前日については、米・12月フィラデルフィア連銀景況指数、米・新規失業保険申請件数、米・第3四半期経常収支、米・11月景気先行指数、米・11月中古住宅販売件数などの米国の経済指標が軒並み悪化したことを受け、ドル円は下落する動きとなりました。一時1.9503%前後まで、約1カ月ぶりの高水準を付けた米10年債利回りが、1.8959%前後まで低下したこともドルの上値を抑えることになり、ドル円は109.186円まで下値を拡大しました。

米下院におけるトランプ大統領の弾劾訴追の可決、ムニューシン米財務長官が米中通商合意の署名は来年1月初旬に行われると発言したことについても、市場の反応は限定的になっており、クリスマス前後の流動性の低いマーケットに突入しています。ここから大きくマーケットが動くには、それなりの材料が必要になってくることから、メインシナリオとしては、非常に狭いレンジでの動きが中心になってきそうです。

BOEは、金融政策委員会で、政策金利を0.75%に据え置くことを7対2の票で決定しました。総選挙で与党・保守党が圧勝したものの、EU離脱を巡る不透明性がどの程度解消するか判断するのはまだ早いとの見解を示しました。ジョンソン英首相は、施政方針の中で、優先課題は1月末にEUを離脱することだと言明し、その上で、離脱後の移行期間(2020年12月31日まで)を延期する可能性を排除するとも付け加えています。英首相報道官は「保守党マニフェストでは移行期間延長せずと明確に示している」と述べているように、総選挙後の保守党の動向は想定通りではあるものの、自由貿易協定(FTA)交渉がまとまらず、「合意なき離脱」と似たような事態に陥る可能性があることは、引き続きポンド売り材料として意識されそうです。

今後の見通し

FXプライム,市況解説
(画像=PIXTA)

現在、マイナス金利を導入しているのはECB、スイス中銀(SNB)、日銀などが挙げられますが、ECBもいつかはマイナス金利解消に向かうとの観測が出ています。背景としては、世界で最も古い中銀であるスウェーデン中銀が、現行の-0.25%から0.00%に引き上げることを決めたことです。これにより、5年間にわたったマイナス金利が解除されるされることになることから、ECBも同様に解除するのではないかとの思惑が強まっています。ECBは9月に中銀預金金利を-0.50%に引き下げたものの、今後の追加緩和については、恐らく回避される見通しです。

昨日の日銀決定会合では、「貸出増加支援資金供給の見直し」と「ETF貸付制度の導入」 という2つの制度変更が決定されましたが、大枠の金融政策に関しては維持された模様です。黒田総裁会見では、景気・物価に対する前向きな評価がやや目立ち、副作用に対する発言にも言及していましたが、当然ながら追加緩和バイアスも維持してバランスを取っていたことで影響は限定的になっています。いずれにしても、マイナス金利深掘りを真剣に検討していた9-10月のような緊張感は無く、金融政策据え置きで様子見が当面の基本シナリオとなりそうです。

ドル円110円レジスタンスが年末に向けてのポイント

109.70-80円までの戻りが理想でしたが、109.70円目前で上値が抑えられてしまったので、109.65円で成行ショートです。110円レジスタンスが大名目としてありますが、109.80円のラインも上値の重さが確認できます。利食いは、11/21の108.30円付近、損きりについては、明確に110円を上抜ける110.30円付近に設定します。

海外時間からの流れ

米下院で、トランプ大統領の弾劾追訴決議案が可決されたものの、さほどネガティブ視はされず、NZダウを筆頭とした主要3指数が上げ幅を広げるているように、株高のマーケットであってもリスク選好の動きが限定的になっています。季節的なものが考えられるため、株価上昇でドル円などが反発したところは、戻り売りのポイントとして考えられそうです。

今日の予定

本日は、英・第3四半期GDP(確報値)/英・第3四半期経常収支、米・第3四半期GDP(確報値)/米・第3四半期個人消費(確報値)/米・第3四半期GDP価格指数(確報値)/米・第3四半期コアPCE(確報値)、10月小売売上高/加・10月新築住宅価格指数/加・11月新築住宅価格指数、米・12月ミシガン大学消費者信頼感指数(確報値)などの経済指標が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。