税務調査と聞くとどのようなイメージをお持ちでしょうか?

税務署職員が突然来て畳の裏や机の中、本棚などのガサ入れをする強制調査(マルサ)のイメージをお持ちで、怖い、税務署から税金を取られると心配に思われる方も多いと思います。

実際には税務調査の大半は任意調査となり、強制調査のような一方的な取り調べを受けることはありません。 それでも相続税の税務調査は申告をした方の4件に1件が入っており、さらにそのうち80%以上が税務署より財産の申告漏れを指摘されて追加で税金を負担しています。

一度申告をして安心してはいけません。税務調査は忘れたころに訪れてきます。 そこでこの記事では税務調査の入る時期に焦点をあてて、いつ来るのか、いつまで調査の可能性があるのかについてご説明します。

税理士が教える相続税の知識
(画像=税理士が教える相続税の知識)

1.税務調査は相続税申告期限の翌年の8月~11月、2年後の8月~11月秋頃に来る

よくご質問で「税務調査はいつごろ来ますか」と聞かれますが、相続税の税務調査が一番行われやすい時期は、相続税の申告期限を過ぎた翌年の8月~11月または翌々年の8月~11月ごろになります。

相続税の申告書を提出した後にすぐ税務調査が行われるわけではなく、忘れたころに訪れてきます。

また、税務署では7月に大きな人事異動があり1年単位で税務調査を行っています。人事異動後の8月~11月ごろに行われる調査は調査官の心理的な余裕や時間的な余裕もあるため、多くの申告漏れが見込める案件を優先して本腰を入れた調査が行われていると考えられます。

具定例でみていきましょう。

お亡くなりになった日     :平成27年8月20日
相続税の申告期限(10ヶ月)   :平成28年6月20日
税務調査の入る可能性が高い時期:平成29年8月~11月 、 平成30年8月~11月

税理士が教える相続税の知識
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一般的には申告期限から2年後の秋までに調査に来なければ一安心といえます。

けれど、例外もあり3年後、4年後に税務調査が行われることもあります。

1-1.秋頃以外に税務調査に入ることもある

先程、税務調査の時期は8月~11月とお伝えしましたが、それ以外の時期に入ることもあります。

税務署の業務上、毎年2月~5月ごろは個人や法人の確定申告の時期となるため繁忙期にあたります。

また、7月は人事異動直後の年度替わりにあたるため、この期間は調査を避ける場合が多いです。

ではそれ以外の時期はと言いますと、6月に行われる調査は問題点が低いと判断されます。

税務署も7月の人事異動前に終わらせたい意向があるため、問題点の少ない調査であれば短期間で終わると踏んで行われる傾向があるためです。

また、12月~1月に入る調査もありますが、8月~11月と比べると年度替わりの6月までの期間が短くなるため、長期化する内容の問題点である確率は低くなります。

1-2.申告期限から5年経過すれば調査に来ない

相続税の時効は法律上5年となります。

相続税の申告期限から5年を経過すれば税務調査の心配は一切ないと判断してもよいでしょう。

2.個人で申告しても、税理士が申告しても調査の時期に違いはない

相続税の申告は、納税者がご自身で申告を行うケースと税理士に依頼して申告を行うケースがあります。

どちらの場合も税務調査に入りやすい時期は、相続税申告期限の翌年8月~11月、2年後の8月~11月で同じです。

2-1.税理士の署名がない申告書は税務調査の対象になる確率が高い

税理士業界では、相続税の申告書の作成に税理士が関与していない申告については、大半が税務調査の対象になっていると言われています。相続税申告書は第1表から第15表まであるため、税理士以外の一般の方が最後まで作成するとミスが起きやすく信頼性が下がるという要因があります。

専門家に依頼した場合には費用が掛かりますが、ご自身で行い後から税務署に指摘を受けて追徴課税をされるリスクを鑑みると、お任せした方が安心です。

3.まとめ

相続税の税務調査が入る時期についてご理解いただけたと思います。

税務署から税務調査の連絡があった場合には、提出した相続税の申告書を見返して当時の状況を再確認してください。(提供:税理士が教える相続税の知識