地球温暖化対策として普及が進むエコカーに、「環境にやさしい」というイメージを持つ方は多いでしょう。しかし、「エコカー」という言葉を聞いたことはあっても、その定義や種類などを理解している人は少ないのではないでしょうか。この記事では、環境にやさしいエコカーを選ぶメリットやデメリット、税優遇などについて解説していきます。

そもそもエコカーってどんなクルマ?

エコカー
(画像=buffaloboy/stock.adobe.com)

エコカーとは、排出ガス性能や燃費性能に優れたクルマのことで、二酸化炭素(CO2)や窒素酸化物(NOx)などの排出量が少なく、低燃費であることが特徴です。環境にやさしく(エコロジー)、節約できる(エコノミー)ことから「エコカー」と呼ばれています。

さまざまな種類のエコカーの開発・普及が進んでいますが、エコカーかどうかはどうやって見分ければいいのでしょうか。国土交通省と経済産業省が策定した燃費基準達成車にはステッカーが貼られているので、その有無で判断するといいでしょう。

エコカーはどのくらい普及しているのか

ガソリンなどを燃料とする従来型のクルマと動力部や燃料が異なるクルマのことを「次世代自動車」と言います。次世代自動車であるエコカーの販売台数は急増しています。

2018年6月未来投資会議で発表された資料「未来投資戦略2018」によると、2017年の新車乗用車販売台数438.6万台のうち、次世代自動車は159.5万台(36.4%)でした。政府は2030年までに新車販売に占める次世代自動車の割合を50~70%とすることを目標としており、エコカーの普及はさらに進むと考えられます。

エコカーの主な種類

エコカーの主な種類とそれぞれの特徴は、以下のとおりです。

ハイブリット車

ハイブリット車とは、ガソリンと電気モーターの2つの動力を切り替えて走行するクルマです。「エコカー」という言葉を聞いたとき、ハイブリット車を思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。

ハイブリット車は、発進時や低速走行時は電気モーター、加速時はガソリンという具合に、2つの動力が状況に応じて切り替わることで二酸化炭素の排出量を抑え、低燃費を実現しています。ブレーキをかけた時や高速走行時に充電することもできます。

ハイブリット車に外部充電機能を持たせ、電気だけで長距離走行を可能にしたのが「プラグインハイブリット車」です。

燃料電池自動車

燃料電池自動車とは、燃料電池で水素と酸素を使って発電し、モーターを回して走行するクルマです。

二酸化炭素や窒素酸化物は排出されず、走行時に発生するのは基本的に水蒸気のみです。一般的なクルマはガソリンスタンドで燃料を補給しますが、燃料電池自動車は水素ステーションで水素を補給します。

電気自動車

電気自動車とは、電気モーターで走行するクルマです。

走行時に二酸化炭素を排出しないため、環境にやさしいのが特徴です。ガソリンをエンジンで燃焼させないので、振動や騒音が小さく、とても静かに走行できます。自宅のガレージやガソリンスタンド、商業施設などに設置されている充電スポットで充電します。

水素自動車

水素自動車とは、水素を燃料として走行するクルマです。

水素エンジンが搭載されており、このエンジンが水素と空気を取り入れて燃焼させる仕組みになっています。走行時に排出するのは水蒸気のみで、二酸化炭素は排出されません。

クリーンディーゼル車

クリーンディーゼル車とは、排出ガスの基準である「ポスト新長期規制」に対応したディーゼル車です。

従来のディーゼル車とは異なり、二酸化炭素や窒素酸化物などの排出量が少ないのが特徴です。ガソリンよりも安い軽油を活用しながら、燃費性能の向上と排出ガスの抑制を実現しています。

天然ガス自動車

天然ガス自動車とは、天然ガスを燃料として走行するクルマです。

基本的な構造はガソリン車やディーゼル車とほぼ同じで、搭載されたガス容器に天然ガスを充填します。走行時、二酸化炭素や窒素酸化物はほとんど排出されません。トラックやバス、軽自動車などに採用されており、次世代自動車の中では車種のバリエーションが豊富です。

