※本連載は日本でまだ翻訳されていない海外のビジネス書を紹介しています、書籍タイトルは著者による翻訳です

書籍概要

Leadership by Algorithm 『アルゴリズムによるリーダーシップ:AI時代を誰がリードし、誰が従うのか?』
デイヴィッド・デ・クレマー著
出版社:Harriman House
発売日:2020年5月26日
ジャンル:ビジネス書

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人工知能が普及すれば、組織の運営方法も大きく変わるだろう。その場合、主体になるのは人間なのか、はたまた機械なのだろうか。もし上司がロボットになった場合、思いやりや共感力、想像力、倫理、戦略的思考といった、人間の優れたリーダー像を示せるのだろうか。

人工知能はビジネスにおいて画期的なツールである。組織を高度な管理体制に変化させ、業務の効率性を大幅にアップできるだろう。人間と人工知能のアルゴリズムが共に働く世界を著者であるデイヴィッド・デ・クレマー(David De Cremer)は想像しており、管理職は単調なタスクから解放されて意思決定の強化に役立つという。具体的には共感や直感、想像力、倫理的判断など「直接的な経済的価値を生み出す」スキルを活用できるのだ。

しかし、大規模な解雇や世界的な混乱など、悪影響をもたらすことも考えられる。我々の職場に人工知能を導入することは、企業の経営や組織のリーダーシップにどのような影響を与えるのか。その規模は未だ計り知れない。人工知能のアルゴリズムと人間のスキルが衝突した場合に、自動化された作業環境が未来の組織にもたらす課題を本書では指摘されている。

さらに、人間と人工知能における権力闘争を明らかにするいくつかの結論を導き出しているとのこと。また人工知能が主体となった時代で必要なリーダーシップの資質も紹介されている。

人工知能を「チームメイト」とし受け入れるためには、我々人間には何が必要だろうか。この疑問に答えてくれる1冊になるはずだ。

この本をおすすめする読者層

本書は「ファイナンシャル・タイムズ」や「ウォートン・ビジネススクール」でも掲載され、さらにAmazonの「AI & セマンティクス」部門で1位を獲得。

人工知能はビジネスにおいて話題に上がることが多い。だが、組織の管理方法にどのような影響を与えるのかについては、あまり耳にしないだろう。アルゴリズムが組織におけるリーダーシップのどの部分を奪っていくのかは誰もが気になることだ。感情を無視して「クールな」決断を下すために人工知能を利用することで、組織は人間らしさを犠牲にするかもしれない。

将来的に人工知能はすべての組織に組み込まれる可能性がある。経営者や組織のトップなど、すべてのビジネスマンが読むべき1冊だ。

著者について

著者のデイヴィッド・デ・クレマーは心理学や組織行動学、マネジメントの分野で300以上の学術論文や書籍を発表している。またシンガポール国立大学ビジネススクールの創設者であり、ロンドン、中国におけるビジネススクールの客員教授でもある。