若者を中心にクルマ離れが進んでいます。特に都市部では交通機関が発達しているため「クルマがなくても困らない」というのが、その理由かもしれません。とはいえ「やっぱりクルマを使いたい」というシーンも時にはあります。そんなときに便利なのが、カーシェアリングです。
クルマは所有するとコストが高い、カーシェアリングという方法がある
なぜ若者層がクルマを持たなくなったのでしょうか。一般社団法人日本自動車工業会の「2019年度乗用車市場動向調査」によると自動車非保有の理由は「ガソリン・駐車場代が負担」が29%と最も高い結果でした。次いで「車検費用が負担」26%、「使う用途がなくなる・ない」18%となっています。注目すべきは「カーシェアリング利用」が4%(首都圏では6%)もあることです。
クルマを持てばお金がかかるし、カーシェアリングもあるから「あえて買う必要はない」ということが考察できます。
カーシェアリングのメリット、デメリット
カーシェアリングとは、1台のクルマを複数の人が共有して利用する仕組みのことです。タイムズカーシェアやオリックスカーシェアなど、主にカーシェアリング事業者によって運営されています。公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団の2019年3月時点の調査によると、国内のカーシェアリングの車両台数は3万4,984台(前年比19.8%)、会員数は162万6,618人(同23.2%)と前年よりも大幅に増加傾向です。
カーシェアリングのメリットとデメリットはどこにあるのでしょうか。
カーシェアリングのメリット
カーシェアリングのメリットは、コストの低さです。クルマを購入し所有する場合には、駐車場代や保険料、税金、ガソリン代など多大なコストがかかります。一方、カーシェアリングならランニングコストはかかりません。基本的には、「月額会費+利用した時間分」だけの課金制です。利用料金にガソリン代や補償の料金も含まれているため、利用しなければコストはほぼゼロです。
またレンタカーと違って面倒な利用手続きがなく、スマホなどで予約をすればその場でもすぐに乗ることができます。カーシェアリングの拠点となるステーションの多さもメリットの一つです。駅周辺に複数のステーションが設置されていることもあるので、1ヵ所のステーションで空車がなくても周辺のステーションのクルマを利用できるケースもあるでしょう。
さらに旅行の際など、ある程度の距離までは鉄道で移動して、駅についたらカーシェアリングを利用して観光する使い方も可能です。
カーシェアリングのデメリット
予約できる車両台数に限りがあることはデメリットです。休日の昼間など利用者の多い時間帯の予約は早々に埋まってしまうため、「いつでも好きなときに利用できる」とは限りません。他の利用者の返却遅れや事故が原因で、利用できなくなってしまう事態もまれに起こります。また数時間程度の利用なら割安なものの、丸1日や数日間といった長期利用の場合、レンタカーよりも割高になってしまうでしょう。
さらに利用頻度が高い場合は、結果的に購入してしまったほうがコスト面で有利になる場合もあります。
都市部でクルマを所有する場合とカーシェアリングした場合の月額コスト比較
カーシェアリングを利用するユーザーの最も大きな動機はコストメリットと言えるでしょう。では、都市部でクルマを所有する場合とカーシェアリングを利用した場合で、毎月かかるコストはどれだけ違うのでしょうか。クルマの利用頻度や車種、生活している地域によってコストは大きく変わってくるので一概に比較できるものではありませんが、一例として比較してみました。
前提条件
・コンパクトカー(新車)を利用
・月2回、半日程度の小旅行に利用(走行距離90キロメートル、利用時間8時間)
・月2回、買い物に利用(走行距離12キロメートル、利用時間3時間)
・月4回、子どもの送り迎えに利用(走行距離5キロメートル、利用時間1時間30分)
・東京都中野区で駐車場を借りるとする
自動車を所有した場合の月額コスト
費用項目 | 月額コストの目安 |
---|---|
車両代 | 約1万4,200円(新車価格170万円を10年使用するとして計算) |
ガソリン代 | 2,000円 (走行距離は上記の前提条件を使用。ガソリン単価は125円/L、燃費は実燃費15km/Lと仮定) |
税金 | 約5,000円(自動車税、自動車重量税、環境性能割) |
保険 | 約6,200円(自賠責保険、任意保険) |
駐車場代 | 2万8,000円(東京都中野区中央2丁目、中野坂上駅徒歩9分) |
合計 | 5万5,400円 |
カーシェアを利用した場合の月額コスト
費用項目 | 月額コストの目安 |
---|---|
月額基本料金 | 880円 |
利用料金 | 2万6,500円 ※タイムズカーシェアサイトの料金シミュレーションで試算 ・小旅行→7970円×2=15,940円 ・買い物→2,640円×2=5,280円 ・送り迎え→1,320×4=5,280円 合計26,500円 26,500-880=25,620円 ※タイムズカーシェアの場合は利用料金から月額料金を差し引ける |
合計 | 2万5,620円 |
上記の例で試算すると、月額コストでは圧倒的にカーシェアリングのほうに軍配が上がることが分かります。特に都市部の駐車場料金が高い地域に住んでいる場合ほど、カーシェアリングの利用メリットが大きいといえるでしょう。
駐車場のない物件は、カーシェアリング利用を勧めることも一つの方法
賃貸物件オーナーとしては、カーシェアリングのメリットをどのように生かせるでしょうか。
例えば、RC1棟物などを保有していて駐車場に空きが多い場合なら、その一角でカーシェアリングを展開することも方法の一つです。カーシェア事業者では、カーシェアリングを設置できる物件を探しているので相談に乗ってくれる可能性があります。実現すれば入居者の利便性が向上し、物件の付加価値がより一層高まるでしょう。
保有する物件に駐車場がないことが理由で入居者募集がうまくいっていない場合は、近隣のカーシェアステーションを探しておき、物件資料に「徒歩約1分にカーシェアあり」などとアピール材料に使うこともいいかもしれません。(提供:Dear Reicious Online)
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