近年、中国のユニコーン企業の存在感は世界で増すばかりだ。AI(人工知能)やフィンテック、メディア、自動運転……。あらゆる先進テック領域で中国のユニコーン企業が台頭している。この記事では、最新調査から中国のユニコーン企業の実態に迫っていく。

社員
(画像=PIXTA)

中国ユニコーン企業TOP100から見える実態

2020年2月、中国のインターネット調査研究機関「艾媒咨詢(iiMediaResearch)」が、「中国ユニコーン企業TOP100」の2020年版を公表した。この結果から、中国のユニコーン企業の実態が見えてくる。

ユニコーン企業とは、時価総額が10億ドル(約1060億円)以上の非上場企業を指す。このような企業は決して多くなく、その希少性の高さから神話に登場する「ユニコーン」という名称で呼ばれている。

各国にどのようなユニコーン企業が存在するかを知ることで、その国で将来伸びそうなビジネス領域を推測できる。

中国のユニコーン企業はどのようなビジネス領域で事業を展開しているか、見ていこう。

100社のうち20社がAI分野で事業を展開

中国ユニコーン企業TOP100の2020年版によれば、最も多かったのが「AI」分野で、100社のうち20社がAI分野で事業を展開している。例えば、カメラアプリ「SNOW」に顔認識技術を提供したことでも知られる「商湯科技(センスタイム)」などが挙げられる。

続いて多かったのが「ネット通販」分野での14社。代表的なユニコーン企業には、生鮮食品のEC(電子商取引)事業を展開する「毎日優鮮(ミスフレッシュ)」やSNS型のECアプリを展開する「小紅書(レッド)」などがある。

「自動車・交通」分野のユニコーン企業も多い。10社がこの分野で事業を展開している。特に目立つのが「ライドシェア」や「自動運転」に注力している企業で、ライドシェアでは「滴滴出行(Didi Chuxing)」などが有名だ。

「フィンテック」分野で事業を展開しているユニコーン企業も10社に上る。「メディア」分野は7社で、動画投稿アプリ「TikTok」の運営会社である「字節跳動(バイトダンス)」が代表格だ。

TOP10の全企業が「デカコーン企業」というすごさ

事業分野別で中国ユニコーン企業の実態を分析してきた。続いて、2020年2月に「艾媒咨詢(iiMediaResearch)」が発表した「中国ユニコーン企業TOP100」から、中国のユニコーン企業価値ランキングTOP 10を見ていこう。

1位(2020億ドル):螞蟻金服(Ant Financial)
2位(750億ドル):字節跳動(ByteDance)
3位(580憶ドル):小桔科技(Xiaoju Technology)
4位(390億ドル):陸金所(Lufax)
5位(290億ドル):菜鳥網絡(Cainiao Network)
6位(290億ドル):快手科技(Kwai Technology)
7位(240億ドル):大疆創新科技(DJI)
8位(210億ドル):微衆銀行(We Bank)
9位(140億ドル):比特大陸(Bitmain)
10位(100億ドル):小屋信息

(※このランキングにおいて、対象企業総数は非公開)

注目すべきは、TOP10の全企業の時価総額が100億ドル(約1兆600億円)を超えているという点だ。ユニコーン企業は時価総額「10億ドル以上」が条件だが、時価総額が「100億ドル以上」となると、さらに上の「デカコーン企業」という呼び方になる。

デカコーン企業は世界的にも決して多くないが、いまや中国ユニコーン企業の上位10社はいずれもデカコーンとなっている。中国ユニコーン企業の勢いが垣間見えるところだろう。

全世界のユニコーンランキング、1位と2位は中国企業

中国ユニコーン企業TOP100のデータはあくまで中国国内に限った話だ。では中国のユニコーン企業は欧米や日本のユニコーン企業に比べ、どのくらいの存在感なのか。

民間調査会社の米CBインサイツが公表しているユニコーン企業価値ランキング(2020年9月時点)によれば、世界のユニコーン企業の上位10社のうち4社が中国ユニコーン企業だ。さらに言えば、1位と2位はいずれも中国ユニコーン企業がランクインしている。(1位はByteDance、2位はDidi Chuxing)。

日本のユニコーン企業は、AI開発の「Preferred Networks」やニュースアプリを展開する「スマートニュース」などが挙げられるが、ByteDanceやDidi Chuxingと比べると、残念ながら時価総額にはかなりの開きがある。

もはや中国のユニコーン企業は中国国内だけにとどまらず、世界のビジネスシーンで一躍注目される存在となっているのだ。

中国ユニコーン企業に注目し、中国投資に目を向けてみては

いま、世界の巨大企業が積極的に中国のユニコーン企業に出資を行っている。中国ネット大手のテンセントや日本のソフトバンクグループなどがその代表格だ。世界市場をけん引し得るベンチャー企業にいち早く投資し、大きな利益を得ることを狙っている。

ユニコーン企業はいずれIPO(新規株式公開)を経て上場することが考えられる。いまのうちから積極的に中国ユニコーン企業の動向に注目し、中国投資に目を向けてみてはいかがだろうか。

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