金融政策の一つであり、景気刺激やデフレ回避(脱却)などを目的に、世の中に出回るお金の「量」を増やすことを目標にする手法をいう。一般に中央銀行は、金利を上げ下げして物価や景気を安定させるが、金利をもはや下げられない「ゼロ金利政策」の導入後などに本手法を導入することがある。日本における量的金融緩和政策は2001年3月にはじまり、そこでは金融市場調節の主たる操作目標が、それまでの「金利(無担保コール翌日物)」から「資金量(日銀当座預金残高)」に変更された。具体的には、「日銀当座預金残高が○兆円程度となるように金融市場調節を行う」といった形で、金融の量的な指標に目標値を定め、それが達成されるように金融緩和が行われた。その後は2006年3月に解除がなされている。また、サブプライム問題から世界的金融危機の震源地となった米国においても、量的緩和政策(Quantitative easing:QE)が実施された。QE1は2009年3月~2010年3月、QE2は2010年11月~2011年6月にそれぞれ実施されている。なお、この量的緩和政策については、日米以外にも英国などでも実施されており、特に米国の大規模な量的緩和は世界経済に大きな影響を及ぼすことになった。特にマーケットや新興国に流れ込んだ大量の資金は、株価や商品価格を押し上げただけでなく、新興国のインフレやバブルも招くことになった。