輸出入ともに減少が続く

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財務省が12月18日に公表した貿易統計によると、19年11月の貿易収支は▲821億円の赤字となったが、赤字幅は事前の市場予想(QUICK集計:▲3,717億円、当社予想は▲2,235億円)を下回った。輸出の減少幅が10月の前年比▲9.2%から同▲7.9%へと縮小する一方、消費税率引き上げ後の国内需要の落ち込みや原油価格の下落を反映し、輸入が前年比▲15.7%(10月:同▲14.8%)と減少幅が拡大したことから、貿易収支は前年に比べ6,570億円の改善となった。

輸出の内訳を数量、価格に分けてみると、輸出数量が前年比▲5.0%(10月:同▲4.4%)、輸出価格が前年比▲3.1%(10月:同▲5.0%)、輸入の内訳は、輸入数量が前年比▲8.1%(10月:同▲6.1%)、輸入価格が前年比▲8.2%(10月:同▲9.2%)であった。

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季節調整済の貿易収支は▲608億円と5ヵ月連続の赤字となり、10月の▲482億円から赤字幅が若干拡大した。輸入の減少幅(前月比▲0.3%)が輸出の減少幅(同▲0.1%)を若干上回った。

11月の通関(入着)ベースの原油価格は1バレル=64.9ドル(当研究所による試算値)となり、10月から変わらなかった。足もとの原油価格(ドバイ)は60ドル台後半まで上昇しており、通関ベースの原油価格は70ドル程度まで上昇することが見込まれる。原油価格上昇に伴う輸入価格の上昇が貿易収支の悪化要因となりつつある。

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輸出はアジア向けが持ち直す一方、欧米向けが大きく落ち込む

19年11月の輸出数量指数を地域別に見ると、米国向けが前年比▲9.7%(10月:同▲6.7%)、EU向けが前年比▲7.8%(10月:同▲7.5%)、アジア向けが前年比▲2.7%(10月:同▲7.1%)となった。

19年11月の地域別輸出数量指数を季節調整値(当研究所による試算値)でみると、米国向けが前月比▲3.0%(10月:同0.2%)、EU向けが前月比▲1.3%(10月:同1.2%)、アジア向けが前月比1.0%(10月:同1.7%)、全体では前月比▲1.4%(10月:同▲1.0%)となった。10月の輸出は台風19号によって下押しされたとみていたが、その影響が緩和された11月も弱い動きとなった。輸出は実勢として低迷が続いていると判断される。

19年10、11月の平均を7-9月期と比較すると、アジア向けは0.9%高いが、米国向けが▲4.7%、EU向けが▲3.8%、全体では▲2.2%低くなっている。18年後半以降の輸出低迷の主因となっていたアジア向けの輸出はIT関連品目の持ち直しから下げ止まりつつあるが、米国向け、EU向けの輸出が大きく落ち込んでいる。

一方、19年11月の輸入数量指数(当研究所による季節調整値)は前月比▲2.1%(10月:同▲1.0%)となり、19年10、11月の平均は7-9月期を▲2.8%下回っている。

現時点では、19年10-12月期のGDP統計の輸出は2四半期連続で減少するが、消費税率引き上げ後の内需低迷を反映し、輸入が輸出以上に落ち込むことから、外需寄与度は3四半期ぶりのプラスになると予想している。

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斎藤太郎(さいとう たろう)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 経済調査室長・総合政策研究部兼任

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