今、JRA(日本中央競馬会)の馬主になる人が増えています。実際に馬主になると、どれくらいの収入が得られるのでしょうか?また、馬主として競走馬を出走させるまでの流れや要件はどのようになっているのでしょうか?馬主デビューまでの流れを解説します。

JRAの馬主が過去6年で953名義も増加 馬主登録の要件緩和が影響?

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(写真=PIXTA)

日本経済新聞によると、JRAの馬主登録数は、2018年末の段階で2,473名義となっており、底ともいえる2012年末(2,256名義)よりも200名義以上増加。過去6年では新たに953名義の馬主登録があったといいます。

この6年間、JRAは馬主登録の要件を緩和して「馬主登録」の裾野を広げる戦略をすすめてきました。例えば、馬主に関する情報や賞金の試算シミュレーターなどを公式サイト内に設置。さらに、馬主登録ビギナー向けのオリエンテーションを行うなど、馬主ビギナーをバックアップするための様々な施策が実施されています。馬主登録数の増加は、このようなJRAの活動が成果をあげたと考えてよいでしょう。

馬主へのリターンは? JRAの競走馬1頭あたりの年間収入は723万円

それでは、馬主として得られるリターンや、登録までの流れを見てみましょう。所有する競走馬がレースに出走すると、馬主は以下のようなリターンを得られます。

・本賞
1~5着までに入賞すると、レースごとに定められた本賞金が支給されます。
・出走奨励金
6~8着(重賞レースの場合は10着まで)の馬に、1着賞金に所定の比率を乗じた出走奨励金が支給されます。
・特別出走手当
全出走馬に着順にかかわらず、出走手当が支給されます。

つまり、出走さえすれば何らかのリターンは得られることになり、2017年度の1頭平均年間収入は約723万円(JRA調べ)となっています。

馬主登録審査・馬主登録を経て、競走馬を購入 調教を受けて新馬戦へ

馬主になるには、どのような手順を踏む必要があるのでしょうか。現在は以下のようになっています。

(1) 必要書類を用意して「馬主登録申請」を行います。
(2) 申請書類の精査や各種調査、照会を経て、4・7・11月に行われる「馬主登録審査」を受けます。
(3) 審査結果が通知され、合格していれば登録料1万円を納付して「馬主登録」されます。
(4) 登録免許税9万円を納付します。
<参照>JRA 馬主登録申請ガイド

完了すれば勝負服のデザイン登録や所有馬預託契約など、晴れて馬主としての活動を始めることができます。

競走馬の購入は馬の年齢別に「当歳(0歳)市場」「1歳市場」「2歳市場」のセリに参加して行います。ほかにも馬主登録3年以内の馬主を対象にした「新規馬主限定セッション」や、生産者と直接交渉する「庭先取引」でも購入することができます。

購入した馬が調教を受けて無事2歳になると、いよいよデビュー戦を迎えます。ここから馬主は出走のたびにリターンを得られるようになります。

馬主になるには、1,700万円以上の所得、7,500万円以上の資産が必要

魅力的な馬主生活ですが、誰でも馬主になれるわけではありません。個人馬主になるには、以下の要件をクリアすることが必要です。

・破産者、犯罪者、日本中央競馬会関係者の役員や職員、調教師や騎手などの競馬関係者、必要な書類を提出しない者など
・継続的に得られる見込みのある所得金額が過去2年いずれも1,700万円以上あること
・継続的に保有する資産の額が7,500万円以上あること

やはり個人馬主になるには、ステータスの高い富裕層でないと難しいことが要件からも見てとれます。けっして庶民的な趣味でないことは確かなようです。

馬の成長を家族で見守る馬主ライフを楽しむ方も

競走馬を持つことは、安定したインカムゲインのある投資とは異なります。投資というより「夢を買う」といったほうがよいかもしれません。

また、馬主というと個人的な趣味というイメージがありますが、実際には家族で楽しんでいる人もいるようです。競馬場には「馬主席」という特別な観覧スペースがありますが、馬主席の服装規定にのっとったフォーマルな服装で、仲良く競馬を観戦する家族連れもあるといいます。愛馬が出走する競馬場に出かけ、ともに応援することで家族の絆が深まれば、馬主にとってはこのうえなく有意義な趣味といえるのではないでしょうか。

G1レースに愛馬が勝って莫大な優勝賞金をもたらしてくれる夢を見るのも楽しいですが、成長を見守ってきた愛馬が緑のターフを一生懸命に走る姿を見る感動こそが、馬主の醍醐味なのかもしれません。(提供:Wealth Lounge

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