2019年は太宰治生誕110年です。太宰治といえば、言わずと知れた文豪。『人間失格』『斜陽』『走れメロス』をはじめ、たくさんの名作を残しました。その文学性の高さはもちろん、多くの女性との色恋沙汰の果ての入水自殺というスキャンダラスな人生も広く知られるところ。没後長い時を経てもなお、多くの人を惹きつけてやみません。

2019年は映画化が目白押し

太宰治,生誕,110年
(画像=PixHound/Shutterstock.com)

それを証明するかのように、映画化、アニメ化などもこれまで繰り返し行われてきました。特に生誕110年の2019年は、蜷川実花が監督、小栗旬が主演を務める映画『人間失格 太宰治と3人の女たち』や、本広克行氏と、人気小説家の冲方丁氏、若手トップクラスの人気を誇る声優の宮野真守氏がタッグを組み、『人間失格』に大胆なアレンジを加えたアニメ映画『HUMAN LOST 人間失格』が公開されるなど、太宰熱は高まる一方です。

太宰は明治42年、青森県北津軽郡金木村に、新興地主の家の6男として生まれました。父は大地主で貴族院議員にもなった津島源右衛門。しかし、父母の愛を受けることはほとんどなく、叔母や子守りに育てられました。その後、帝大の仏文科に入学。紆余曲折を経て、文学に道に進みます。

貴重なお宝に触れる

まず訪れてみたいのが太宰治記念館「斜陽館」。こちらの屋敷は太宰の父が建てたものです。青森でも指折りの富豪と言われた屋敷にふさわしく、階下11室278坪、2階8室116坪、庭園を合わせて約680坪の大豪邸です。戦後になって津島家が手放すと、昭和25年からは旅館「斜陽館」として町の観光名所となり、全国から多くのファンが訪れていました。

さらに平成8年に旧金木町が買い取り、現在の記念館に。現在ではほとんど残っていないという初期の作品の原稿や、生前着用していたマントや執筆用具など、約600点の貴重なお宝に出会えます。

この近くには、「太宰治疎開の家(旧津島家新座敷)」もあります。太宰の兄夫婦が大正時代に建てた新居の離れで、文豪デビュー後に使っていた建物として唯一残っている邸宅です。太宰が戦禍から逃れ、妻子を連れて故郷に身を寄せた場所とされています。ここに滞在していた1年4ヵ月で、23作もの執筆を行っています。

生前の太宰の息づかいを感じられる

小説「津軽」にも登場し、太宰が若かりし頃に散策していたといわれる芦野公園には、生誕100年の際に建設された太宰治銅像があり、駅前の喫茶店「駅舎」では生前の太宰の写真を眺めながら、彼が好んだという「万茶ン」オリジナルブレンドコーヒーや、金木特産の馬肉を使用した馬まんを味わうことができます。

さらに、奥羽本線の弘前駅には、「太宰治まなびの家(旧藤田家住宅)」があります。ここは太宰が昭和2年から5年までの3年間、弘前高校に通うために下宿していた家。2階の奧にある太宰の部屋は、押し入れ、縁側、出窓がついた6畳間。太宰が実際に使用した机や茶だんすなどが当時のまま置かれ、太宰の息づかいまでも感じられるようです。

弁当片手に津軽鉄道に乗って

これらのルーツをたどるなら、ぜひ津軽鉄道を利用したいもの。残念ながら現在は終了してしまいましたが、2019年の1月から3月までは太宰治生誕110年ロゴをヘッドマークに取りつけた車両も運行していました。

仮に東京から向かうとなると、東北新幹線で新青森駅へ。そこから奥羽本線に乗り換えて川部駅まで。さらに五能線に乗り換えて、ようやく起点である津軽五所川原駅に到着します。なかなかの道のりですが、大半が無人駅というローカル線の旅というのも乙なものです。

冬場に行くなら、ぜひ「ストーブ列車」に乗ってみましょう(毎年12月1日から3月31日まで運行。1日3往復のみ)。設置された「だるまストーブ」で暖をとりながら雪景色を眺めるという貴重な体験ができます。

ルーツをたどれば、ファンはもちろんそうでない人にとっても興味深い旅になること間違いなし。文庫本を片手に、太宰の世界に浸りに行ってみませんか。(提供:JPRIME


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