廃止すべき仕事か判断する3つのステップ

有名な業務効率化のフレームワークに、ECRS(イクルス)というものがあります。これは、次の4つの順番で、業務改善の切り口を考えようというものです。

・Eliminate(取り除く)
・Combine(結合する)
・Rearrange(取り替える)
・Simplify(簡素化する)

できないリーダーは、ここでSの簡素化から考えます。

日報の例で言うと、たしかに形骸化しているが、誰かが見ているかもしれない、あるいは日報がなくなると日々の業務をメンバーがサボるかもしれないと考え、「じゃあ、日報の記入項目を減らそう」と提案します。

たしかに、先ほどの従業員数などの項目がなくなれば、日報を書く時間は削減されるかもしれません。しかし、劇的な業務改善にはならないでしょう。

一方、できるリーダーは、まずEの取り除くこと、なくすことを考えます。

ここでいえば、日報の項目を減らすのではなくて廃止することを考えるのです。

その際、次の3つのステップで検討していきます。

1. その仕事が、価値を生み出しているかどうかを考える

この場合、いつか将来価値を生み出す「かもしれない」という考えはやめましょう。この仕事をすることによって、どんな金銭的メリットや、チーム内のメリットが生まれているのか、そもそもの部分に立ち返って考えるのです。

2. その仕事が、誰のための仕事かを考える

先ほどの日報の例の場合、「部長がたまに見るのに必要だから」といった、それほど全体の価値を生み出していない仕事ならば、廃止してしまいましょう。当人が困るようであれば、顧客リストなど、代用できるものを考えれば良いだけです。

3. その仕事をやめると、問題が発生するかどうかを考える

それを廃止したときに、金銭面などで影響はなくても、何か大きな問題が発生しないかどうかは、考えておくべきでしょう。お客様の誰かが困るかもしれない、あるいは担当者自身が不在のときに困ることがないかなどが基準になります。

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(画像=THE21オンラインより)

吉田幸弘(よしだ・ゆきひろ)
リフレッシュコミュニケーションズ代表
1970年、東京都生まれ。大手旅行代理店を経て、学校法人、外資系専門商社、広告代理店で管理職を経験。「怒ってばかりのコミュニケーション」で降格を経験したことからコミュニケーションを学び、2011年に独立。現在はコーチングの手法を駆使し、経営者や中間管理職向けにコンサルティング活動を行なう。(『THE21オンライン』2019年09月20日 公開)

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