第3のエコカー

第3のエコカーとは、ハイブリット車並みの燃費性能を持つガソリン車です。ハイブリット車、電気自動車に次ぐという意味で「第3のエコカー」と呼ばれています。

ガソリン車であるため、充電スタンドが不要で製造コストを抑えられるのがメリットです。次世代自動車のように二酸化炭素の排出をなくすことはできませんが、燃費性能の向上により排出量を抑制しています。

エコカーに乗るメリット

ガソリン車ではなくエコカーに乗ることには、以下のようなメリットがあります。

低燃費なので維持費を節約できる

エコカーは、一般的なガソリン車に比べると低燃費です。次世代自動車や第3のエコカーの燃費は、従来型のガソリン車のおよそ2倍程度という報告もあります。少ない燃料で長い距離を走行できるので、燃料代を節約できます。

税優遇が適用される

エコカーを選ぶと、エコカー減税やグリーン化特例といった税優遇が適用されるのもメリットの一つです。自動車取得税や自動車税など、クルマに関する税金が免税・軽減されるため、取得費や維持費を節約できます。

ただし、車種によって適用される制度や減税額が異なるので、購入時に税優遇の対象になるかどうかを確認するようにしてください。

環境にやさしく社会貢献になる

エコカーは、地球温暖化の原因となる二酸化炭素や窒素酸化物などの排出が少ないクルマです。環境にやさしいクルマであるため、エコカーを選ぶことが社会貢献につながります。

エコカーの普及率が向上すれば、地球温暖化問題が改善され、長期的には住みやすい環境・社会が維持されるでしょう。

エコカーのデメリット

エコカーは環境にやさしく、燃料費の節約や税負担の軽減といった経済的なメリットがある一方で、以下のようなデメリットもあります。

車種が少ない

一般的なクルマに比べると、エコカーの車種は限られており、商品ラインアップは少ないです。エコカーの中に目当ての車種がある方や、特別なこだわりがない方は問題ないでしょう。しかし、さまざまな車種を比較してクルマを選びたい場合は、乗りたいと思えるクルマが見つからないかもしれません。

走行時にパワーを感じられない

エコカーはガソリン以外のエネルギーを使うため、騒音や振動が少なく静かに走行できますが、パワー不足を感じることもあるでしょう。走りの力強さや運転感覚に強いこだわりがある場合、エコカーに乗ると物足りないと思うかもしれません。

エコカーに適用される主な税優遇について

エコカーに適用される主な税優遇は、以下3つです。

エコカー減税

エコカー減税とは、国土交通省が定める排出ガス・燃費基準をクリアしたクルマについて、自動車重量税の免税・軽減を適用する制度です。適用期間は2019年5月1日~2021年4月30日で、適用期間中に新車新規登録などを行った場合に1回限り適用されます。

電気自動車、燃料電池自動車などの次世代自動車には、自動車重量税が課されません。ガソリン車(ハイブリット車含む)については、排出ガス性能や燃費性能に応じて「免税」「50%軽減」「25%軽減」のいずれかが適用されます。

クリーン化特例

クリーン化特例とは、国土交通省が定める排出ガス・燃費基準をクリアしたクルマについて、自動車税・軽自動車税が軽減される制度です。適用期間は2019年4月1日~2021年3月31日で、適用期間中に新車新規登録などを行った場合に翌年度分について適用されます。

電気自動車、燃料電池自動車などの次世代自動車は、自動車税・軽自動車税が約75%軽減されます。ガソリン車(ハイブリット車含む)については、排出ガス性能や燃費性能に応じて「約75%軽減」または「約50%軽減」が適用されます。

環境性能割

自動車取得税が廃止され、2019年10月1日から環境性能割が導入されました。環境性能割とは、車両の取得価額に対して環境性能に応じた税率を課税するものです。

適用期間は2019年10月1日~2021年3月31日で、電気自動車、燃料電池自動車などの次世代自動車は、環境性能割が非課税になります。ガソリン車(ハイブリット車含む)については、排出ガス性能や燃費性能に応じて「非課税」または車両価額の1~3%が課税されます。

環境にやさしいエコカーを選ぼう

今のところエコカーは車種が少なく、人によっては走行時にパワー不足を感じるかもしれません。しかし、エコカーは燃費が良く、税優遇も適用されるので、車両の取得費や維持費を節約できます。乗用車を取得するなら、未来を見据えて環境にやさしいエコカーを選んでみてはいかがでしょうか。(提供:Renergy Online