5月28日、日産自動車 <7201> が発表した2020年3月期の連結決算は11年ぶりの最終赤字となった。すでに株価は業績悪化を先取りするように4月にリーマン・ショック以来の安値を付けていたが、決算発表後はむしろ「悪材料出尽くし」観測等もあって上昇に転じている。
とはいえ、新型コロナ危機が終息する見通しは未だ不透明で予断を許さない。後段で述べる通り、日産自動車はこれまで何度も経営危機に直面ながらも不死鳥のごとく蘇ってきたが、今回も復活することが出来るのだろうか? 日産自動車の最新動向を見てみよう。
「第2次 リバイバルプラン」で復活するか?
日産自動車の2020年3月期の最終損益は6712億円の赤字(前期は3191億円の黒字)となった。最終赤字はリーマン・ショック直後以来11年ぶりのことである。新型コロナ危機を背景とした販売減少に加え、約6000億円のリストラコストを計上したことが業績を圧迫した。
ちなみに、日産自動車が過去最大の赤字を記録したのは2000年3月期の6840億円である。当時はカルロス・ゴーン社長(当時)のリーダーシップのもと「リバイバルプラン」で復活して話題を呼んだ。2020年3月期の赤字は当時に匹敵する規模であり、いわゆる「第2次 リバイバルプラン」とも呼ぶべきリストラ策で復活できるかがキーポイントとなる。ただ、日産自動車は2021年3月期の業績について、新型コロナ危機を理由に公表を見送るなど先行き不透明感も否めない。
世界の自動車需要が低迷、新型コロナ危機も追い討ち
日産自動車の決算短信(日本基準・連結)によると、2019年度の世界の自動車需要は前年度比6.9%減の8573万台に冷え込み、日産自動車の販売台数も同10.6%減の493万台と2桁の落ち込みを記録した。背景にはそれまで世界の自動車需要を牽引してきた中国がEV(電気自動車)に対する販売補助金を減額し、その影響で同8.6%減と史上初のマイナスに転落したことが指摘される。そうした中、年明け以降は新型コロナウイルスの影響も表面化、業績悪化に追い討ちをかけたと見られる。