年収400万円の人が住宅ローンを借りる場合、いくらが適正な金額なのだろうか。借りられる金額と借りてもいい金額は異なるため、マイホームを購入した後も無理なく返済していける借入金額の計算方法を紹介したい。
年収400万円で借りられる住宅ローンの金額は約4,100万円
年収400万円の場合では、いくらまで住宅ローンを借りられるのかシミュレーションした。
年収400万円で住宅ローンはいくらまで借りられるのか
住宅ローンの審査基準のひとつに「返済負担率」がある。返済負担率とは年収に占める年間返済額のことであり、一般的には35%が上限の目安とされる。最大限借りられる金額は、以下の借入額100万円あたりの返済額早見表を使って自分でも計算できる。
借入金利 | 返済期間に対する借入額100万円あたりの返済額 | |||
20年 | 25年 | 30年 | 35年 | |
0.5% | 4,379円 | 3,546円 | 2,991円 | 2,595円 |
1.0% | 4,598円 | 3,768円 | 3,216円 | 2,822円 |
1.5% | 4,825円 | 3,999円 | 3,451円 | 3,061円 |
(※「知るぽると」シミュレーションツールを基に筆者作成)
年収400万円の人が借入金利1%固定で35年ローンを組む場合だと、以下の計算から約4,100万円が借り入れできる住宅ローン金額だ。
年収400万円÷12ヵ月×返済負担率35%=11万6,666円……(ア)毎月返済額
(ア)11万6,666円÷借入額100万円あたりの返済額2,822円×100万円=4,134万円
借入可能額は住宅金融支援機構のホームページなどからでも簡単にシミュレーションできるため、試してみるといいだろう。
住宅ローンの返済負担率は年収の25%以内に抑える
年収400万円だと約4,100万円までは住宅ローンを借りられる計算になったが、借入可能額ぎりぎりまで借りてしまうと家計が苦しくなるはずだ。
住宅ローンは返済期間が数十年におよぶため、最後まで返済を続けられるように余裕を持って借り入れしたい。安全圏と考えられている返済負担率は年収の25%以内だ。
年収400万円の適正な住宅ローンの金額は約2,300万円
返済負担率を25%に抑える場合、年収400万円ならいくらまでの住宅ローンを組んでいいのか計算してみよう。
年収400万円で借りていい住宅ローンの金額を試算
返済負担率を25%と仮定し、前述の試算と同じく借入金利1%固定の35年ローンで計算すると、毎月の返済額は約8万3,000円が上限の目安になる。借入してもいい住宅ローンの金額としては約3,000万円だ。
年収400万円÷12ヵ月×返済負担率25%=8万3,333円……(イ)毎月返済額
(イ)8万3,333円÷借入額100万円あたりの返済額2,822円×100万円=2,952万円
ただし、マイホームの購入には諸費用もかかる。物件価格に対して新築だと3〜7%程度、中古だと6〜10%程度だ。仮に物件価格3,000万円のマンションを購入すると、諸費用として90〜300万円は用意しておきたい。諸費用ローンを組むこともできるが、通常の住宅ローンより金利が高くあまりおすすめはできない。
諸費用とは別に頭金を用意する場合は、その分だけ購入対象になる物件が広がる。300万円の頭金であれば、約3,300万円+諸費用までの物件が購入できるからだ。頭金は必ず入れなければいけないわけではないが、住宅ローン返済の負担を減らすなど、少しでも理想のマイホームを購入するためには準備しておくほうがいいかもしれない。
固定資産税や修繕積立金なども含めた住宅ローンの試算
先ほどの試算では住宅ローンの返済額のみを前提にシミュレーションしたが、住宅を購入してから支払っていかなければならないお金もある。それらも試算に含めると住宅ローンの借入額はもう少し抑える必要がある。
住宅の購入後から継続的にかかる主なお金としては、固定資産税、都市計画税、修繕積立金などがある。住宅の規模や場所などで金額は異なるが、固定資産税などの税金を毎年10万円、修繕積立金などの住居にかかるお金を毎月1万円として試算してみよう。
月々に換算すると住宅ローンの返済とは別に(ウ)約1万8,000円がかかることになり、この金額を前述のシミュレーションから差し引きした結果が以下である。
年収400万円÷12ヵ月×返済負担率25%=8万3,333円……(イ)毎月返済額
(イ)8万3,333円−(ウ)1万8,000円=6万5,333円……(エ)
(エ)6万5,333円÷借入額100万円あたりの返済額2,822円×100万円=2,315万円
住宅ローンのみを前提にしたシミュレーションの結果からは少なくなったが、家計に負担をかけずに返済していくにはより現実的に考えておくほうが安心だろう。
もし、予算が希望の物件に届かない場合は、住宅購入後にかかるお金は妻の収入からまかなったり、夫婦の収入を合算してペアローンを組んだりする方法もある。
いずれにしても住宅ローンの返済負担率は、なるべく25%を超えないように意識しておきたい。
適正な住宅ローンのシミュレーションは家庭に合わせて行う
今回は年収400万円の人を対象に住宅ローンの適正な借入額を試算したが、購入できる物件は頭金の有無や返済期間、金利水準などでもまったく異なる。実際に住宅を購入するときにはその家庭の状況に合わせたシミュレーションが必要であることは押さえておこう。
文・國村功志(資産形成FP)/MONEY TIMES
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