7月28日、キヤノン <7751> は2020年12月期の第2四半期累計(2020年1~6月期)の連結決算を発表した。売上高は前年同期比17.8%減の1兆4556億円、純利益は同80.1%減の130億円と大幅な減収減益となった。同社は新型コロナウイルスの影響で未発表だった通期予想も公表、売上高が14.3%減の3兆800億円、当期純利益は65.6%減の430億円となる見通しを示している。
新型コロナウイルスの感染拡大によるオフィスの閉鎖が響き、主力のオフィス向け複合機とレーザープリンター需要が落ちこんだほか、デジタルカメラもこれまでの縮小傾向がさらに強まった。キャノンは今期中に150億円規模の構造改革費を計上する計画だ。
しかし、何よりも注目されるのは、業績悪化を受けて6月末の配当を前年同期比40円減の40円にすると発表したことだ。6月末の配当を減らすのは円高不況に見舞われた1987年以来33年ぶりのことである。安定配当を重視してきたキヤノンの減配がマーケットに与えたショックは大きく、翌29日のキヤノン株は一時1793円と1999年10月以来およそ21年ぶりの安値(株式分割を考慮した実質)を記録している。
新型コロナ禍で33年ぶりの減配に…
キヤノンといえば、高配当利回りの優良株を代表するような銘柄であった。前述の通り、1987年以降減配がなく、大幅な減収減益を記録したリーマン・ショック時でさえも配当を据え置いていた。直近では2017年12月期以降の配当を160円(中間時80円、期末80円)で据え置いていたが、今回の新型コロナ禍で中間減配に踏み切った。
キヤノンの「連続減配なし記録」を支えていたのは豊富な内部留保であった。2020年6月期末でも利益剰余金は3兆4574億円もある。しかし、後段で述べる通り、新型コロナウイルスが終息する見通しが立たない情勢では、キャッシュリッチのキヤノンをしても減配を決断せざるを得ないのが実情のようだ。
バーゲンハンティングは通用するのか?
参考までに、下記に時価総額1兆円以上(7月29日時点)の高配当銘柄トップ10の株価を示す。配当利回りは、減配する可能性があるので今期の予想配当ではなく、前期の実績配当で示している。