに行かずに自宅で充電を行うことができるのもメリットといえます。自然災害時には「電源」として電気自動車が役に立ったという声もあり、EVのニーズは今後より高まっていくでしょう。
今は「100年に一度の大変革の時代」
トヨタの豊田章男社長が「100年に一度の大変革の時代」と例えるように、今後モビリティ業界はさまざまな変化の波にさらされます。それに伴い、裾野産業の構造も大きく変わっていくことでしょう。その変化は「CASE」を軸に起きていく可能性が高いため、覚えておいて損はないキーワードです。(提供:JPRIME)
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