インターネットの普及により、地図はとても身近なものになりました。現在地から目的地までの行き方も簡単に調べられますし、その周辺に何があるのかもすぐに分かります。「方向音痴」と呼ばれる地図を読むことが苦手な人も、「Google Map」や「Yahoo!地図」のおかけで、簡単に目的地までたどり着ける時代になりました。しかし、オンライン上にある地図の進化は、行き先を調べるだけにとどまりません。場所や時間を超えた”旅”に連れて行ってくれるサービスが登場しています。

2007年にサービスを開始した「Googleストリートビュー」は、世界中の道路沿いの風景をパノラマ写真で見られることでおなじみです。観光地を旅したり、海外に行ってみたり、ディスプレイ上とはいえ、360度に方向を変えられるユーザーインターフェースや、その場にいる人の姿も確認できる精細さで、目で見る旅を楽しむことができます。

移動するだけでなく、時間さえも超えて楽しめる地図サービスもあります。国土地理院が提供する「地理院地図」では、作成・撮影年を指定しての地図検索が可能。空中写真のほか、地形図・地勢図、公共測量地図なども見られます。

沼津高専が提供する「ウェブ地図 地理@沼津高専」では、福岡、広島、大阪、沼津、東京、仙台の「空中写真タイムトラベル」地図を用意。年代のスライドを動かすと、新旧の空中写真が変化し、街が移り変わっていくのです。「ウェブで過去の地形図や空中写真を見る」を選べば、住所を入力して任意の地域の空中写真を見ることもできます。場所によって、見られる年代や地図の内容は異なりますが。都心部では、ビルが建ち並んでいく様子が見てとれますし、住宅地では、宅地が造成されていくさまがわかります。さまざまな場所の変遷を楽しむことができるでしょう。

昔の地図から見えてくる地域の成り立ちと歴史

地図,時間,空間
(画像=Nopparat Khokthong / Shutterstock.com)

同様のサービスはほかにもあります。埼玉大学教育学部が提供する「今昔マップ on the web」は、全国37地域について明治期以降の新旧の地形図を切り替えながらの表示が可能です。2画面に切り替えると、現在地図の隣に昔の地図が表示され、場所の移動や拡大、縮小も、2画面同時にできます。住所や施設名などを検索すると、その場所への移動も可能。町名などの移り変わりも知ることができます。

さらに時間をさかのぼり、その場所の歴史を知れる地図もあります。奈良文化財研究所が提供する「全国遺跡報告総覧」は、発掘調査報告書をまとめたサイトです。日本地図から、知りたい場所を選ぶと、該当地域の遺跡発掘調査報告書が見られます。その近くの遺跡発掘状況を確認することも可能です。遺跡に詳しくなくても、意外と身近な場所で見つかっていることが分かると、興味がわいてくるかもしれません。

より深く情報を知りたければ、月額1,620円〜の有料ウェブサイト「ジャパンナレッジ」などを利用することがおすすめです。日本最大のオンライン辞書、事典サイトと謳うだけあり、蔵書数は約1,500冊以上にのぼります。百科事典や辞書などが豊富なだけでなく、「日本歴史地名大系」「国史大辞典」など、歴史関連の事典なども取りそろえられていて、1つのキーワードから横串で検索できるなど、多様に調べられ、とても機能的です。

少し前までは、ウェブサイトの情報量では限界があると思われていましたが、オープンソースなどの活用が進み、より広く、深い情報を知ることができるようになってきました。ウェブサービスのメリットは、ネット環境さえあれば時間や場所の制約がなく、いつでもどこでも、知りたい情報にすぐにアクセスできる利便性にあります。上手に活用することで、効率的に知的好奇心を満たす“旅”ができるでしょう。(提供:JPRIME


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