築地市場の豊洲移転とは?
1935(昭和10年)年の開場以来、80年近く首都圏の食生活を支えてきた東京都の築地市場。我が国最大の市場であり、世界最大の取扱規模を持つ水産卸売市場として知られている。その築地市場も施設の老朽化やスペースの狭隘化が著しく、卸売市場を取り巻く環境の変化などに対応するため、現在の築地市場(中央区)から豊洲新市場(江東区)へ移転することになった。新市場は効率的な物流の実現や温度管理を徹底するなど、食の安全・安心の確保や顧客ニーズへ対応していく。そして将来を見据えた新たな首都圏の基幹市場を目指した豊洲新市場は2016年に開場する予定である。
豊洲新市場プロジェクトが始動
すでに豊洲新市場の建設工事の起工式は2014年2月28日に行われ、2016年3月末に竣工、開場に向けて大きく動き出している。豊洲新市場は敷地面積約40.7ヘクタールの広大なスペースに卸売場、中卸売場、管理施設、関連店舗、配送センター等を配置済みだ。さらに築地市場特有の歴史と伝統ある賑わいを継承・発展させるとともに市場本体と連携し、豊洲ならではの活気を生み出す「千客万来」と名付けた施設も建設中だ。千客万来施設事業者には喜代村、大和ハウス工業が選定されている。また、東京魚市場卸協同組合とジェトロによる「築地(東卸)国際化プロジェクト・豊洲新市場に向けて」が始動するなど、数々のプロジェクトが進行中である。
マンション供給が活発な、豊洲・湾岸エリア
東京メトロ有楽町線と新交通ゆりかもめの豊洲駅周辺はマンション供給が活発なエリアだ。早くから街づくりが進みアーバンドッグららぽーと豊洲など商業施設も整備されている。また、2015年4月完成を目指して江東区シビックセンターや2016年竣工を目指した消防署棟の建設が進むなど公共・商業施設の充実が高まりつつある。また、平成13年に東京都が策定した「豊洲1~3丁目地区まちづくり方針」においても、水辺や造船所ドッグ跡地を活かした水辺に開かれた賑わい空間を創造し、想定人口2万2000人を予定している。さらに、運河に囲まれた開放的な住環境が得られるエリアにもマンション建設が計画されており、将来性にも期待が持てそうだ。
都心の中でも公示地価上昇が強まる豊洲
先ごろ発表された公示地価では、都心部を中心に下げ止まりの動きが広がり、一部では上昇に転じた地点も明らかになった。地価が上昇した地点は、いずれも商業地というよりも住宅地であるということが特徴で、これは地価の上昇を予測した住宅購入希望者が湾岸エリアの物件を購入し、住宅地価を押し上げているという見方ができる。なかでも東京湾岸部の江東区豊洲4丁目が前年比2.8%の上昇を記録(平成24年429,000円/㎡・同25年441,000円/㎡)。東京都区部の住宅地トップの上昇率を示した。さらに、2020年東京五輪に向けて上昇が強まる傾向が続くとみられている。