長期的なキャンピングカー人気が続く中、キャンピングカーを購入したいと考える人も増えているようです。今回は初めてキャンピングカーを検討する人の参考になるよう、①キャンピングカーのトレンド(市場動向)について、②高級車を含めたキャンピングカーの相場や維持費、③キャンピングカーのリセールなどを軸に解説していきます。

キャンピングカー台数は10年で倍 コロナ禍で人気に拍車

キャンピングカー
(画像=matt/stock.adobe.com)

はじめに、国内キャンピングカーのトレンドを確認しましょう。もともと国内のキャンピングカー人気は長期的に高まりを見せていました。日本RV協会がまとめた「キャンピングカー白書2020」によると、2009年に6万8,000台だったキャンピングカーの保有台数は2019年に11万9,400台と10年間で倍近くまで伸びています。

このキャンピングカー人気の背景には、根強いアウトドアブーム、災害時に対応できるインフラとしてのニーズがありました。さらに新型コロナウイルス感染拡大以降は、3密を避けながら安心して旅行や移動をするため、あるいは、テレワーク空間として利用するためといったニーズも高まっています。これによりキャンピングカー人気が上振れし、「2020年6月の販売台数が前年比で約5割増」という専門店もあると日本経済新聞は報じています。

このようなキャンピングカー人気の中、「気になる!欲しい!」という人も多いと思います。ただキャンピングカーは一般車と異なる点も多いため、始めて購入する人は相場・維持費・資産性を把握してから検討するのがよいでしょう。

キャンピングカーの平均価格は800万円、高級クラスは1,500万円超

一般車であれば1,000万円以上になると高級車クラスの位置づけになってきます。では、キャンピングカーの一般車または高級車の相場はどれくらいが目安でしょうか。

キャンピングカー新車の2019年の平均販売価格は798万円(日本RV協会調べ)でした。これが一般的なキャンピングカーの目安になります。ちなみに、この平均価格は2016年の621万円からわずか3年で170万円以上も高騰していて、キャンピングカーの高級化が進んでいることをうかがわせます。

どれくらいの価格になると高級キャンピングカーになるか、については様々な見方がありますが、メルセデス・ベンツの大型バン、スプリンターをベースにした「ハイマー」が1,500万円超、ラグジュアリー感があるクラスCの代表である「ウィネベーゴ アスペクト30J」が2,000万円超であることを考えると、1,500万円〜2,000万円超がひとつの目安になるでしょう。

最高級クラスのキャンピングカーになると2億円超も

さらに最高級かつ大型のキャンピングカーとなると、億単位のものもあります。高級キャンピングカーを専門にするドイツメーカー「フォルクナーモービル社製」になると、1台あたり1億5,000万円〜2億5,000万円クラスで、2019年秋に開催された世界最大級のキャンピングカーショー「キャラバンサロン」では1億8,000万円(オプション別)のモデルも展示されました。同社のモデルは、高級マンションのような内装に加えて、床下に一般車がすっぽり格納できるほどの収納力を備えます。

キャンピングカーの維持費:税金、保険料、車検、ガソリン代など

税金・保険料:8ナンバー車だと税金は割安、自賠責保険料は割高

一般的なキャンピングカーの区分には、1ナンバー・4ナンバー・8ナンバーの3種類があります。このうち、キッチン、ベッド、シャワーなどの設備が充実し、居住空間の広いキャンピングカーは8ナンバーになります。ちなみに8ナンバーは、パトカー、消防車、現金輸送車など特殊用途の車として使われるものが区分されます。

キャンピングカーとしての8ナンバーの登録条件は、最低2名以上が就寝できる設備を確保していること、 室内の高さが1,600mm以上あること、10リットル以上の水道設備とキッチンがあることなどが挙げられます。

8ナンバーのキャンピングカーは他ナンバーの車に比べて、(同じクラスの車であれば)自動車関連の税金は割安、自賠責保険料は割高と言われています。例えば、キャンピングカーと自家用車の自動車税、自動車重量税、自賠責保険料などを比較すると以下のようになります。

