資産を管理する目的で設立するプライベートカンパニー。タックスマネジメントの観点から、たとえサラリーマンであったとしても資産があるのなら設立のメリットが大きいと言われる。法人登記をして、関連業務は経費で落として……というところまではイメージとして抱いている人も多いだろう。
では、実際にプライベートカンパニーを運営している人はどのようなメリットを享受しているのだろうか。そして、どのようなノウハウで運用しているのか。本特集では、2017年頃からプライベートカンパニーの設立を検討し、設立に至った投資家・月間100万PVのブロガーであるたぱぞうさんにお話を伺った。(取材・新美友那/写真・森口新太郎)
blog:たぱぞうの米国株投資
Twitter:@tapazou29
株式投資で形成した1億円を管理するため、プライベートカンパニーを設立
――たぱぞうさんは転職を機に2000年から株式投資をスタートされたそうですが、何か目標があったのでしょうか?
そういうわけではありません。都の財務局勤務だった祖父と銀行員の父は共に株が好きで、僕は祖父が株価に赤鉛筆で線を引く姿を見て育ちました。単純に「株は大人のたしなみ」で、当たり前のようにやるべきものだと思っていたのです。
2000年に通信系の会社からやりたかった仕事に転職をして、今後職を変える予定もない。生活環境が落ち着いたところで「じゃあ、投資をやるか」と思い至ったのが株を始めたきっかけです。
――2017年投資を続けて、プライベートカンパニー設立に至ったのですね。
そうですね。2010年からは米国株を中心に投資するようになり、2016年から株のことをブログに書くようになりました。ブログは月間100万PVまで育ち、2017年頃に株を中心とする金融資産が約1億円に到達したんです。その資産を管理するためにプライベートカンパニーを設立しました。
――個人事業主になるのではなく、法人化したのはなぜですか?
法人化しても売上や課税所得がないとランニングコスト負けしてしまうので、個人事業主になるか法人化するかで多少迷いはありました。でも当時はまだ組織勤めを続けるつもりだったんです。個人所得が変に動くと指摘を受けて組織を辞めなければならないおそれがあったので、どちらかと言えば法人化せざるを得ない状況でしたね。
あと、僕の時代は学生起業が流行っていたんです。大学時代の友人にも起業家が多かったですし、会社を作るということ自体に憧れがあったというのも、プライベートカンパニー設立の理由のひとつです。
義弟は学生起業して会社を売却し、沖縄やマレーシアで悠々自適です。大学の後輩の会社は上場して、彼もやりたいことをやりぬいていますね。レベルは違いますが、自由が手に入ったという点は少し近づけたかもしれません。
デメリットはない。節税効果が大きく社会的属性も作ってくれる
――実際にプライベートカンパニーを設立されて、どんなメリットを感じますか?