(本記事は、二神雅一氏の著書『思考のリミッターを外す「非常識力」 日本一不親切な介護施設に行列ができる理由』ユサブルの中から一部を抜粋・編集しています)

非常識に挑む!社会人としての重要な3つの心構え

役立つ人
(画像=AnirutKhattirat/Shutterstock.com)

【心構え1】意味を考え何事にも真剣に取り組む

自分の特性を知るためには役割を見つけること、「やらされ感」ではなく「好きなもの」として真剣にやること──すでにお伝えしたことです。

では、真剣とは何か?「雑事・凡事をいい加減に扱わない」ということです。

自分に与えられた“やりがいを感じる仕事”を雑にやる人はいないと思います。そうでなければやりがいを感じないはずですから。逆に、やらされ感を覚えそうな雑事にこそ、「誰でもできることだから」とついつい手を抜きがちになってしまうものです。

例えば、誰でもできそうなファイリングやコピー、お茶汲みと言った業務……雑事と呼んでは失礼かもしれませんが、こういう業務にも意味があると考えて、一生懸命やることが重要です。

あなたがまとめるファイルやコピー資料が高額な受注を勝ち取るためのプレゼン資料かもしれません。重要な案件を精査するための会議資料かもしれません。

あなたの入れた1杯のお茶やその提供の仕方が、商談相手に与える印象を変えたり、商談の場の空気を決めてしまうことがあります。私からすれば、誰がどのようにお茶を出すかも、商談の内容のひとつです。

すべての仕事には意味があり、そこにやりがいのある/なしは存在しません。万事に真剣に取り組み、高いクオリティを出すことが重要なのです。

【心構え2】日本海軍の3つの教え

日本海軍の教えの中に「5分前精神」「出船の精神」「ようそろの精神」という3つの伝統があります。

軍隊というといいイメージを持っていない人も多いかもしれませんが、しかし人としての在り方の部分で、私たち一般人も見習うべきところはあると思うのです。あまり構えずに読み進めてもらえればと思います。

「5分前精神」は、何事も定刻5分前には準備を終えて、いつでも行動できる準備をしておくということです。何かトラブルがあってもいいよう早め早めに行動し、相手を待たせるのではなく、逆に相手を待つくらいの余裕を常に自分に与える行動原理です。

昔の海軍は出港5分前には必ず帰艦するように躾けられていました。しかも、5分前に帰艦しなかった場合は敵前逃亡と見なされ、海軍刑法で死刑が規定されていたのです(今の私たちには信じられないほど厳しい掟ですね)。

そう考えると、「5分前に準備をしておく心構えくらい、生活習慣の中で少し改めてみようかな?」と思えるのではないでしょうか。

「出船の精神」は、船を入港させるとき、前からではなく後ろから入れる。自動車を駐車場に入れるときに頭から突っ込むと、出るときに時間と手間がかかりますよね。船の場合は特に、です。

いつでも次の行動に向けて、即座に始動できるよう、臨戦態勢に入れるよう、「事前準備を怠るな」ということです。これは、5分前精神にもつながってきます。

「ようそろ」の意味はご存知でしょうか?「よろしく・そうろう」を縮めたもので、意味は「それでよろしい」。現在で言う「了解」「問題なし」の意味で使われる言葉です。

「ようそろの精神」とは、相手の言うことに対して、まず「了解しました」という素直な気持ちで受け入れるところからスタートしよう、ということです。

【心構え3】約束を守るための即時処理

仕事の〆切や納期を守ること、いただいているお金と同等かそれ以上の価値を提供することは、社内・社外を問わず「仕事をする相手」との約束事です。これを守るのは、社会人としては当たり前のこと。

では、そのためにはどうするかというと、できるだけすぐにやることです。もちろん、優先順位やスケジュールがあるのはわかります。あと回しにしなければいけないときもあるでしょう。だから、そのなかで“可能な限り”即時処理をすることです。

結局、すぐやる人が一番評価されますし、結果を残す人に共通していることです。これはトップ・マネジメントをしようと思ったら特に必要ですので、習慣化をお勧めします。

ちなみに、我々の業界ではサービスを提供しただけでは仕事をしたとは見なされません。サービスした内容の記録を残して、初めて仕事と見なされます。

そして、その記録を行政の指導課が定期的にチェックをしに来るのですが、そのときに記録がなかったり不備があると、実際にサービスを提供していたとしても、報酬を返還させられることになるのです。

サービス提供後の記録作業は忘れたり、おろそかになりがちです。しかし、小さな油断が元ですべてが台なしになってしまうこともあるのが仕事です。そのようなミスを防ぐためにも即時処理の習慣は非常に重要です。

社会で役立つ人になるための4つの条件

続いて、必要とされる「人財」になるための4つの条件です。

人財は英語で「ヒューマン・キャピタル(資本としての従業員)」と言い、教育などの投資コストをかけて「自ら稼げる人」に育てる意図があるようですが、ここでは私が定義している「人の役に立つ人」としてお伝えします。

