地球温暖化は社会問題の一つで中学校の授業でも習います。しかし地球温暖化の原因や仕組みを理解している人は意外と少ないのではないでしょうか。本記事では、改めてきちんと理解しておきたい「地球温暖化問題」についておさらいしましょう。

地球温暖化とは?

地球温暖化
(画像=inna/stock.adobe.com)

地球温暖化とは、二酸化炭素などの温室効果ガスが放出されることにより地球全体の平均気温が上昇している現象のことです。18世紀半ばにはじまった産業革命をきっかけに人類は化石燃料(石炭・石油など)を大量に消費するようになりました。化石燃料を燃やすと大量の二酸化炭素が発生します。大気中の二酸化炭素の量は、産業革命前に比べて40%増加したと言われています。

二酸化炭素の排出量と世界平均気温の上昇は比例関係です。世界の平均気温が上昇すると異常気象の増加や食糧難、海面上昇による土地の喪失など、多くの人の生活に大きな影響を与えます。平均気温の上昇を少しでも抑制するために、世界各国が協力して地球温暖化問題に取り組まなくてはなりません。

温室効果ガスの役割

地球温暖化は、人為的な活動によって二酸化炭素が大量に放出されたことが主な原因ですが、温室効果ガスは必要不可欠なものでもあります。温室効果ガスは、太陽光によって温められた地表面から宇宙へ逃げる熱を吸収し地表面へ再放射することで地球の平均気温を保つ役割を果たしているのです。温室効果ガスがなければ地球の平均気温はマイナス19度になり生き物が生存していくには厳しくなるでしょう。

昔は生物の呼吸やものが燃えることで発生する二酸化炭素の量と植物が光合成によって吸収する二酸化炭素の量のバランスが取れていました。しかし近年では二酸化炭素が増えすぎたことで余分な熱が宇宙へ放出されなくなり地球温暖化を招いています。

地球温暖化の現状と今後の予測

地球温暖化の主な原因となっている二酸化炭素の排出量の内訳や推移はどうなっているのでしょうか。またこのまま地球温暖化が進むと地球全体の平均気温がどのように推移し海面はどの程度上昇すると予測されているのかも把握しておく必要があります。

二酸化炭素排出量の内訳と推移

一般社団法人 日本エネルギー経済研究所軽量分析ユニットが発表した「エネルギー・経済統計要覧 2020年版」によると、2017年の世界の二酸化炭素排出量は合計約328億トンです。排出量が最も多いのが中国の28.2%、2番目に多いのが米国14.5%となっており両国で全世界の40%超を占めています。日本の排出量の割合は3.4%で中国や米国に比べると少ないものの世界で5番目に多い国です。

太陽光発電
出典)EDMC/エネルギー・経済統計要覧2020年版
全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト(http://www.jccca.org/)より

また世界各国の一人当たりの二酸化炭素排出量は以下の通りです。

太陽光発電
出典) EDMC/エネルギー・経済統計要覧2020年版
全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト(http://www.jccca.org/)より

中国の排出量の割合は大きいですが一人当たりの排出量は米国や日本、ドイツといった先進国が中国を上回っています。新興国の一人当たりの排出量は今のところ少ないものの、今後は経済発展により排出量が増加する可能性があることも懸念材料の一つです。新興国においては経済発展と温室効果ガスの排出抑制を両立し、先進国と連携して地球温暖化問題に取り組む必要があるでしょう。

平均気温の推移

「IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)」の「第6次評価報告書」によると、1850~1900年の平均気温と比べて2006~2015年は約0.87度上昇しました。IPCCは、1988年に国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)により設立された組織です。同報告書によると2018年時点で人間が起因する地球温暖化は10年ごとに約0.2度進んでいると言われています。

IPCCは今後の平均気温上昇について以下の「低位安定化シナリオ」「高位参照シナリオ」といった2つのシナリオを示しています。

・低位安定化シナリオ(RCP2.6)
将来の気温上昇を2度以下に抑えるという目標をもとに開発された排出量の最も低いシナリオ。

・高位参照シナリオ(RCP8.5)
2100年における温室効果ガス排出量の最大排出量に相当するシナリオ。

1986~2005年を基準としたときに低位安定化シナリオでは2100年末までに平均気温は0.3~1.7度の上昇に抑えられる一方で高位参照シナリオの場合は2.6~4.8度上昇すると予測されています。

