事業資金として金融機関から融資を受けたい場合、必要金額をそのまま借りることはできるのでしょうか?業務実績があり、決算書によって売上や利益を把握できる場合、相応の融資を受けることができますが、場合によっては自己資金を用意しなければならないことがあります。

今回は融資を受ける場合、自己資金が必要なケースとそうでないケース、自己資金が用意できない場合にどうすればよいのか解説します。

預金がないと借りられない!?特に創業前や開業後数年の融資は自己資金が必要

融資
(画像=siro46/stock.adobe.com)

融資を受けたい場合、必要な金額の全額融資を受けられるわけではありません。場合によっては、自己資金、つまり自分の預金や家族、知人からお金を工面することが求められるケースもあります。逆に自己資金が要らないケースもあり、それは開業からの年数で大まかに分けられます。

開業後3期(年)以上の場合、決算書による業績評価で自己資金が要らないことが多い

おおよそ3期(年)以上の決算書がある企業が事業主であれば、決算書をもとに融資が実行されることが多いです。この場合において決算書の内容によっては自己資金が不要となるケースもあります。開業より3年経ち、売上があり、利益が出ていることが「企業の通知表」である決算書や確定申告書によってわかるからです。

開業前、開業後2年~3年以内の場合自己資金が必要なケースが多い

一方で、開業(創業)資金の融資を受けたい人は実績がなく、その事業が成功するかどうかはその時点ではわかりません。お金を借りても事業に失敗して返済できない可能性もあるでしょう。

また、開業後2年~3年以内の場合、事業が軌道に乗っているかどうかまだ不明確であり、急に売上が落ちることも考えられます。

したがって、これらのケースでは、融資の際、必要な金額のうち何割かは融資によらない資金調達、つまり、自己資金を用意してもらう必要があります。もし事業に失敗したときも、融資を受けた際の自己資金充当により、返済しなければならない額が少なくなるからです。。

自己資金が必要な場合の目安は?

自己資金が必要な場合、その目安は半額~3分の1です。創業融資を申し込むことができる「条件」は必要な金額の10分の1というものもありますが、実際には自己資金が30%~50%ないと審査で否決されてしまいます。

創業融資において求められる自己資金の目安は、

・日本政策金融公庫の新創業融資:必要な金額の約30%
・自治体の創業融資:必要な金額の約50%

つまり、200万円の資金が事業に必要な場合、融資を受けられる金額は100万円~140万円までということになります。開業後の場合も、「創業融資」として融資を受けたい場合は同様の基準になります。

ただし、2期分の決算書があれば、創業融資ではなく通常の自己資金が要らない融資を申請することも可能ですので、創業後の実績からどちらにするのか判断してください。

自己資金が足りない・・どこから資金調達すればいいの?

自己資金が用意できない場合、どうすればよいのでしょうか?用意できる自己資金の範囲で借り入れするのが一番ですが、一歩踏み込み、借り入れを見送っても可能な事業を行うことも考えてください。

どうしても資金が必要で預金がないケースでは、ほかの手段で自己資金の調達をしなければなりません。その場合の以下の方法が考えられます。

家族、親族、友人、知人から「出資(援助)」

まず思い浮かぶのは、知り合いから借りるという手段ではないでしょうか。しかし、返済義務のある借り入れは、たとえ無利息でも自己資金とはみなせません。自己資金として認められるためには、返済義務のない「出資(援助)」であることが必要です。

有価証券や不動産は売却が必要

不動産や株式などは自己資金としては認められません。これらは抵当(担保)にはなりますが、自己資金ではありません。自己資金として認められるためには売却して換金することが必要です。
ただし、有価証券や不動産を売却した際に利益が出た場合、利益に対して税金(20%~30%)が発生するので注意が必要です。

退職金

会社を辞めてその資金で創業する場合、退職金を自己資金にできます。もちろん人生における重大な選択になりますのでじっくり検討することが必要です。

自己資金を上手に用意しよう

開業前や開業後2~3年以内の場合、必要な額の30%~50%の自己資金が求められます。自分の預金がなければ、贈与で調達しなければならず、自己資金調達は意外と難しいことがわかります。

自己資金+融資で補える事業計画を立てるのが大切です。闇金や高利の消費者金融などでの資金調達にならないよう注意しましょう。(提供:企業オーナーonline


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