松下幸之助や出光佐三など著名な経営者たちの多くが欠かしていなかった言われる神社参拝。なぜこうした「成功者」たちは神社へ参拝していたのでしょうか。その理由を探りながら、経営者が果たした功績と絡めて紐解いていきます。

神社に足繁く通った偉大な経営者たち

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(画像=Romrodphoto/Shutterstock.com)

偉大な経営者と知られる人物の中には、神社に足繁く通い、そして再建にも尽力した人が少なくありません。

松下電器産業(現パナソニック)の創業者で「経営の神様」とも呼ばれる松下幸之助(1894〜1989)が通っていたことで知られている神社が、三重県鈴鹿市にある椿大神社(つばきおおかみやしろ)です。松下幸之助は椿大神社に茶室と庭園を寄進されていたことでも知られ、境内にはいまも「松下幸之助社」が現存しており、氏の御霊が祀られています。

日本を代表する石油元売り大手の一つである出光興産の創業者・出光佐三(1885~1981)は、地元である福岡県宗像市の宗像大社(むなかたたいしゃ)の再建に尽力したことで知られています。ちなみにこの宗像大社には、出光佐三の生涯を描いた映画『海賊とよばれた男』の中で登場する石油輸出船「日章丸」の船鐘が保存されていることでも知られています。

なぜこうした著名な経営者たちは神社とも関わりを大切にしたのでしょうか。「困ったときの神頼み」「金運アップのために」…。そんな気持ちが動機だったのでしょうか。

「国民のやるべきこと」が原動力に

信心深いことで知られていた出光佐三は、戦後の混乱期にも従業員を1人も解雇しなかったというエピソードで有名です。会社で働く社員たちを「家族」と認識し、さらには生まれ育った自分の故郷に対する恩も深く感じていた人物でした。

そんな出光佐三が宗像大社の再建に乗り出したのは、荒廃していた神社を目の当たりにしたことが理由とされています。その後は宗像神社史の編纂も手掛けるなどし、宗像大社の復興を果たしていきました。

出光佐三には「日本国家としてやるべきこと」「国民のやるべきこと」を大切にするという通念がありました。戦後の日本を支えた石油輸入もその思いで取り組み、生まれ育った故郷にある宗像大社の再建もまた、同じ思いであったとされています。

「成功者」と「神社」、切っても切れない関係

こうした日本への貢献、そして故郷への恩返しという思いは、よりよい製品・サービスを世に送り出していくという、企業の存在理由の一つともつながると考えて良いでしょう。松下幸之助も出光佐三も、参拝の動機は、良いサービスを作り多くの人への貢献が祈願だったのかもしれません。

今では世界的ファンドを動かすソフトバンク創業者の孫正義氏も毎年参拝している神社があり、歴史を紐解いてみれば、経営者だけではなく、ときの為政者の多くも神社への参拝を怠っていませんでした。源頼朝や徳川家康、平清盛、豊臣秀吉なども、それぞれ各地の神社に定期的に参拝をしていたことで知られています。

このようにいまも昔も「成功者」と「神社」は切っても切れない関係にあると言えます。成功するために神社に参拝するのではなく、参拝を続ける動機となっている思いが、その人を成功に結びつける一つの要素になっていると言えるのではないでしょうか。(提供:JPRIME


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