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2. 【高速読書1回目】どうすれば15分で1冊読めるのか
高速読書とは1冊を30分で3回読む方法
ここで、あらためて確認しておきましょう。
高速読書とは1冊を30分で3回読む方法です。
1回目を15分、2回目を10分、3回目を5分で読みます。これがパターン①です。
ここでは200ページの本を想定しています。スピード的には1ページを5秒で読むのが目標となります。200ページの本なら15分で読みきることができます。300ページの本なら25分が目標タイムとなります。
では、どうして読書時間を3回に分散するのでしょう。
一気に読書するよりも、読書時間を分散したほうが、脳に記憶が留まりやすいことが脳科学の研究で証明されているからです。加えて、1回目~3回目をそれぞれ別の場所でおこなうと、さらに効果が高まります。これが分散効果です。
また、「15分」には、人間が高い集中力を保てるのは15分が限界だという根拠があります。ですから、厚めの本を読むときは集中力の持続具合と相談して、適宜休憩を入れるのがいいでしょう。
次項からは、1回目~3回目の読書のそれぞれのコツをお話ししましょう。
1回目を15分で読むためのロケットスタートリーディング
ここではまず、ストップウォッチなどのタイマーを用意します。
私は本を読むときは、いつも無料で手に入るスマートフォンの「時間管理」アプリを使用します。多機能である必要はありません。私が使っているのはボタンを押すとスタートするシンプルなものです。
なぜ、タイマーアプリをセットするかというと、「集中力」と「達成感」、そして「記録管理」の3つが容易だからです。
本を速く読もうと思った場合、大切なのが集中力です。集中して本を読むことで、脳を活性化して、パフォーマンスを最大限に引き出すことができます。それだけ効率よく記憶に刻み込むこともできます。
実際、何か心配事をしながら本を読んだときなどは、目が文字をなぞっているだけでほとんど脳に記憶されていなかったという経験はありませんか。
しかし、だからといって腹式呼吸や丹田式のような呼吸法をマスターしたり、といった一般的な速読法が教える瞑想のような集中力トレーニングをする必要はありません。誰でもできて、簡単に集中力を高められる方法があるからです。
それが、今から紹介するロケットスタートリーディングです。
人間は始めと終わりを強制的にロックされると、その間の集中力が飛躍的に高まることがわかっています。例えば、スポーツの試合や試験などもそうです。50分と決められた時間によって、意識がそこだけにフォーカスするから、脳が集中力を発揮するのです。
これとまったく同じ状況を作り出すのがタイマーを使ったロケットスタートリーディングです。
試しにタイマーをセットして、目の前のテーブルに置いてみてください。なんだか急き立てられる気持ちになってきませんか? より集中力を発揮するには、タイマーを15分に設定してカウントダウンさせることをおすすめします。
スタートボタンを押すと同時に、わき目もふらず一気に読書開始。これがロケットスタートリーディングです。15分で読みきらなければならないため、読書中に集中力が途切れないようになります。
いっぽう、自分の読書時間を記録して管理しておくと達成感を得られて、次の読書をするのが楽しみになってきます。高速読書を習慣化させるためには、カウントダウンではなく通常のタイマーで毎回の読書タイムを計測するのもいいでしょう。それでも集中力は格段にアップします。
椅子に座ると同時にタイマーをセットして一気に読み始める
もうひとつ、本を読み始めるときに私が意識していることがあります。
それは、本を読むまでのハードルをできるだけ下げる工夫です。
一般的に、読者のみなさんが本を読むまでのプロセスはどうでしょうか。
たいてい、本を読もうとカフェに行っても、椅子に座ってまずスマートフォンを手にして、ニュースを閲覧したり手帳の確認などから始めていませんか。
それから、何通かの仕事やプライベートのメールの返信を始める。メールの内容によっては、気分が高揚したり落ち込んだりもするでしょう。
そうして、気持ちのメリハリがつかずに、しまいには本を読む時間も、気力も失われていくわけです。
そうならないためにも、私が決めているひとつのルーティーンがあります。
それは、目の前に本を置く習慣です。それも、座るとほぼ同時に、カバンから本を取り出してテーブルに置きます。
