ソフトバンクグループ <9984> の株価が約20年ぶりの高値を付けた。20年前(2000年)といえばITバブル全盛期である。それにしても、今年5月に過去最大の赤字を発表したばかりの同社が、2カ月後に20年ぶりの高値を付けるとは誰が想像できただろうか。

20年前のITバブル期にはインターネットによる「ニューエコノミー」人気から日米で多くのIT関連銘柄が買われた。今回はWithコロナの「ニューノーマル(新常態)」期待から日米でSaaS系企業が買われており、それがソフトバンクグループにも追い風となっているようだ。

今回はソフトバンクグループが約20年ぶりの高値を付けた背景を見てみよう。

ソフトバンクG、2020年3月期は過去最大の赤字

ソフトバンクグループ,株価
(画像=xiangtao / pixta, ZUU online)

ソフトバンクグループ(以下、ソフトバンクG)は、国内通信大手のソフトバンク <9434> や米通信大手のスプリント、さらにZホールディングス <4689> 、英半導体設計大手のアームなどを傘下に置く持株会社である。

代表取締役会長兼社長の孫正義氏は、新しいビジネスを発掘するカリスマ的な経営者として定評があった。そんな孫氏が立ち上げたのがSVF(ソフトバンク・ビジョン・ファンド)である。そのSVFが持ち分法で連結対象となったことなどから、ソフトバンクGは「投資会社」としての色彩を強めることとなる。

SVFは主に「ユニコーン」と呼ばれる評価額が10億ドル以上の未上場のスタートアップ企業に投資するファンドで、2017年3月期から2019年3月期にかけて3期連続で1兆円を超える最終利益を計上していた。ところが、2019年に米国のライドシェア大手のウーバーの株価がIPO後に低迷したほか、シェアオフィス大手のウィーワークがバランスシート等の問題でIPOが中止になるなど多くの未上場企業の評価を減額せざるを得なくなったことが響き、2020年3月期には過去最大の赤字を計上することとなる。

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