「ネット銀行は創業してまだ歴史が浅いからちょっと心配」と感じていませんか?自分で経営状況や財務状況を調査するのも大変なことです。そこで利用したいのが格付会社によるネット銀行の格付。プロの調査による格付を確認することで、ある程度は各行の経営状況・財務状況を把握することができます。今回は、主要ネット銀行の格付がどうなっているのかについて紹介します。
主要ネット銀行の格付紹介
日本では、民間の格付会社7社が、さまざまな企業の格付を発表しています。ただしすべての格付会社がネット銀行の格付を行っているわけではありません。そこで今回は、主要なネット銀行の格付について格付会社3社分をまとめました。格付会社によっては複数の格付があるため、どの格付を採用しているかを以下で示します。
・日本格付研究所(JCR):長期発行体格付
・スタンダード&プアーズ(S&P):自国通貨建て長期格付
・格付投資情報センター(R&I):発行体格付
基本的には、発行体・長期格付を採用するようにしています。では、早速主要ネット銀行の格付がどうなっているのかを確認していきましょう!
セブン銀行
・JCR:なし
・S&P:A+ / ポジティブ
・R&I:AA / 安定的
ソニー銀行
・JCR:AA- / 安定的
・S&P:A / ポジティブ
・R&I:なし
ジャパンネット銀行
・JCR:A+ / 安定的
・S&P:なし
・R&I:なし
SBJ銀行
・JCR:A / 安定的
・S&P:なし
・R&I:なし
オリックス銀行
・JCR:なし
・S&P:なし
・R&I:A+ / ポジティブ
住信SBIネット銀行
・JCR:A / 安定的
・S&P:なし
・R&I:なし
楽天銀行
・JCR:A / ネガティブ
・S&P:なし
・R&I:なし
イオン銀行
・JCR:A
・S&P:なし
・R&I:A- / 安定的
東京スター銀行
・JCR:A- / ポジティブ
・S&P:なし
・R&I:なし
新生銀行
・JCR:A- / 安定的
・S&P:BBB+ / 安定的
・R&I:A- / 安定的
【参考:大手都市銀行の格付け】
三菱UFJ銀行
・JCR:AA / 安定的
・S&P:A / ポジティブ
・R&I: AA- / 安定的
みずほ銀行
・JCR:AA / 安定的
・S&P:A / ポジティブ
・R&I: AA- / 安定的
三井住友銀行
・JCR:AA / 安定的
・S&P:A / ポジティブ
・R&I: AA- / 安定的
格付の順番は、上から順番に以下のようになっています。
AAA+ → AAA → AAA- → AA+ → AA → AA- → A+ → A → A- → BBB+ → BBB → BBB- → BB+ → BB → BB- → B+ → B → B-→(以下略)
AAAレベルは最高ランクで債務履行の確実性は「最も高い」とされています。Aレベルまでは債務履行の確実性は「高い」とされていますが、BBBランクから下はAまでに比べて債務履行の確実性は下がるとみなされる状態です。主要なネット銀行はほとんどがAランクであり、債務履行の確実性は高いとみなされています。
格付が高評価のネット銀行3行
ネット銀行の中でも特に格付の高い3行は、セブン銀行、ソニー銀行、ジャパンネット銀行です。特に、セブン銀行は大手都市銀行よりも高い格付を獲得しており格付会社からの評価が高くなっています。具体的に大手都市銀行と格付評価を比べてみましょう。
セブン銀行は、S&PでA+という格付です。これは三菱UFJ銀行・みずほ銀行・三井住友銀行(以降、大手都市銀行3行)のAよりも1段階高いA+の評価です。JCRの格付けでは、大手都市銀行よりも、セブン銀行・ソニー銀行・ジャパンネット銀行の方が、「信頼性が高い」と評価されているということを表しています。
また、R&Iにおけるセブン銀行の格付はAAであり、大手都市銀行3行のAA-よりもやはり一段階高い評価となっています。セブン銀行の次に評価が高いソニー銀行は、S&Pの評価では大手都市銀行3行と同じA、JCRでは大手都市銀行3行のAAに次ぐAA-と同程度の評価です。
S&Pでも、セブン銀行は大手年銀行より格付けの評価が高く、ネット銀行の中でも大手都市銀行に勝る信頼度であることが分かります。
SBJ銀行はAとなっており、ネット銀行でも格付という面では大手都市銀行と同程度の信頼があると評価されていることが分かります。
格付が低めのネット銀行は何が問題?
逆に格付が相対的に低めのネット銀行は、どのような問題が影響しているのかを確認しましょう。基本的には、格付時に評価される経営状況・財務状況に懸念点がある場合、格付が引き下げられる可能性があります。今回取り上げたネット銀行の中で唯一BBB+の格付があるのは新生銀行です。一時期は他の格付会社もBBB+としていた時期がありました。
しかし、2019年時点では、JCRやR&IではA-に引き上げられています。2010年に不動産関連の不況から資産の質への懸念が高まり引き下げられた格付ですが、近年は資産の質が向上したことが評価され、格付が引き上げられた状況です。ネット銀行自体の業績とは別で親会社やグループ全体の経営リスクが格付に影響する場合もあります。
その一例が楽天銀行のケースです。楽天グループが新しく移動通信事業に参入したことから親会社の楽天自体の格付見通しが2018年4月に「A / 安定的」から「A / ネガティブ」と変化。楽天銀行も同じように「A / ネガティブ」へと変更されています。主要ネット銀行の中では格付が低めの両銀行ですが、都市銀行よりは低い評価でも地方銀行と比較すれば遜色のない格付レベルです。
この状況を見ると「ネット銀行だから信用できない」というには早計だといえます。
ネット銀行を選ぶポイントとして格付も参考にしよう
銀行を選ぶポイントとして銀行が破綻するリスクも無視できません。リスクを回避する判断材料の一つとしてプロの格付会社が評価する格付を確認しておきましょう。ネット銀行も含め各行は格付会社からの格付評価について公式サイトに掲載しています。各種手数料や金利なども重要ですが、「ネット銀行の信用力が不安」という人は、格付で銀行の信用力をチェックしましょう。
他行と比較する際は、同じ格付会社の評価を探して確認することで、その銀行の位置づけが分かりますよ。
常に最新の情報をチェックしよう
主要ネット銀行の格付評価は、イメージよりも良かったと感じたでしょうか?それとも、納得の結果だったでしょうか。ネット銀行の格付は、大手都市銀行や地方銀行と比べても、あまり相違がありません。むしろ高評価を得ているネット銀行もありました。格付は財務状況や経営状況によって刻々と変化します。ネット銀行を選ぶ際は、常に最新の情報をチェックしましょう。
文・藤森みすず/fuelle
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