海面の上昇

1901~2010年の間で海面は約19センチメートル上昇しました。地球温暖化によって北極海の氷や陸上の氷河・氷床が融けて海水に流れ出したり海水温の上昇で膨張したりしたことが主な原因です。今後も地球温暖化が進むと2100年までに26~82センチメートル上昇すると予測されています。

地球温暖化が進んだ場合に想定できる4つの影響

このまま地球温暖化が進むと私たちの生活には主に以下の4つの影響が出てくる可能性があります。

  • 熱中症患者の増加
  • 異常気象(台風・洪水など)の増加
  • 熱帯性感染症の発生範囲の拡大
  • 海面上昇による土地の喪失

1.熱中症患者の増加

地球温暖化により平均気温が上昇すると熱中症患者が増加します。日本では、熱中症による救急搬送数や死亡数が増加しており、夏期の気温上昇と関連している可能性があります。このまま地球温暖化が進めば、熱中症患者はさらに増加するでしょう。

2.異常気象(台風・洪水など)の増加

地球温暖化が進むと台風や洪水といった異常気象も増加します。台風や洪水は、家屋の損壊やライフラインの寸断など私たちの生活に直接的な被害を及ぼしかねません。また農業や漁業などに影響が出て世界的に深刻な食糧難を招く可能性もあるでしょう。国連環境計画(UNEP)の報告では、2050年に二酸化炭素の濃度が2倍になると異常気象などで年間3,000億米ドル(1米ドル106円換算で約31兆8,000億円)以上の経済的損失が発生すると予測されています。

3.熱帯性感染症の発生範囲の拡大

平均気温が上昇するとマラリアなどの熱帯性感染症の発生範囲が拡大します。日本では、2014年8月にヒトスジシマ蚊の媒介によるデング熱の症例が約70年ぶりに報告されました。温暖化によってヒトスジシマ蚊の生息域は北上しており2010年には初めて青森県内で生息が確認されています。今後は2035年までに本州の北端、2100年には北海道まで生息域が北上すると予測されており熱帯性感染症の発生増加は懸念材料の一つです。

4.海面上昇による土地の喪失

地球温暖化によって海面が上昇すると水没によって土地を喪失する国が出てきます。日本においては、海面が1メートル上昇すると都市部が水没する可能性があるのです。具体的には、首都圏は東京都江東区、墨田区、江戸川区、葛飾区のほぼ全域、京阪神地区では大阪の中心部などが影響を受けると予測されています。

今すぐできる地球温暖化対策とは

日本の部門別二酸化炭素排出量の推移を確認すると、産業部門の割合が最も大きくなっていますが減少傾向です。産業界では、省エネやエネルギー転換が進められており社会的責任として環境問題への取り組みを宣言し、その成果をホームページなどで報告する企業も増えています。一方で家庭部門の排出量は増加傾向です。

そのため二酸化炭素の排出抑制には私たち一人ひとりの家庭での取り組みも重要になることが理解できるのではないでしょうか。

太陽光発電
出典)温室効果ガスインベントリオフィス
全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト(http://www.jccca.org/)より

今すぐできる地球温暖化対策としては、以下のようなものがあります。

  • 節電する
  • 省エネ家電を活用する
  • 再利用やリサイクルを心がける
  • 移動手段を車から自転車・公共交通機関に切り替える

家庭では電気、ガス、灯油、ガソリンなどのエネルギーを使っているため、無駄なエネルギー消費をなくすことが二酸化炭素の排出抑制につながります。

地球温暖化を防ぐためにできることから始めよう

地球温暖化を防止するには、少しでも二酸化炭素の排出量を抑えなくてはなりません。そのためには、ライフスタイルの見直しや無駄なエネルギー消費をなくすことが大切です。「使っていない電気は消す」「省エネ家電に買い替える」など、地球を守るために一人ひとりができることから始めましょう。(提供:Renergy Online