自民党の菅義偉総裁が、衆参両院の本会議で9/16(水)に行われた総理大臣指名選挙で、第99代内閣総理大臣に選出されました。菅首相は就任会見で、「規制改革を政権のど真ん中に置く」と述べ、行政のデジタル化を集中的に進める方針です。
無論、行政のデジタル化は今にはじまったことではなく、安倍内閣時代から進められていましたが、菅首相はデジタル庁を来年中に創設するなど、デジタル規制改革を断行し、デジタル化によって組織を変革化していくDX(デジタル・トランスフォーメーション)を国単位で実行していくという強い意向を示しています。
今回の日本株投資戦略では、菅内閣の中核的政策課題である“デジタル規制改革”について、その関連銘柄などをクローズアップしてみました。
菅内閣の中核的政策課題は「デジタル規制改革」!?その中核銘柄を探る
安倍内閣の官房長官であった菅義偉氏が9/16(水)に第99代内閣総理大臣に選出されました。菅首相を支える内閣のメンバーが明らかになり、閣僚の半数以上が安倍内閣からの継続起用など、サプライズ感には乏しいものの、実行力が期待される手堅い内閣との印象を与えています。
こうした中、菅首相は就任会見で、「規制改革を政権のど真ん中に置く」と述べ、行政の縦割りや既得権益、あしき前例主義を打ち破り、規制改革を全力で進める方針を示しました。また、行政のデジタル化を強力に進める体制として、デジタル庁の新設を表明し、デジタル化によって組織を変革化していくDX(デジタル・トランスフォーメーション)を国単位で実行していくという意向を示しています。
株式市場では古くから「国策に売りなし」と言われ、国策という流れに乗った銘柄は好パフォーマンスをあげやすいと考えられています。東京株式市場ではすでに、こうしたデジタル規制改革関連銘柄を中心に、「スガノミクス」に関連した銘柄を物色する動きが本格化しています。そこで、今回の「日本株投資戦略」では、菅内閣の中核的政策課題である“デジタル規制改革”について、その中核銘柄と評価できる銘柄を抽出しました。
(1)東証1部上場銘柄であること。
(2)報道等をもとに以下のキーワードで検索した際、関係する銘柄として出てくること。
「DX」、「マイナンバー」、「サイバーセキュリティ」、「遠隔医療」、「SaaS」
(3)アナリストが2名以上、業績予想を公表している銘柄であること。
(4)今後3年間で、市場予想EPS(1株利益)が20%以上増えると予想される銘柄であること。
上記、全ての条件を満たした銘柄を(4)市場予想EPSの成長率が大きい順に並べたものが表1です。
表1 「デジタル規制改革」!?その中核銘柄を探る
コード / 銘柄 / 株価9/24(木) / 株価上昇率1ヵ月前比 / 株価上昇率3ヵ月前比 / 3年EPS成長率 / 3年後予想PER(倍)
<3697> / SHIFT / 15,240 / 18.4% / 37.4% / 196.9% / 78.3
<3902> / メディカル・データ・ビジョン / 2,050 / 15.8% / 58.1% / 111.6% / 70.0
<3774> / インターネットイニシアティブ / 4,705 / 7.5% / 24.0% / 103.3% / 26.0
<2326> / デジタルアーツ / 8,240 / -4.4% / -7.4% / 70.4% / 42.5
<7518> / ネットワンシステムズ / 4,755 / 11.1% / 31.5% / 64.4% / 24.2
<1973> / NECネッツエスアイ / 2,007 / -4.2% / -4.1% / 58.6% / 20.0
<9613> / エヌ・ティ・ティ・データ / 1,402 / 15.1% / 12.7% / 48.1% / 17.7
<9759> / NSD / 2,007 / 3.2% / 10.3% / 46.0% / 17.6
<4739> / 伊藤忠テクノソリューションズ / 4,055 / -1.5% / 0.7% / 32.5% / 24.9
<6702> / 富士通 / 14,300 / 0.5% / 13.2% / 27.5% / 14.2
<2317> / システナ / 1,882 / 3.7% / 23.4% / 20.1% / 27.9
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成。
※計算に用いた3年後の予想EPSは市場コンセンサス。9/18(金)時点の情報で作成されており、それ以後の会社発表や報道は織り込まれていない可能性があります。特にSHIFT(3697)は決算発表が10/8に予定されていますので、ご注意ください。
「デジタル規制改革」関連銘柄の高い成長にも期待
東京株式市場ではすでに、「スガノミクス」に関連した銘柄を物色する動きが始まっているとみられます。
表2は、SBI証券が9/16(水)に掲載した新興株ウィークリーでご紹介した新興市場の「スガノミクス」関連銘柄です。掲載日に菅内閣が発足したというタイミングもあり、ほとんどの銘柄が上昇しています。
話は前後しますが、表1に掲載した銘柄のポイントは、菅内閣の中核的政策課題である“デジタル規制改革”に着目し、関連銘柄の抽出対象も「デジタル規制緩和」関連銘柄に絞った点です。
さらに、株式市場で注目される投資テーマを抽出したというだけでなく、最低2名のアナリストが着目しているという点も大きなポイントです。アナリストが実際に調査し、中期的に高い成長が期待できることを市場予想から推測できる点も強みです。こうした点からも、表1に掲載された銘柄は向こう数年、高い利益成長が期待できる銘柄と言えそうです。
また、将来の期待にとどまらず、足元の業績が好調な銘柄も多いようです。表1の銘柄は、NTTデータ(9613)とシステナ(2317)を除き、直近四半期までの営業利益は累計で増益(黒字転換含む)になっており、業績見通しの上方修正が期待できそうな銘柄も多く存在します。
表2 新興市場でも動き出した「スガノミクス関連」銘柄
コード / 銘柄 / 株価9/16(水) / 株価9/24(木) / 騰落率
<2150> / ケアネット / 2,540 / 2,990 / 17.7%
<3798> / ULSグループ / 3,700 / 4,040 / 9.2%
<3910> / エムケイシステム / 896 / 999 / 11.5%
<3998> / すららネット / 5,380 / 6,400 / 19.0%
<4397> / チームスピリット / 2,376 / 2,359 / -0.7%
<4427> / EduLab / 7,510 / 8,270 / 10.1%
<4480> / メドレー / 4,625 / 4,795 / 3.7%
<4824> / メディアシーク / 575 / 670 / 16.5%
<4880> / セルソース / 33,500 / 32,650 / -2.5%
<6034> / MRT / 1,415 / 1,400 / -1.1%
<6096> / レアジョブ / 2,438 / 2,353 / -3.5%
<7093> / アディッシュ / 3,205 / 3,135 / -2.2%
※9/16(水)付のSBI証券「新興株ウィークリー」でご紹介した銘柄について、レポート作成日の9/16(水)から9/24(木)までの株価騰落率を示したもの。掲載の順番はコード番号順。
※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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鈴木英之
SBI証券 投資調査部
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