可能なら、そのままタイマーアプリを起動して、ボタンを押します。すると、合間に余計な誘惑を挟むことなく、すぐに高速読書に入ることができるのです。
人の意思(ウィル)というのは、あんがい脆いものです。何か障害があるたびに、私たちはウィルパワーをどんどん消耗しています。
これを防ぐためには、行動までのプロセス上にある、脳が障害と感じるものをあらかじめなくしてしまうこと。できれば、ゼロにしてしまうのが一番良いわけです。
イリノイ州立大学の研究では、包装されたお菓子と、包まれていないお菓子で、どちらを人はより選ぶかを実験したそうです。
すると、包装1つでも人は面倒くさがり、ないほうのお菓子を選ぶ傾向が強いことがわかりました。
つまり、それだけ人というのは誘惑に弱く、面倒くさがりの生き物なのです。
目次は読まなくていい
一般的な速読術や読書術でよくあるのが、「目次」をしっかりと読んでいくと良いという方法です。読書好きな方なら、一度は目にしたことがあるおきまりなパターンです。
でも、「はたして本当かな」と長年、高速読書を続けてきた私は思ってしまいます。
目次をきちんと読めば、内容の配置や、章立ての構造が事前に理解できて、速読や本の理解につながる。一般的にはそれが目次にしっかり目を通す理由らしいのです。たしかに、ごもっともに思えます。でもこれって、あんがいムダな作業です。
いったい、どういうことでしょうか。
目的をきちんと持って読めば、正直、目次なんか読む必要はありません。
いろいろ速読の本を読むと、「目次を見ましょう」「そのあとは、あとがきを読みましょう」と書いてあります。
けれども、それを真に受けて読むと、時間がかかってしかたありません。
なぜかというと、目次に書かれている大見出しも小見出しのタイトルも、全部、本の中に書いてあるからです。本を読めば自然と目次も読めます。それを、わざわざ目次だけを時間をかけて読んでも、すごく手間だし、時間がもったいないのです。
では、書店に並んでいる多くの速読の本が、なぜ「目次が大切だ」と主張しているのかというと、全体像を把握したほうが内容を予想しながら読めるからです。
内容やテーマを事前に捉えて、ある程度の目星をつけて、あとは目だけを動かして把握する。その一連の動作を補助するために、そう言っているのだと思います。
その本のテーマを見つけ出す。そのために、目次から理解しようというわけです。
しかし、はじめから自分の人生でどう活かすかを、アウトプットノートや手帳に書き出していれば、目次をそもそも読む必要がなくなります。
他人が構成した目次から、自分が本を読む目的やテーマを見つけ出そうとするのは、あまりに他人まかせすぎると思いませんか。
本当に自立した読書を目指すのであれば、まず自分で紙に書き出す。それから、その目的に沿って本を読むことが大切になります。
つまり、高速読書では目次のページは基本的には飛ばします。
私もそうしています。これで、まずはスタートの時間を短縮できます。
あとがきも、基本的には読まなくていい
つぎは、「あとがき」についてです。
これも、あとがきには著者の考えが集約されている。だから、最初に読みましょうというメソッドがあまりに多くて驚きました。
たしかに「あとがき」で答えが見つかることもあります。
しかし、ほとんどのケースで、それは稀です。
基本的に、あとがきは本文で書かれた内容を、著者の語り口で補完するか、簡単に要約してまとめているだけです。
つまり、本文と重複した内容であることが多いのです。
そういった自分の目的にそぐわない箇所は、ざっと目を通して必要ないと思ったら飛ばしてしまっても大丈夫です。
著者の自慢話や、身内への感謝なども同じです。読まなくても本の内容は十分に理解できます。
でも、普通の人だと読んでしまいますよね。
しかし、私は違います。「この本を書くときに、お世話になったコンサルティング会社の田中さん」と書かれていたら迷わず飛ばします。
そこに、読むか読まないかの判断の余地はありません。
自分の目的や願望が明確だと、自然とそうなります。
ただ、誤解してほしくないのはその理由です。著者みずからが書くこと自体は、とても良いことだと思っています。書かれた方もうれしいはずです。私も自分の著書で社員に感謝の言葉を述べたことがあります。
ただ、著者はそれを「あなた」に言っていない。
執筆を支えた妻やそのご子息、お世話になった編集者や友人に向けて書いているわけです。であれば、あなたが読む必要はありません。
これで、読む前からすでに、十数ページがすでに高速読書の対象から外れます。
読む価値のない箇所はどんどん読み飛ばせ!
