オプションやスワップなどのデリバティブ(金融派生商品)を組み込むことで、投資家のニーズに応じて通常の債券のキャッシュ・フローとは異なるキャッシュ・フロー、すなわち利金の支払い方法、ならびに償還方法などの条件を色々な形で設定することにより作り出せるようにした債券。1980年代半ばから普及し始めた。発行者にとってのメリットは自身の調達コストがはっきりと投資家にわからないこと、販売会社にとってのメリットはまとまった販売手数料が入ること、そしてデリバティブの提供者にとってのメリットはヘッジポジションによるトレード収益が入ること、投資家にとってのメリットは自身のニーズに合わせたキャッシュフローを生み出すことが出来ることである。デメリットとして、複雑ゆえに評価が難しい事、会計上の問題、そして流動性の低さが指摘されている。近年では、損失が発生した場合の損失額の大きさ、もしくは損失が発生する可能性の大小についての説明を金融機関が十分に行わずに仕組債を販売し、顧客(特に個人・地公体・学校法人等)が多額の損失を被るケースが多発し社会問題化したため、問題視した金融庁が平成22年4月に販売業者に対する監督指針を改正し、販売に当たっては「過去のストレス時のデータ等、合理的な前提を踏まえた最悪のシナリオを想定した想定最大損失額について、顧客が理解できるように」説明する必要があると明文化された。主な種類としては、金利デリバティブ系では、コーラブル債、キャップ付きフローター債(クーポンに上限がある変動利付債)、ステップアップコーラブル債、リバースフローター債(固定利率からLiborを差し引く数式になっているものが一般的。金利が低下時にクーポンが上昇する変動利付債。インバースフローター債ともいう)、為替デリバティブ系では、二重通貨建債、リバースデュアルカレンシー債、パワーリバースデュアルカレンシー債などがある。