企業オーナー、社長の皆さん、今回のシリーズでは、「銀行は、会社をどのように評価しているのか?」をお話します。銀行員の企業評価は、決算書に始まり、決算書に戻ってきます。

銀行のクセ
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決算書を渡した時

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皆さんが決算書を銀行員に渡すと、彼らは、「利益(営業利益、経常利益、当期利益)を見てから、純資産を見る」はずです。なぜか? 銀行員の「会社の格付作業 ~企業への評価~」がここから始まるからです。

まず、営業利益が黒字か赤字か、純資産と利益剰余金プラスかマイナスか、を見ます。そして、こう言うはずです。「出来れば3期分の決算書を見せて下さい。」と。

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赤字と累損

過去3期分、利益が一つでも「赤字」があれば、それが「一過性」、「一時的」なものか、どうかを、銀行員に説明することが重要です。

たとえば、「前期決算の「赤字」は、10月後半から12月まで、原材料が一時的に高騰したためであり、1月からは、原材料価格は当初想定通りに戻っている。さらに、今期4月からは、原材料の価格が想定よりも20%低下しているので、月次の決算で6月から営業利益段階で黒字が続いている。」というような説明です。

営業利益を見た後は、純資産の部をチェックするはずです。純資産全体がマイナスか、プラスか?純資産がプラスでも、利益剰余金がマイナスか、プラスか?

利益剰余金がマイナスとは、累積損失、略して「累損(るいそん)」です。

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もし、利益剰余金が累損になっているということは、過去の決算の積み重ねの結果、利益の合計額が「マイナス」であるということです。銀行員は、「この会社は、黒字を維持する収益力がないのでは?」と疑いますが、これも「一時的」なものか、どうかを説明することが重要です。つまり、「利益推移」と同じような「辻褄の合った説明」を期待しています。

たとえば、「5年前に始めた新規事業は、月次で3百万円の連続赤字になった。そこで、昨年3月に在庫処分をして膿みを全て出し、特別な損失を期末に計上。その影響で「一時的」に累損になった。そこで、今期、同新規事業の中止を決断。本業の黒字がこれから累積する。さらに、役員報酬も2割カットをするので、10月以降、半期で5百万円の黒字計上し、2年後には確実に累損を解消させる。」というような説明です。

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売上推移と在庫・売掛金

ベテランの銀行員であれば、少し決算書を見ただけで、売上推移と在庫・売掛金推移について質問してくると思います。3期分の決算書を受け取った時、まず、3期分の売上推移を見て、在庫と売掛金に、目を走らせるというパターンです。

2期間、3期間を比較して、売上が減少しているのに、在庫が積みあがっているのは、売れない個別製品、あるいは、単品収支が赤字覚悟の製品を見切れず、作り続けているのではないか?  あるいは架空計上ではないか? このような想像をすることも、よくあることです。在庫は実際に倉庫にあり、棚卸しも定期的に行っていて、価格も適正。売掛金は、回収可能な内容と相手であることを、具体的に説明できることがポイントです。

決算書を渡す前の準備

決算書を銀行員に渡した際、彼らが、まずどの「数字」を見て、どのような質問をしてくるのか? イメージが湧いたでしょうか?

冒頭にも書きましたが、「決算書に始まり、決算書に戻る」のが、会社の評価の基本です。決算書に始まるところで、銀行員がどこに着目するのかを予め理解すれば、「銀行(員)のクセ」を踏まえた準備と対応につながるのです。

銀行員側の事情 ~なぜ、いきなり根堀、葉堀聞いてくるのか?~

決算書を渡したら、銀行員がいきなり質問ばかりしてくるのを鬱陶しいと感じたこともあると思います。でも、それは「善意の一生懸命さ」から来る質問かもしれません。

その銀行員は、「赤字」「累損」だけでなく、決算書の変化について「辻褄の合った説明」を支店長や審査部にしたい、と思っているのです。貴社の格付を「正常先」として、融資を実現させたい一心かもしれないと思って頂けないでしょうか?

それでは、次回以降、「借入金」、「借入銀行」、「その他の注意項目」のチェック、会社格付の定量評価等について、お話します。(提供:企業オーナーonline

(作成:企業オーナーonline編集分室/第三銀行 柴田尚郎)以上


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