どんどんいきましょう。
今度はイラストや図表です。
基本的に本のイラストや図表は本文の内容を補完するためのものです。
試しにこの本の図表を見てみてください(P53参照)。
いかがでしょうか。書かれている文章も内容も、ほぼ本文のものと一緒です。
これはイラストや図表を作成する際に、本文から構成する文章を抜粋しているからです。そのため自然と本文を要約したような文字となるのです。
もちろん、イラストや図表をすべて否定するわけではありません。
例えば仕事の手順などのプロセスをしっかりと理解したり、難しい公式をイメージで覚えようとすれば、図表で頭に入れたほうが効果的です。
しかし、すでに本文を読んで内容が十分理解できているのであれば、これらもすべて読み飛ばして問題ありません。
理解ができている内容を図解で確認しても、それ以上の効果は期待できません。
これで、ジャンルにもよりますが、多い場合で全体の3分の1があなたの読む対象から外れます。
もっとも、少し驚かれた読者の方もいるかもしれません。しかし、高速読書ではその内容が果たして読む価値があるのか、という判断が常に必要です。
結局、すごく大事な考え方ですが、すべてを大切だと思う人は、すべてが大切に見えてしまう、ということです。この視点が脳を最大限に活用する高速読書には必要で、自分の目的や願望を持つことの最大の理由になります。
目的が明確になればなるほど、すべてが大事に見えなくなる。必要でないものがわかる。
何が大切で、何が大切じゃないかを先に決める。こうすることで、脳の記憶力を最大限に活用しながら、誰でも、らくらくと速く読めるようになります。
本文に入る前にカバーと帯だけはチェックしておく
目次などを読まないと、全体像や、自分に必要な重要な箇所がわからずに困るのではないかと考える人もいると思います。
しかし、そんな心配はいりません。
私の高速読書にも、きちんと全体を把握するための、読む前の手順が存在しています。
では、私はどのような順番で本を読むのでしょうか。
私の場合は1回目をだいたい10分で読むことを目標にしています。
読む順番はまずタイトルです。
次に帯。さらに帯の裏を確認します。
帯の表裏を見れば、たいていの場合、どういった内容が手に入るのかが記載されています。この部分を確認するだけで、ほぼ目次を読むのと等しい情報は手に入るでしょう。むしろ、これ以上の情報を読む前にインプットする必要があるのでしょうか。論理的な理由があれば、説明してほしいものです。
さらに、私はもうひとつ、オリジナルで確認するページがあります。
本のカバーの折り返し(前そで)です。
前そでとは、本のカバーを開いたところの右側の部分です。帯もそうですが、ここにはだいたい、この本で編集者が読者に手に入れてほしいポイントを非常にシンプルな言葉で解説してあります。しかも、たいていの場合、数行程度で書いてあります。
これらを順番に見て、把握すれば、本の内容や、読者に提供したい価値は、たいてい理解できます。
帯もカバーも、プロ編集者が何日もかけて、ときには営業担当や編集長にダメ出しを受けながら要点をまとめたものです。おそらく、この世で一番わかりやすく、かつ客観的に本の内容を表現したものと思って間違いないでしょう。
あとは、著者のプロフィールも確認します。
これも、ただずらずらと書かれた文字を眺めるだけではいけません。著者の経歴を確認する目的を持ちましょう。
作者の経歴を読むことによって、背景や著者自身の目的、人生において何を大切にしているかのバックボーンがわかります。そのようにして読めばより理解が早まると思います。