FX初心者の中には、「エントリーはできるものの、損切設定が分からない」「指値と逆指値の違いが分からない」といった注文方法の悩みを抱えている人も多いでしょう。そこで、今回はFX取引で使用する7つの注文方法と注文を使い分けるポイントを解説します。

FXにはさまざまな注文方法があります。スムーズに取引するためにも、基本的な注文方法を確実に理解しておきましょう。

FX取引を行うときに覚えておくべき3つの注文方法

FX,注文
(画像=PIXTA)

FX取引は、2種類の通貨ペアの売買によって利益を出すというシンプルな構造の投資です。さまざまな注文方法を活用することで、リスクの低減や安定した利益の確保が可能になります。

ここでは、FX取引を行うときに覚えておくべき3つの注文方法を紹介します。取引を始める前にマスターしておきましょう。

成行注文

成行注文とは、為替レートを指定せずに売買を行う方法です。

FX取引では、希望する注文が通ることで売買の取引が成立します。例えば、米ドルを日本円で購入したいという注文を出した場合、米ドルを売りたい人がいれば注文が成立するのです。

成行注文では取引における価格を指定しません。そのため、売りの成行注文をした場合には、その時点で一番高く注文していた人と売買が成立します。一方で買いの成り行き注文をした場合には、その時点で一番安く注文していた人と売買が成立するのです。

成行注文の注文方法は簡単です。多くの場合、取引画面には、「買い」と「売り」の金額が表示されています。値動きをチェックしながらどちらかをクリックするとすぐに注文できます。相場の動きを見ながらリアルタイムに注文できるので、FX初心者にはおすすめの注文方法です。

成行注文の注意点

成行注文の注意点は、スリッページが起こりやすいことです。スリッページとは、注文したときの為替レートと約定したときの為替レートにズレが生じることをいいます。

例えば、米ドル円のレートが100円50銭のときに買い注文を出したものの、実際の約定レートは100円60銭になったとしましょう。このケースでは、10銭分のズレが生じたと言えます。

通常の局面では大きなスリッページが起こることはありません。しかし、雇用統計の発表後や世界経済に大きな影響を与えるニュースが飛び込んできた場合には、急激な為替変動によってスリッページが発生する可能性もあるので注意が必要です。

指値注文

指値注文とは、取引をしたいと思う為替レートを指定する注文方法のことです。現在はそのレートに達していなくても、レートが指定した金額に達したときに自動的に注文を出します。

例えば、1ドル100円のときに、「1ドル99円まで下がったなら買いの注文を入れたい」「反対に1ドル101円まで上がったなら売りの注文を入れたい」などと指値注文を利用できます。

指値注文は、取引画面にある「指値注文」から注文できます。注文した為替レートを設定した後にクリックすれば注文が完了します。注文後に取り消したい場合には、「取消」をクリックするだけです。

指値注文のメリット

指値注文のメリットは、スリッページが起こりにくいことです。取引したい為替レートを決めておくので成行注文よりも大きなズレが発生する可能性は少ないでしょう。実際にプロのトレーダーの中には、リアルタイムで画面を見ながらも指値注文で取引をしている人もいます。

指値注文のもう一つのメリットは、画面を見なくても注文できることです。指定した為替レートに達すると自動的に注文するので、日中に仕事をしているサラリーマンや家事や育児で忙しい主婦でも気軽に取引することができます。

指値注文の注意点

指値注文の注意点は、為替レートの変動の仕方によってはなかなか注文されないことです。円高に進むと予想して指値注文を入れたものの、円安に動いたために約定されなかったということが起こり得ます。そのため、こまめに注文の確認や取消などをする必要があります。

逆指値注文

逆指値注文は、指値注文と同じように取引したい為替レートを決めておく注文方法です。

指値注文との違いは、指値注文の場合は為替レートが下がったら買い、上がったら売る注文方法に対して、逆指値注文は為替レートが下がったら売り、上がったら買う注文方法ということです。

指値注文は為替レートが有利になったときに注文する方法です。一方で逆指値注文は為替レートが不利になったときに注文する方法となっています。そのため、逆指値注文は損切りの設定をしたいときや利益の確定をしたいときに便利です。

逆指値注文は、指値注文と同じように取引画面から注文できます。「逆指値注文」から注文したい為替レートを設定します。注文後に取消したい場合には、「取消」をクリックしましょう。

逆指値注文のメリット

逆指値注文は、指値注文と同じように注文したい為替レートを設定するので大きなスリッページが起こりません。また、画面を見ていない状態でも自動的に注文が入るので、仕事や家事で忙しいときでも安心して取引ができます。

