これまで3回にわたって北野唯我氏のインタビューをお伝えしてきた。

北野氏が提唱している「オープネス」の背景にあるのは、オープンワーク社が提供する膨大な量の社員・元社員のクチコミデータだ。本特集の最終回となる今回は、オープンワーク社の概要やクチコミの具体例を紹介していく。

また、世間にインパクトを残したオープンワーク社が発表する企業ランキングや、クチコミデータと業績の関連性を明らかにした論文についても解説する。

国内最大規模の企業評価・クチコミサイトを運営するオープンワーク社とは?

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(画像=svtdesign/shutterstock.com, ZUU online)

オープンワーク社は、「OpenWork」というWEBサイトを通じて、社員・元社員のクチコミや企業評価のデータを収集・開示している。オープンワークは、就職活動や転職活動はもちろんのこと、企業分析や取引先の情報収集など幅広く活用されている。

社員・元社員は、「待遇面の満足度」「社員の士気」「風通しの良さ」「20代成長環境」といった8項目で企業にスコアをつけ、クチコミを投稿する。閲覧者は、項目別に評価スコアの企業ランキングを見ることができる。その中で気になった企業については、クチコミを通じてさらに詳しく情報を得ることが可能だ。

Googleやマイクロソフト、Amazonなどのクチコミも閲覧できるため、就職・転職活動以外で、企業についてより深く知りたい際にのぞいてみるのも面白いだろう。

会員数は2020年3月時点で約350万人、企業評価スコアは900万件超で、企業のクチコミデータを収集・開示するWEBサイトとしては、国内最大規模を誇る。

オープンワーク社は、ジョブマーケットの透明性を高めること、健全な雇用環境の発展に貢献することを理念としている。

こういった理念を背景に、現在は収集したデータを元にした採用支援サービスや組織改善レポーティングサービスを企業に提供している。他にも、働きがいに関する研究業務、スコアやクチコミをAIで分析し金融市場向けの指標を開発・運用する業務など、さまざまな領域に幅を広げつつある。

未来をけん引する企業は?オープンワークの企業ランキングを紹介

OpenWorkでは具体的にどんな情報が得られるのだろうか。同社がリリースしている企業ランキングを2つ紹介する。

「働きがいのある企業ランキング2020」 

1位:株式会社セールスフォース・ドットコム
2位:グーグル合同会社
3位:プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン株式会社(P&G)
4位:株式会社ボストン・コンサルティング・グループ
5位:三井不動産株式会社
6位:プルデンシャル生命保険株式会社
7位:シスコシステムズ合同会社
8位:A.T.カーニー株式会社
9位:中外製薬株式会社
10位:株式会社アシスト

この「働きがいのある企業ランキング2020」は、OpenWorkが定める「待遇面の満足度」「社員の士気」「風通しの良さ」等8つのスコアによって算出された総合評価点を元に、独自のアルゴリズムによって算出しランキングされている。

1位は、顧客管理を中心としたクラウドサービスを提供する株式会社セールスフォース・ドットコムだ。8つの項目で5点満点中4.64点と高得点をたたき出している。参考として、セールスフォースのクチコミを2つ紹介する。

・株式会社セールスフォース・ドットコムのクチコミ①新卒入社・現職・在籍3~5年・女性

入社を決めた理由:入社を決めた理由は風通しがいい社風と会社の将来性で決めた。また、人もよく、働きやすい会社だという印象を受けたから。

「入社理由の妥当性」と「認識しておくべき事」:会社は年々成長を遂げていて、これからの将来性を大きく感じられる。それに伴い、スピードがかなり重視される会社である。変化についていけるかどうかが重要である。 社員は向上心が高く助け合う精神が強い方が多い印象である。自分だけ成功すればいいと考えている人は少ないため、働く環境してしては素晴らしいと思う。

・株式会社セールスフォース・ドットコムのクチコミ②中途入社・現職・在籍3年未満・男性

働きがい:目標が、(決して不可能ではないレベルで) 高く設定され、かつ、色々な仕事に首を突っ込めるという点では、飽きません。 ただ「働きがい」はありますが、それは「もっとやりたい」と思う人にとって、それが叶えられるということであって、決して「楽をしたい」という意味ではありません。 成長・キャリア開発:やる気さえあれば、特に若い方々の成長の機会は非常に多いと思います。 また、全社的にトレーニングを受ける環境も充実しているので、自らのスキルを高める環境は、非常に良いと思います。

2位のグーグルは昨年1位だったが、今年はセールスフォースに敗れる形となった。トップ10の企業を見渡すと、7社が外資系企業で、日系企業は5位の三井不動産・9位の中外製薬・10位のアシストの3社のみだ。

政府が働き方改革を推し進めているが、日本企業は今まさに変革を求められているのかもしれない。

「令和らしい働き方をリードする企業ランキング」