「長く携わった経験」はそれだけで価値がある

「起業しやすいからといって、自分は孫正義さんのように志が高いわけでもなく、壮大なビジョンもない凡人。若くはないし、できるわけないだろ!」と思われる方もいるかもしれません。

結論から言うと、大丈夫です。若くない凡人には、凡人なりの戦い方があります。ちなみに、私自身も35歳で起業した凡人の一人です。

というか、起業をするならむしろ、30代以上がいい。それまで蓄積してきた知識や人脈といったスキルと経験値をフルに活かせるからです。

私の例でいえば、20代前半から30代半ばにかけて、ガラケーのアプリに関するマーケティング支援事業に携わっていました。年代でいうと、2001年から12年までの10数年間です。

この10数年は、NTTドコモがiアプリを開発したことでガラケーのアプリ対応端末が急成長を遂げ、やがて成熟を経てスマホの登場で衰退へと向かっていった時期にあたります。

そのため私はモバイルアプリ市場の導入期、成長期、成熟期、衰退期の各フェーズにおいて、どの時期にどのようなマーケティング手法が有効であるのかを、つぶさに見てきました。

この経験がスマホゲームのマーケティング支援事業で役立ちました。ガラケーとスマホはデバイスが違っても、成長フェーズごとに求められるマーケティング手法が、驚くほど似ているのです。

そのため、私は市場の先を読みながら、取引先に対してその都度適切な提案をすることで、成功できました。

このように10年以上働いた経験がある方であれば、何かしらの事業や商品・サービスの栄枯盛衰のサイクルを間近に見てきたはず。

その経験をもとに近しい業界の市場や商品を見れば、業界が抱えている課題や成長フェーズ、今後求められる商品・サービス、プレーヤー等を推測することは可能ではないでしょうか。

つまり、今後の業界課題が先回りできる。特別なインスピレーションを持つ天才でなくても、その業界に長く携わった人であれば誰でもできることだと思いませんか。