「役に立つ=社会を良くする」ということで、「働く理由=幸せになるため」にもつながっています。

【条件1】差別せず、平等につき合う人になる

まず人として、相手の尊厳や価値を認められる人でありましょう。そして、相手を尊敬できる人間であることです。

誰かから認められたい、尊敬されたいと思うのであれば、まず自分から相手を認め、敬愛することです。自分から、が先です。

経験上、人から尊敬されるような人々は、他人に対してもそういう態度が取れる人です。他人をなかなか認めない、敬うことができない人は、能力があっても人の上に立つような立場にはなれないものです。

特に役職に就くと、ある程度肩書きで仕事ができるようになります。肩書きを与えられる=一定の評価を得たことになりますし、同時にさらなる期待をかけられたことにもなります。

そうなったら、なおさらに相手の良いところを見つけ、伸ばせる人にならなければいけません。

逆に肩書きがついたからと言って人を見下すようでいると、周囲の人はついて来ませんし、いつか必ずその椅子から引きずり降ろされてしまうでしょう。

【条件2】自分や自分の置かれた環境に誇りを持つ人になる

役に立つ=社会を良くするとお伝えしました。その背景には、問題意識と同時に社会に対する愛情が必要になってきます。愛情があることで、組織と一体になる。自分が活動する地域やコミュニティに対しても同じです。

自分だけでなく、自分と共に歩む仲間、所属する会社や組織、そして日本という国そのものも愛し、プライドを持って活動する気持ちでなければ、その社会で自分を活かすことはできません。

また、所属組織に対してポジティブな感情を持っていると、その組織の中でより力を発揮したいと考えるようになり、さらにパフォーマンスが向上することが実証されています。

【条件3】つらい出来事でも感謝に換える力を持つ

あらゆる出来事には意味があり、将来へつながっています。そこに無意味なものは一切ないと言っていいでしょう。たとえ嫌なことがあっても、それは自分が成長するために必要なこと。

ひとつずつクリアしていくことが大事です。

元メジャーリーガー・イチロー氏の言葉にも、

「壁というのは、できる人にしかやってこない。越えられる可能性がある人にしかやってこない。だから、壁がある時はチャンスだと思っている」

というものがあります。壁を乗り越えるだけでなく、それを感謝に換えることができれば、さらなる高みへ登っていけます。

もちろん、大変な出来事の渦中にあるときは感謝どころではないと思います。しかし、時間が経てば感謝できるようになる。実は、私も過去につらい思いをしました。ただ、それがあるから今の自分がある、と思うことができます。

理想論に聞こえるかもしれません。ですが、怒りや憎しみというものは、瞬間的なエネルギーにはなっても、創造的なものにはつながりにくいのです。だから感謝に換えて創造的エネルギーにする。どんな出来事でも、時間をかければ感謝に換えることは可能です。

私の例でお話ししましょう。30代の終盤の時期に、友人に騙されて2000万円を失いました。私がこの事実を受け入れることができるようになるまでにかかった時間は約5年。当初は毎晩、ベッドに入ると相手が憎くて眠れなくなるほどでした。

しかし日中は仕事に没頭し、この出来事を忘れようと働き詰めました。もっと仕事に集中しよう、もっと大きな組織にしてやろう、というエネルギーになったのです。そしてようやく、この出来事のおかげで自分はがんばることができた──そう思えるようになったのが5年経ったころでした。

さらに、この事実を感謝に換えるためにかかった時間は約5年。なぜ友人は自分にそんなことをしなければならなかったのか、自分にはできることがなかったのか……様々なことを考えました。

自分自身に欠けていたものもわかったような気がしました。詳細は省きますが、そこで自分自身の成長につながる課題に出会えたのです。もちろん今はその友人とのつき合いはありませんし、2000万円も返ってきませんでしたが、それ以上の人間力を養うことができたと思っています。

【条件4】心の声に素直に従ってみる

お酒であったりタバコであったり、つい遅刻してしまう癖、二択があったら楽な道を選んでしまう……など、何でも良いのですが、ポイントはあなた自身が「本当はいけないことだよな……」と感じていることを、なるべく早くやめようとすることが「正道」に近づいていく生き方です。

絶対にそうしなければいけない、というのではありません。やってみようと行動することが大事なのです。

もしも行動しないとどうなるか?人は基本的に楽なほうに流されやすい生き物です。だから、意識的にその流れを断ち切ろうとしないといつまで経ってもやめることはできません。

週にたった一日でもお酒を控える日を作れば、それだけでも進歩です。その感覚からで構いませんので、自分の中でダメだと思っていることはやめてみる。逆に「世のためになる」「人の役に立つ」と感じることはすぐに実践してみましょう。

思考のリミッターを外す「非常識力」 日本一不親切な介護施設に行列ができる理由
二神雅一(ふたがみ・まさかず)
株式会社創心會(そうしんかい)代表取締役、作業療法士、介護支援専門員。1965年、兵庫県西宮市生まれ。中学より松山市で育つ。愛媛十全医療学院・作業療法学科を卒業。後、作業療法士として香川県と愛媛県の病院で4年間勤務。その後、訪問リハの会社などに転職し、30歳で独立。岡山県倉敷市にて「創心会在宅ケアサービス」を設立する。介護保険制度が開始された2000年に「株式会社創心會」に組織変更。

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