2001年に退職アドバイザー企業売却を支援するM&Aが急増した時、一般的なアドバイスは、同じ場所、同じ顧客対象、同じサービスなど、買い手自身の会社に似たグループを買収することだった。
残念ながら長年の間に英知は失われてしまったようだ。買収によって成長しようとしている現在のオーナー経営者のアドバイザーの多くは、買収される企業の規模だけに注目しているようだ。
もちろんフォーチュン500社に名を連ねるような企業は、このように運営されている。しかしこれらの企業には、買収を成功させるために頼れる膨大な財務的・経営的資源があるということを忘れてはならない。それでも取引は常にうまくいく訳ではない。
大半の独立系アドバイザリー企業は、こうした資源にアクセスできない。このためオーナー経営者は成長のために異なるアプローチを取る必要がある。
好例が出版業だ。もしアドバイザリー業界が扱っているような小さくても収益性の高い雑誌をいくつか所有していて、事業を成長させたいと思っているなら、「フォーブス」、「フォーチュン」、「ヴォーグ」を購入するのか?
いいえ。2つの理由がある。第1に、多額の費用がかかる(冗談ではない)、第2にさらに重要なこととして、すでに経営状態が良好であることだ。より収益が向上し、一段と将来価値を高める可能性は低い。その代わり、賢明な投資家は、買収企業が強い分野に弱いために痛手を受けたり苦戦している企業を買収しようとすることが多い。買収企業は、弱小企業の問題を解決し、買収により価値を高めることができることを認識している。
賢いオーナー経営者は、自社が強い分野で弱い企業を買収する傾向
現在、多くの経営アドバイザーは、他のアドバイザリー企業の買収にも同様の論理を適用している。成功した企業を買収しようとしていないため、買収コストを回収するだけでも長い時間がかかる可能性が高い。
対照的に、成功している顧客オーナー経営者が、既に強い自律成長を遂げていることに加えて、買収を重ねていきたいと考えている場合、自社が強い分野で弱いアドバイザリー企業を探す傾向がある。
例えば、顧客を引き付けることには長けているが、顧客サービスや顧客維持には弱い企業がある。一方、優れた顧客サービスを提供し、既存の顧客を失うことはほとんどない企業もある。しかし離職率が高く、成長の問題を引き起こしている。
買収によって成長しようとしている大部分のオーナー企業経営者は、この弱点を失敗の材料と見なす。しかし、賢い人たちは好機だと考える。
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