暗号資産イーサリアム(ETH)が大きく値を上げている。
27日の執筆現在、イーサリアムは3万4,000円台にまで上昇しており、前週比では約35%もの急騰となっている。
暗号資産価格は軒並みイーサリアムに連れられる形で値を上げており、特にビットコイン(BTC)においては先月初め以来となる1万ドル(約106万円)に到達した。その後、ビットコインは一時今年5月の半減期以来高値となる1万200ドル(約108万円)にまで上昇している。
イーサリアム高騰の要因としては、中国国家主導のブロックチェーンサービス(BSN)のパブリックブロックチェーンへの統合や、大型アップグレードとなる「イーサリアム2.0」のローンチに向けたテストネットのローンチ日が具体的に決められたことなどが挙げられるだろう。
併せて、イーサリアムのメインネットローンチから7月30日で5周年を迎えることから、期待買いが集中した可能性もある。
今年の暗号資産市場におけるトレンドと言っても過言ではない、分散型金融(DeFi)が好調を維持していることも拍車をかけているだろう。
直接イーサリアムが関係しているわけではないが、イーサリアム上で作られたトークン(ERC20)がDeFiで取引されていることから、関連銘柄として投資先の1つになっていると見ていいだろう。
一方、イーサリアムを中心に底上げされた暗号資産相場の裏で、金(ゴールド)の価格変動も歴史的な推移をたどっている。
27日、ニューヨーク金先物において、一時1トロイオンス1944.77ドルまで上昇。これは2011年9月6日に記録した1923.70ドルを上回り史上最高値となる。
依然として各国において新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、深刻化する米中対立などを踏まえた経済への懸念から、安全資産として金の需要が高まっているようだ。
「デジタルゴールド」とも称されるビットコインの価格上昇は既述したイーサリアムの高騰に加え、金同様に安全資産としての需要が高まっていることが要因になっている可能性がある。
半減期以降、比較的動きが鈍かった暗号資産市場にとって、2トップであるビットコインとイーサリアムに大きな動きが見られたのは非常にポジティブなことだ。加えて、今回の上昇は世界経済(株価)の動きに反したものであったことも、最近ではあまり見られなかった傾向だろう。
今後、直近で焦点となるのはビットコインが1万ドルをキープするかどうか、またイーサリアムに関しては節目となる300ドル(約3万1,700円)ラインを守りきれるかどうかではないだろうか。(提供:月刊暗号資産)