先行きの見えない世界経済ですが、富裕層向けの海外オークションは“一般市場とは別世界”とばかりに活況を呈しています。2大海外オークションハウスであるサザビーズとクリスティーズ、その概要と、実際の参加・出品方法をご紹介します。

好調な海外オークションを象徴する2つのエピソード

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(画像=Gena Melendrez/Shutterstock.com)

海外オークションの好調ぶりを象徴するのが香港市場です。ブルームバーグによると、2019年10月上旬の香港では大規模なデモで政治・経済が混乱する一方、5日間にわたって行われた「サザビーズ」のオークションでは活発な取引が行われました。

このうち現代美術オークションでは、日本人画家、奈良美智氏の「ナイフ・ビハインド・バック」や中国からフランスに移住した画家、常玉(サンユー)氏の裸婦画がいずれも2,500万ドル前後の高値で落札され話題になったことは記憶に新しいでしょう。

同じく世界的に有名なオークションハウス「クリスティーズ」では、開催するオークションの2018年の売上高が創業以来の最高額となる約7,613億円を記録しています。

富裕層向けの2大海外オークションハウス サザビーズとクリスティーズ

2大海外オークションハウス「サザビーズ」「クリスティーズ」の概要を見てみましょう。

サザビーズは芸術作品や宝飾品のグローバル・オークションをリードする、世界最古のオークションハウスです。1744年の設立以来、コレクターと芸術作品をマッチングしてきました。ロンドン・香港・インドをはじめ、現在では40ヵ国にネットワークを持っています。取り扱い品目は、印象派・近代、コンテンポラリーアート、中国美術・書画、宝飾品、時計などです。また世界で初めてインターネットオークションを考案、開催したことでも知られています。

クリスティーズは1766年に創業した、サザビーズと双璧ともいえる老舗であり世界的規模で展開するオークションハウスです。世界各地で年間350回以上のオークションを開催し、世界46ヵ国にオフィスを構えています。取り扱い品目は美術品、宝飾品、時計はもちろん、家具、楽器、ワインなど80種類以上にわたります。

海外有名オークションへ参加・落札する方法(クリスティーズ)

海外オークションの好調ぶりから、「参加したい」「出品したい」と思った人もいるのではないでしょうか。これらのオークションに参加するには、どのような手続きが必要でしょうか。ここでは、クリスティーズへの参加・落札手順を例に挙げてチェックしていきましょう。

  1. オークション前に、作品の詳細と予想落札価格が公開されます。ウェブサイトで確認できるので、自分の予算の範囲内かどうか確認しておきます。

  2. オークション前の3~4日間、全出品作品を展示するプレビューが現地で開催されます。落札後のキャンセルはできないため、自身の目で確かめておくのが理想です。

  3. ビッド(入札)の方法は、4種類あります。会場で番号札をあげる「会場でのビッド」、オンラインで入札する「クリスティーズ・ライブ」、電話でクリスティーズのスタッフを通して入札する「テレフォン・ビッド」、希望の最高ビッド額をファックスなどで送る「書面でのビッド」です。

  4. 商品を落札した場合は、請求書、送金の案内、輸送指示書が送られます。

海外有名オークションに出品する方法(サザビーズ、クリスティーズ)

サザビーズは2019年5月、帝国ホテルに日本初の店舗をオープンしました。ここでは、入札・出品のサポートや、作品査定も行っています。不在入札から落札した作品の運送まで、入札に関するいろいろなサポートをしてくれるので、初めての人はここで相談するのもよいでしょう。

クリスティーズへの出品は、まず作品の画像や作家名、タイトル、サイズなどのデータや証明書のコピーを用意し、クリスティーズのスペシャリストが予想落札価格を提示します。出品が決定すると、現地のクリスティーズから出品委託契約書が送られます。遅くとも開催の2ヵ月前までに作品を開催地へ送り、出品完了となります。

なお、2大オークションの公式サイト(日本版)は以下のとおりです。

サザビーズジャパン
クリスティーズジャパン

分散投資の重要性が増す中、実物資産の比率アップも一案 

先行き不透明な経済情勢の中で、分散投資の重要性が増しています。これまで株や債券などのペーパーアセットを重視していた人は、芸術作品などの実物(現物)資産へ投資比率を高めるのも一案です。その選択肢の一つが、オークションに参加すること。この機会に、オークションへの参加を検討してみてはいかがでしょうか。(提供:Wealth Lounge

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