キャンピングカー自家用車差額
1 自動車税31,600円39,500円7,900円割安
2 自動車重量税24,600円41,000円16,400円割安
3 自賠責保険料30,210円25,830円4,380円割高

引用:チューリッヒ保険会社「自動車保険ガイド」

※①総排気量が2リットル車で自動車税を比較②新車登録13年未満の8ナンバー車と自家用車の自動車重量税の比較③自賠責保険24ヵ月の保険料金の比較(8ナンバー車と自家用車)

なお任意保険については、8ナンバー車不可の保険会社もあるようです。購入前に費用や条件を確認した方が賢明かもしれません。

車検やガソリン代:リッター5〜10㎞のものが多い

車検は新車の自家用車の場合、初回は購入3年後、以後は2年スパンですが、8ナンバー車は新車・中古車共に2年スパンで車検を受ける必要があります。ガソリン代は車種によりますが、リッター5〜10㎞程度が一般的のようです。

その他の維持費:特に生活設備の修理代に要注意

メンテナンスや修理の費用は居住空間がある分、自家用車と比べると割高になるケースがほとんどでしょう。どれくらいの費用がかかるかについては、仕様や装備で大きく変わってくるため、ディーラーに目安をしっかりヒアリングすることが大切です。

キャンピングカーのリセール:一般車よりも資産性が高い傾向

キャンピングカーを購入するときにリセール価格が気になるという人も多いのではないでしょうか。一般的にキャンピングカーは年式が古かったり、走行距離がかさんだりしていても、状態がよければ査定金額がつきやすいと言われています。「状態がよければ」とは、外装はもちろん、シャワー、キッチン、ソーラーパネルなどの設備も含まれます。

ただし、キャンピングカー独自の価値を正しく査定するためには専門知識が必要になるため、キャンピングカー専門店、またはキャンピングカー取扱いを得意にする販売店に査定をお願いするのがベターです。

購入先はタイプを明確にした上で選ぶのが賢明

キャンピングカーの主な購入先としては、①新車中心に扱っているディーラ−、②中古車を揃える販売店、③新車・中古車の両方を扱う販売店などがあります。加えて、販売店によって欧州製中心、北米製中心、国内製中心など取り扱い車種の傾向も変わってきます。自分の買いたいキャンピングカーのタイプはどれかを明確にした上で、それを扱う購入先を選ぶことが大切です。

さらに国内には、オリジナルのキャンピングカーを製造・販売するメーカーやビルダーなども多数あります。歴史あるアウトドアの専門メディア「BE−PAL」によると、業界団体「日本RV協会」に加盟しているメーカー・ショップならオリジナル車と他社メーカー車を比較しながらじっくり選べる店舗が多いとのことです。

キャンピングカーの運転に特別な免許は必要?

なおキャンピングカーを運転するときの免許については、自走タイプもトレーラータイプも大半のものが普通免許で運転できます。自走タイプなら車両総重量3.5t未満、乗車定員10人以下のキャンピングカーであれば普通免許で運転可能です。この範囲であれば、居室空間が広々した「キャブコン」、大型サイズの「バスコン」などの運転もできます。

けん引が必要なトレーラータイプは750㎏以下であれば普通免許だけで大丈夫です。それ以上のクラスになると、普通免許と別に「けん引免許」が必要になります。

キャンピングカー経験のない人はまずはレンタルが無難

ここまで解説してきたように、キャンピングカーは一般車と違う部分が数多くあります。そのため、一般車を購入するときよりも慎重になる必要があります。

キャンピングカーを体験した経験が少ない人は、まずはレンタルやカーシェアリングを利用してから購入検討のフェーズに進むのが無難かもしれません。一例としてキャンピングカーのシェア・レンタルをマッチングするサービス「カーステイ」だと、24時間あたり1万5,000円〜2万5,000円程度が相場のようです。こういったサービスを利用し実際に運転をしてみてから購入を検討するのがよいでしょう。(提供:Wealth Lounge

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