銀行から融資を受けたい場合、事業計画書の作成を求められることがあります。これを提出することで、本当に融資しても問題のない企業という補強材料になります。今回は事業計画書について概要を説明し、事業計画書がいる融資、いらない融資などについて総合的に解説していきます。
事業計画書とは?
事業計画書についてまずその概要を説明します。
事業計画書の目的
融資にあたり事業計画書を提出することで、先々の売上見通しが立っていることを金融機関に示します。客観的に根拠を持って事業について考えられている人ならば、借入額についても妥当な金額である可能性が高く、返済が事故になるリスクも低いため、金融機関側も融資がしやすくなります。
事業計画書の記載事項
事業計画書は、融資を申請するにあたり以下の項目をまとめ、事業見通しのロードマップを金融機関に示す重要な書類です。
・経営理念、
・今後数年の経営戦略
・売上推移計画
・損益計画
・借入金の返済見通し
・出店の妥当性や自社の強み
〇年売上1,000万、翌年1,200万、翌々年1,400万…など具体的な数字を落とし込み、市場の推移や販路開拓など具体的根拠を示すことが大切です。図表なども用いて視覚的にわかりやすく書くのも評価される事業計画書のポイントです。
事業計画書の作り方
WordやExcelを組み合わせて、視覚的にわかりやすいように作ります。金融機関の融資担当者や責任者がチェックするものなので、乱雑な書き方はNGです。PowerPointでも作成できますが、Wordでしっかりとした文章で示したほうが読み手としてはわかりやすいはずです。
事業計画書がいる融資、いらない融資
すべての融資を受ける際に事業計画書が必要なわけではありません。融資にあたって重視されるのは決算書や確定申告書などです。これが実際、経営がうまくいっているかどうかの「通知表」であり、これが赤字の会社がいくら素晴らしい事業計画書を提出しても説得力がなく、絵に描いた餅として見られてしまいます。
事業計画書が必須なのは、多額の設備投資資金、新規事業運営資金、開業前の創業融資や、開業後すぐ~2年程度までの資金調達の際等があげられます。当然開業前は実績がないので、見通しを示す根拠として事業計画書が必要になりますし、開業後間もない場合も、今後数年同じように事業が好調に推移するかどうか不透明です。
したがって、事業計画書によって、今後の売上推移等を補強します。
・開業前~開業2年、多額の設備投資、新規事業運営:事業計画書必須
・開業2年後~:事業計画書は加点材料、補強資料
この2点を抑えておきましょう。
事業計画書の分析がしっかりしていれば難しい融資も通りやすくなる
創業融資(開業前の資金調達)や多額の設備資金等が必要な場合、実績以上の融資が不可欠です。そして、そのためには事業計画書が優れていることが重要です。優れた事業報告書であれば、難しい融資も通りやすくなります。
使ってみたい分析手法
たとえば「SWOT分析」を使用すると、事業計画書の説得力が増します。自社の「強み・弱み・機会・脅威」について分析し、融資の必要性について記載すれば、審査の際に加点材料になります。ここでは詳述しませんが、調べてみてはいかがでしょうか?
SWOT分析を活用したある居酒屋の事例
都内某所にある居酒屋は、開業資金不要で、毎月の売上から手数料を支払うシステムで開業しましたが、その手数料に苦しみ、店舗そのものを買い取るため、開業1年半で創業融資を利用しました。
その際活用したのがSWOT分析です。その居酒屋は以下のことを踏まえて、「売上に問題はないが、手数料支払いを免れるため店舗買取資金の融資を受けたほうが後々得である」ことに説得力を持たせたところ、3000万円の融資が実行されました。
S(強み):24時間営業でメニューが豊富
W(弱み):開業1年半で実績がない、毎月の手数料で半分とられてしまう
O(機会):近くの鉄道や病院の深夜勤務明けの人が早朝から来てくれる好立地
T(脅威):なし
数量×単価など、より具体的な売上見通しに加えて、様々な分析手法がある事業計画書は説得力があり、それを作る能力がある経営者に対する評価が上がるのです。
事業計画書はしっかり作ろう
事業計画書は丁寧に客観的に作ることで、しっかりした経営者であることの証拠になり、融資の審査で加点要素になります。
実績がなくても、ご自身のビジネスを俯瞰し必要額の根拠を示せれば、融資の難易度を大きく下げることができます。ぜひ、融資を考えていない方も今後に備えて、SWOT分析などを使って仮の事業計画書を作ってみてはいかがでしょうか。(提供:企業オーナーonline)
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