特に逆指値注文は損切りの指定ができる注文方法なので便利です。FX取引の安定した運用を目指す人は、ぜひ逆指値注文をマスターしておきましょう。

FX取引の勝率を挙げるために覚えておきたい4つの注文方法

ここからは、FX取引の勝率を高めるために覚えておきたい注文方法を4つ紹介します。

IFD注文

IFD注文は、「if done」を意味し、1回の動作で2つの注文ができる注文方法です。

例えば1ドル100円のときに、1ドル95円まで下がったときには「買い」の注文を入れて、その後に100円で「売り」の注文を入れるという決済を1回で行うことができます。つまり、最初の注文が実行されたなら、自動的にその後の注文を出すことができるのです。

指値注文や逆指値注文と同じように、仕事で取引画面をチェックするのが難しいサラリーマンにもおすすめの注文方法です。

OCO注文

OCO注文は2つの注文を設定する注文方法で、1つの注文が実行されるともうひとつの注文が取り消されるように設定されています。

例えば、1ドル100円のときにOCO注文を設定します。1つは1ドル99円になったら「買い」を注文するもの、もうひとつは1ドル101円になったら「売り」を注文するものです。その後、どちらかの注文が実行されたときに、もうひとつの注文は自動的に取り消されます。

OCO注文の便利なところは、決済のときにも使用できることです。例えば1ドル100円のときに「買い」の注文をした場合、1ドル101円で「売り」と1ドル99円で「売り」の2つの注文設定ができます。

こうすることで、利益の確定の設定と損切りの設定を同時に行うことが可能です。コツコツと利益を積み重ねたい人や大きな損失を防ぎたい人にはおすすめの注文方法です。

IFO注文

IFO注文はIFD注文とOCO注文を組み合わせた注文方法です。

IFO注文は、注文が実行されたときにこのレートまできたら決済をするという設定ができる注文方法です。IFD注文は1回の動作で2つの注文ができ、OCO注文は、指定した2つのレートのどちらかに達したら自動的にもうひとつの注文が取消されるという注文方法でした。

IFO注文の場合は、IFD注文と同じ方法で注文をして、OCO注文と同じ方法で決済をするという注文方法です。

例えば、1ドル100円のときに95円まで下落したら「買い」の注文を入れるという設定をします。注文が実行された後に、1ドルが96円まで上昇したときと1ドルが94円まで下落したときに「売り」の注文を入れる設定をします。IFO注文を使用すると、すべての設定が1回でできるのです。

トレール注文

トレール注文とは、レートの上昇や下落に合わせて逆指値注文のレートを自動的に修正する注文方法です。

例えば、1ドル100円で「買い」の注文をしたときに1ドル99円に損切りのための「売り」の注文を入れます。通常、1ドル105円まで上昇した場合でも「売り」注文の設定は99円のままです。しかし、トレール注文の場合は1ドル105円まで上昇すると「売り」の注文が104円に変更されます。

そのため、為替レートが大きく変動した場合に確実に利益を上げることができます。FX取引での損失を最小化して利益を最大化できるので、ぜひマスターしておきましょう。

注文方法を使い分けて利益を上げるコツ

ここまでで7つの注文方法を紹介しました。最後に注文方法を使い分けて利益を上げるコツを2つ解説します。

決済注文を意識する

FXで安定して利益を上げるためには、損失をなるべく大きくしないことです。そのためには決済注文を意識しておきましょう。

FXは投資なので予測が外れて損失を出すことがあります。損失の明確な基準を設けていないと、「もしかしたら相場が反転するかも」と思い取引画面を眺め続けることになるでしょう。その結果、損失が大きく膨らんでいるにもかかわらず、損切りができない状態が続いてしまいます。

注文取引をしたら、どのレートで損切りをするか決めておきましょう。可能ならば逆指値注文などを設定しておくことをおすすめします。

利益と損切の幅をあらかじめ決定しておく

安定した利益を得るためには利益の幅を決めておくのが大切です。短期運用の場合は、損切りと利益の幅の割合を1:2に設定しておくとよいでしょう。

もし損切り値を-10Pipsにする場合には利確の値を20Pipsに設定します。そうすることで、1勝2敗のペースでも利益を0ペースで運用できます。

さまざまな注文を使い分けて安定した利益を上げよう

今回の記事では以下の注文方法を紹介しました。

・成行注文
・指値注文
・逆指値注文
・IFD注文
・OCO注文
・IFO注文
・トレール注文

安定した利益を得るためには、損切り値の注文をこまめに入れておきましょう。また利確と損切りの幅を決めておくことも大切です。注文方法についてしっかりと理解して、実際の取引に生かしましょう。