中国における成長企業と言えば、騰訊控股(テンセント)に代表されるようなテック系・IT系企業のイメージが強い。しかし、テック以外の業界でも大きな成長を遂げている企業がある。
例えば、白酒製造や宅配、火鍋チェーンなどの分野においてだ。知られざる中国の成長企業を紹介していこう。
高級ブランドの販売に注力!宜賓五糧液(白酒醸造メーカー)
宜賓五糧液(Wuliangye Yibin)は、中国の四川省に本社を構える大手白酒醸造メーカーとして知られている。
白酒は「パイチュウ」と呼ばれる中国発祥の蒸留酒で、日本人の中には馴染みがない人も多いだろうが、アルコール度数が高いお酒として、中国では広く親しまれている。中国の宴席などでの乾杯の際には白酒が使われるのが、いまも一般的だ。
宜賓五糧液が展開する白酒ブランド「五糧液」は中国を代表する高級ブランドとして知られ、2019年12月期においては売上の79.2%を占め、宜賓五糧液の看板商品となっている。
同社の売上高の伸びは顕著で、2019年12月期の売上高は501億元(約7,600億円)と前期比で25.2%増を記録、過去最高となっている。純利益も30.0%増の174億元(約2,700億円)と非常に好調で、こちらも過去の決算で最も高い金額となった。
近年は特に高価格帯の白酒の販売に力を入れていることで知られる。白酒の販売量自体は減っているものの、前述の高級ブランド・五糧液の販売促進に力を入れ、売上高も粗利益率も大きく伸ばしているのだ。実際、2019年12月期の粗利益率は実に79.95%に上っている。
こうした高級路線が業績に良い影響を与えていることで、同社に対する投資家の評価も高い。新型コロナウイルスの影響を受けて一時は売上にダメージも出たが、4月時点では既に売上が前年同月の7割レベルまで回復しているとされている。
中国のEC(電子商取引)大手アリババ集団との提携で、オンライン販売を強化していることでも知られる。
新規事業が成長中!順豊HD(物流会社)
物流会社として業績の伸びが著しい中国企業と言えば、順豊HD(S.F. Holding)の名前が挙がる。
民間企業である同社が、中国の国家郵政局が毎年発表している「宅配企業満足度調査」において11年連続で1位に君臨し続けていることは、特筆すべきことと言えるだろう。
2019年12月期の売上高は前年比23.4%増の1,121億元(約1兆7,000億円)、純利益は27.2%増の57億元(約870億円)と好調だ。特に新規事業の売上高の伸びが顕著で、「速達」が57.2%増、「クール便・医薬」が32.5%増などと、会社全体の売上高増に寄与している。
新規事業で売上高を伸ばせているという点は、同社の経営陣が最近の市場のニーズをうまく捉えているということに他ならない。今後の市場競争の激化などのリスク要因もあるが、こうした企業の経営力に対するマーケットの評価は高く、宜賓五糧液と並んで中国における有望銘柄の一つと認識されている。
新型コロナウイルス問題が起きた後、順豊HDは新たにネットデリバリーサービスの展開をスタートさせたことでも注目を浴びた。利用者は中国で人気のチャットアプリ「微信(WeChat)」でデリバリーの注文ができ、ライバルが少なくないこの分野でも新事業を成功させることができるか、関心が集まっている。
日本にも店舗あり!海底撈国際HD(火鍋チェーン)
日本人の中にも中国の「火鍋」が好きな人は多い。2つに仕切られた鍋を使えば、ダシが効いた白湯スープと辛めの麻辣スープを同時に楽しむことができ、羊肉や魚介類、野菜などを煮込みながら食べるのが定番スタイルだ。
この火鍋のチェーン展開で成功しているのが、海底撈国際HD(Haidilao International Holding)だ。
四川省で1号店を1994年に開店したあと続々と店舗数を増やし、2019年末時点では中国国内を中心に国内外で768店舗を展開し、既に中国の火鍋レストランチェーン最大手となっている。日本でも展開しており、東京の新宿や池袋に店舗がある。
2019年12月期の売上高の伸びは、既に紹介した2社を上回る数字だ。前年比で56.5%増を記録しており、売上高の金額は265億元(約4,000億円)となっている。純利益も大幅に増えており、前年比42.4%増の23億元(約350億円)まで膨らんでいる。
火鍋に対する飲食ニーズが中国国内で引き続き高い中、店舗展開をうまく成功させている海底撈国際HD。多店舗展開のスケールメリットを生かし、今後も継続的な成長が見込まれる企業の1社と言えるだろう。
中国への投資で成果をより高めるために
日本ではあまり知られていない中国企業の中にも、このように今後の継続な成長が見込まれている企業は多くある。中国への投資で成果をより高めるのであれば、こうした企業の最新情報に注目しておくことも重要だ。
テンセントやアリババなどの超有名企業に加え、この記事で紹介した3社のようなテック系以外の企業にも目を向けてみてはいかがだろうか。
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