一定の株式を保有することで得られる「株主優待」。従来は商品券などが贈られることが多かったですが、最近では色々な商品と交換できる「ポイント」を付与する形態をとる企業も増えつつあります。最新の潮流に迫りつつ、この仕組みを導入している企業を紹介します。

そもそも株主優待とは?配当との違いは?

株主優待,ポイント付与
(画像=J.Score Style編集部)

「株主優待」は「配当」とは異なります。配当は企業の業績に応じて受け取ることができる利益の分配金のことで、分配金の金額が一定ではありません。業績や経営方針などによっては配当が株主に支払われない場合もあります。

一方で株主優待は、一定の株式を保有している株主に対して無料で付与されるもので、あらかじめ付与される優待品などの内容が決まっています。

全ての上場企業が株主優待を実施しているわけではありませんが、実施している上場企業の場合、優待品の内容は、自社製品の割引券や無料券などというケースが多く、より自社のファンになってもらうことを目的としたものが多くなっています。

「株主優待ポイント」の仕組み

そんな株主優待ですが、最近では割引券や優待券ではなく、「ポイント」を優待品として株主に贈る企業が目立ち始めています。保有株式に応じてポイントが付与され、そのポイントをさまざまな商品やサービスと交換できるという仕組みです。

今までは特定の商品やサービスにしか使えない優待券が多かったですが、ポイントで付与された場合、株主は自分が欲しい商品や好きなサービスを選ぶことができるというメリットがあります。結婚式などのお祝いのお返しとして人気が出てきている「カタログギフト」と似た仕組みであるといえるでしょう。

このように、より株主に魅力的な株主優待を用意すると、投資家がよりその企業に投資してみたいと思うようになるため、株主の増加や株式の長期保有につながり、企業側にもメリットが生まれます。

「ポイント制度」が増え始めた一つのきっかけは何でしょうか。それは、上場企業の株主支援サービスなどを提供するウィルズ社が提供している「プレミアム優待倶楽部」というポイント制優待システムにあります。このシステムが、広く利用されるようになったことが「ポイント制度」拡大の理由といえるでしょう。

では具体的にポイントを株式優待として提供し始めた企業の実例を紹介します。

導入企業①タカショー

ガーデンライフスタイルメーカーの株式会社タカショーは、2018年8月に株主優待制度の変更と新制度の導入について発表しています。その理由について同社は「当社株式への投資の魅力を高めること」としています。

主な変更点について端的にまとめると、優待商品のプレゼントの代わりに株主優待ポイントを進呈するということになります。溜まったポイントは、1000点以上で株主専用ポイント交換サイトでさまざまな商品と交換できるシステムになっています。

またタカショーが付与した株主優待ポイントは、ウィル社が展開する共通株主優待コインと交換することができ、よりさまざまな優待商品と交換することも可能になっています。

導入企業②ミンカブ・ジ・インフォノイド

投資家向け情報メディア「みんなの株式」を運営する株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイドは、今年7月に株主優待制度の新設を発表しました。

新設する制度は対象株主に対して株主優待ポイントを進呈するというもので、タカショーと同様に、ポイントを株主専用ポイント交換サイトでさまざまな商品と交換できるほか、ウィル社の共通株主優待コインに交換できることも特徴となっています。

タカショーもミンカブ・ジ・インフォノイドの場合も、株主専用ポイント交換サイトで自社の商品やサービスを取り扱っており、自社のブランド力を高めるとともに株主に対する魅力も高めることができるという、一石二鳥の仕組みにしています。

変わりつつある株主優待の常識

株主優待の常識も変わりつつあります。どの企業の株式を購入するかについては、その企業の業績が一つの指標となりますが、株主優待にポイント制を導入しているかも、今後より重視される判断基準の一つになっていくかもしれません。(提供:J.Score Style


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