中国の北京仲裁委員会(BAC)が、「中国政府の法的スタンスはビットコインを完全に禁止しているわけではない」というレポートを公表した。30日、同委員会の公式サイトで発表した。

北京仲裁委員会は1995年に北京で創立。「中華人民共和国仲裁法」により、仲裁という形で、平等主体である公民、法人及びその他の組織間において発生した契約紛争とその他の財産権益紛争を解決するための仲裁機構である。

中国
(画像=月刊暗号資産)

中国では規制当局により、17年に暗号資産取引所での暗号資産と人民元の取引を禁止した。

そのため、中国の取引所は実質閉鎖に追い込まれ、現在は一部の取引所が水面下で提供している「OTC(店頭取引)」でトレーダーは取引せざるを得ない状況になっている。

そういった現状の中で、今回の北京仲裁委員会のレポートは注目に値する。

北京中央委員会は規制当局によるビットコインに関する政策通知をもとに、同通貨の規制状況を以下のようにレポートで報告した。

「ビットコインは、法的に認められた通貨ではない」「ビットコインは、バーチャルコモディティ(金や銀のような先物商品)と認められている」「中国政府は、暗号資産による資金調達、法定通貨/暗号資産を提供する取引所の運営を禁止している」

その上で、現行の中国の法律ではビットコインを暗号資産規制で取り締まるには十分な具体性がないとしている。

またレポートでは、「中国では政府がビットコインを『法定通貨』として認めていないことから、通貨としての『性質』を持っていない。ビットコインは法定通貨の代替物として利用もされていないことから違法取引と関連づけられるものではない」と主張した。

そして「中国政府はビットコインが通貨のように利用される場合を除き、バーチャルコモディティとしてのビットコインの利用を禁止していないことになる」と持論を述べた。

中国の現行法では、ビットコインについて「通貨」なのか「バーチャルコモディティ」に該当するかどうか明確に記されていない。

これはデジタル資産が世界各国で加速度的に拡大する中で、中国が暗号資産を巡る政策を、国にもたらすメリットとデメリットのバランスを取りながら様子見していると見る識者が多い。

今回のレポートでも、ビットコインはバーチャルコモディティに該当するものの、「バーチャル商品」が法的概念ではないため、実際、法的に規制するには、「通貨」と定義される必要があると述べている。(提供:月刊暗号資産