新型コロナウイルスの流行を受け、貸し倒れの拡大や収益の減少などの懸念から、銀行株は値を下げていた。
しかし最近、銀行株が反発しつつある。
KBW銀行株指数は過去5日間で12%以上上昇している。
同指数は年初来で約31%安となっているものの、3月23日の安値を大幅に上回っている。
各銀行も同様に下押し圧力を受けていた。
例えば、JPモルガン・チェース (NYSE:JPM)の第1四半期決算では、純利益が前年同期比約49%減となった。また、貸倒引当金は前年同期比5.5倍の82億ドルとなった。また、ウェルズ・ファーゴ(NYSE:WFC)のEPSはわずか1セントまで落ち込んだ。
米銀行に対して警戒感が高まっていた理由として、長期的に低金利が続く可能性が挙げられる。しかし、米国を含む各国で経済活動が再開されており、最悪の事態は過ぎ去ったと捉えられている。そのため、割安となった銀行株の良いエントリーポイントとして考えられている。
減配の恐れ
他方、今回の景気悪化時において、銀行株は減配が懸念されていた。2008年の金融危機後、銀行は株主へ配当を支払い続け、非難された過去がある。
今回、大手銀行は自社株買いを停止している。つまり、銀行にとって配当の削減が最後の手段であることが示唆される。
FRBのパウエル議長は「現段階では特に措置は必要ないだろう」と述べた。また、「我々は状況の変化を見守るが、現段階では何か手段を講じるのは適切ではない」と語った。
他方、2008年以降の金融規制を受け、銀行は不況を乗り越えるだけの資本を有している。
JPモルガンのジェームズ・ダイモンCEOは4月中旬、大手米銀行は「深刻な状況であっても対処できる」と語った。
当面は減配のリスクがなく、景気は回復しつつあることから、銀行株はバリュー投資家にとっておすすめの銘柄となっている。
総括
そうは言っても、銀行の収益はすぐには戻らない。莫大な失業者と相次ぐ中小企業の倒産は、銀行の業績を下押しするだろう。
そのため、JPモルガンやシティグループ (NYSE:C)などの堅実な銀行株が、長期投資にはお勧めである。(提供:Investing.comより)
著者:ハリス・アンワル